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さぬきうどんをCHAIN EATING! 〜風雲篇1
この紀行文は1997年(まだブーム前)にさぬきうどんを求めて家族で香川を彷徨った様子を長々と書きつづったもので、翌年に「うまひゃひゃさぬきうどん」という題名で出版された元原稿でもあります。四部構成になっていて、このページは【風雲篇】のその1です。
【立志篇】1・2
【風雲篇】1・2・3・4
【怒濤篇】1・2・3
【回天篇】1・2・3・4
■それから1年
さて。
やっと第二部 【風雲篇】である。
元祖しょうゆうどんの「小縣家」を経験し、さぬきうどんを究めた錯覚に陥っていたボクたち夫婦がひょんなことから名著「恐るべきさぬきうどん」にめぐりあい、大リーグボール1号をなんの前触れもなく花形にホームランされた星飛雄馬のようにド愕然としたところまでが第一部 【立志篇】。
あれは96年9月のことであった。
第二部はその1年後から始まるのである。つまり、やっと第一部【立志篇】のアタマに戻ったわけである。
いままでのを「第一部」と勝手に銘うって、「第二部」を期待させつつ更新をさぼってきたボクなのだが、もうさぼりきれなくなってきてしまった。
第一部を読んでくれた方から多数メールをいただいたが、なんと明らかになっただけでも10人以上がわざわざ「さぬきうどんツアー」を敢行しつつあるではないか!
「おいしそすぎて、ついにうちもわざわざ食べに行くことにしました」
「面白い!おいしそう!今度の休みに東京から行こうと思っています」
「しびれました。もううどんのことしか考えられません」
「いつ行こういつ行こうと気がせいています。
それまで『はがくれ』で舌をごまかすことにします」
「明日にでも行こうと思っているのに、なぜ更新しないのだ!
はやく詳しい情報を書け!」
「バカ!途中で書けなくなるくらいなら最初から書くな!」
・・・まぁまぁ落ち着いて。いまから書くから。
これから書くのは「1997年2泊3日さぬきうどん14軒食べまくりツアー」の顛末記である。
なぜ前回の「小縣家」から1年もかかってしまったか。
それはひとことで言うと「忙しかった」からなのだが、忙しく生きるために生まれてきたわけではないのでこれは単なる言い訳。
きっと、どこかで「真実」を知るのが怖かったのだな。
あんなにうまそうに「恐るべきさぬきうどん」に書かれているが、まったく期待はずれかもしれない。もし期待はずれだったら明日から何を楽しみに生きていけばいいの?……そう怖がってしまうくらいはあの本を熟読し、期待にノドチンコふるわせていたのである。
でも!
いつまでもウジウジとハエの幼虫みたいに悩んでいるわけにはいかぬ!
書を捨てよ! 街に出よ!
正面向いて闘うときが、ついに来たのだぁぁぁぁ!
って、そんなオーバーなものでもなく、ようやっと仕事の都合もつき、優子の都合もつき、響子(2才)の体力もつき、というわけですね。
まぁそんなこんなでいよいよ旅を始めようと思う。でもその前に綿密なる計画が必要だ。
■胃腸最大の作戦
97年の9月のある日、やっと会社の夏休みが3日ほど取れそうだとわかった佐藤家では作戦会議が開かれた。
「瀬戸大橋に1万円払うからには最低10軒は食べんとおさまりがつかんな」
「そうねぇ。10軒でも1000円かそこらでしょ。10軒でもくやしいわね」
「うーん。でも『恐るべきさぬきうどん』を読むと、
うどんは午後1時までに食べないとおいしさ半減らしいからなぁ。
そうすると軒数限られてくるなぁ」
「なんで午後1時までなの?」
「ほら、これから行くのはほとんどがセルフの店でしょ。
つまり製麺所の隅でうどんを食べさせていただくわけだ。
で、製麺所っつうのは午前中しか打たないんだな、うどんを。
うどんは生き物。打ち立て・茹で立てを食べるなら午前中がベストらしいんだ」
「お昼の3時くらいにのっそり行くと……」
「そう、作り置きの死んだようなうどんしか食べられないらしい」
茹で上げて冷水で締め、せいろ(木箱)に並べてある麺。これが「作り置き」だ(写真参照)。
30分程度なら茹で立てと変わらぬ味が楽しめるらしいが、それ以上置くとどんどんのびていく。スーパーに並べてあるうどん玉と変わらなくなってしまうらしいのだ。だからそんな作り置きだけは避けなければいけない。せっかく名店で食べても意味がないのだ。
一部には午後でもお客の来る度合いに応じて追加打ちをする店もあるようだ。しかし、たまたま追加打ちした直後に訪れたらラッキーだが、その確率は厚顔のオッサンが紅顔の美少年に変身するより難しいであろう。
つまり、どうしても「うまいうどんを食べるなら午前中」ということになってしまうらしいのだ。
「午前中ってまさか10時とかに食べたりはしないでしょ?」
「いーや!(きっぱり)
ボクは朝飯を抜いて、9時10時11時12時13時と5軒行くつもりだぞ!」
「はぁ〜〜〜〜〜!?」
「はぁ〜〜〜〜〜!? ってキミ、この旅行の主目的は何だ?」
「さぬきうどんを食べに行くこと」
「だろ?だったら本望ではないか」
「本望だけど不毛な気も……」
「キミは午後にチンタラ食べに行って
おいしいうどんを食べ逃しても良いのか?それでも良いのか?」
「んん……そうね、一番いい状態のうどんが食べたいわね」
「そんなら話は決まりだ。1日最低5軒。3日で15軒以上!」
なんだか素晴らしいではないか!
これぞChain Eating!
とってもワクワクしてきたぞ!
「ちょっと待ってよ。休みは3日間でしょ。
1日目は神戸から香川までの移動の時間があるから午前中は無理よ。
あんまり出発が早いのは響子(2才)が可哀想だし」
「あ! ってことは使える午前中は2回?」
「そういうことになるわねぇ」
「でも行きたい店が20軒はあるのだ!」
「無理は無理よ。む〜り」
うーむ。こりゃ困った。
名著「恐るべきさぬきうどん」第3巻をひもとくとS級指定店として名店が10店紹介されておる。
「山越(やまごえ)」「山内」「宮武(みやたけ)」「谷川米穀店」「あたりや」「長田(ながた)」「山下」「田村」「彦江」「蒲生(がもう)」
ガイドブックは経験上ほとんど信用していないが、この本は別。 この10店はなにがなんでも行きたい。だってあの「小縣家」すら入っていないのよ。行きたいじゃん!
で、その他に本文の記述からかなり食指を動かされる店が
「中村」「おか泉(せん)」「大圓(だいえん)」「讃岐家」「五右衛門」「さか枝(えだ)」「中北」「池内」「やましょう」「ジャンボ」 と10軒あるのである。
全部で20軒。
その中から涙をのんで15軒にしようとしているのに、午前中が2回しか使えないとは!
しかもなにしろ山の中にある店が多く、店と店が離れている。 だから1軒行ったら次の店まで1時間かかることもありえる。そのうえほとんど「宝探し状態」「オリエンテーリング状態」になるほど探しにくいシチュエーションらしい。
「普通に行ったら絶対たどりつけない」と書いてある店もあるのだ!
やっぱり15軒は無理なのか・・・。
その後も侃々諤々の議論が連日連夜続いた。
旅程が決定したのは出発前日の夜であった。
9/18(木)
神戸9時30分出発。瀬戸大橋を渡って香川県入り13時。
14時「蒲生」15時「おか泉」16時「大圓」
ホテルチェックイン。食休み。
19時「讃岐家」20時「五右衛門」
高松厚生年金会館泊
9/19(金)
9時「田村」10時「山越」11時「谷川米穀店」
12時「山内」13時「宮武」14時「山下」
午後は市内の百貨店のチーズ状況を取材(優子のサイト用)
夜は市内のフレンチレストランで食事(ジバラン用)
高松厚生年金会館泊
9/20(土)
9時「あたりや」10時「中村」11時「彦江」12時「長田」
瀬戸大橋を渡って岡山入り14時。
ホテルチェックイン後、少々お休み。
17時メール友達の吉田さんちイン。ロシア料理をご馳走になる。
岡山国際ホテル泊
9/21(日)
岡山の寿司屋「魚正」で食べて神戸に帰る。
(食べるかどうかは体調と気分による)
15軒!
無理やりである。2日目などかなりきつい。6軒食い続けの上に、夜はフレンチ(!)
が、土曜日休みの店もあったりする上に営業時間もバラバラ(昼に2時間しか営業してない店もある)、地域もバラバラ(山の中にポツンとあったりする)。だから地図とにらめっこしながらほとんどパズルを組み立てている気分で作り上げた。それでもまぁ今見てもかなりカンペキなスケジュールである。(自慢)
え?
なんで一日目の「蒲生」「おか泉」「大圓」や2日目の「山下」が午後の「まずい」時間なのって?
聞かんといてくれぇ〜!
完璧なスケジュールの大きな穴じゃ!(大きすぎるわい)
どうしても、どうパズルしてもこの4店が最悪の時間になってしまうのだ。
うーん。悲しい。悲しすぎるが仕方ない……
その後の19時「讃岐屋」20時「五右衛門」はまぁ夜間営業の一般店なので夜でもおいしいだろうが、「蒲生」「おか泉」「大圓」はあまりに不利なのだ。(おか泉、大圓も一般店だからひょっとしたら夕方でも打ち立てが食べられるかもしれないが)
けど・・・仕方がないのだ。
ということで、いよいよ「さぬきうどん食べまくりツアー」の始まりである。
そう、あれは忘れもしない1年前のいつだったか(忘れているやないけ!←しつこい)
正確に言うと1997年9月18日の木曜日の朝9時半(覚えているやないの!←もういいって)
神戸の自宅から愛車に乗って、家族三人、長駆香川県までドライブした朝に始まるのである。
ああ、こんなに書いたのに、まだ始まっていないぃ!!!
@satonao310