歯と歯がぶつかる音

2008年5月27日(火) 7:01:00

カツンッ!
乾いた音がした。歯と歯がぶつかる音。いや、色っぽい話では全然なく、焼肉での話である。

まさかここまでとは想像しなかったのだ。
表面にゴマを敷き詰めて寝かしてあったシャトーブリアン。厚さ3センチに切られたフィレ肉の中心部。周りのフィレを贅沢に切り落とした赤いカタマリ。それを炭で網焼にする。目の前で店長が丁寧に焼いていく。表面のゴマは網でこそげ取られ、赤く熾った炭の上に落ちてテーブル上に香り立つ。

「ハイ、どうぞー!」
体育会系大声の店長が叫ぶ(この店は店員すべてが大声を出す教育を受けている)。
タレを少しだけつけて口に入れてみる。
ここで冒頭の「カツンッ!」である。

井上雄彦 最後のマンガ展

2008年5月26日(月) 5:52:44

saigo_no_mangaten.jpg内覧会に招待されて夫婦で行ってきた(娘は風邪で留守番)。
井上さんもいらしてて、ちょっとだけ話もできた。「お互い、なんか似てますね」とか(←バリカン頭同士)

マンガ展の感想はあえて書かない。いろいろ書きたい気もするが、あえて書かない。
ぜひ体験してほしい。

というか、ちょっと神懸かっている。
いま地球上で体験できるトップクラスの芸術だと思う。
かなり衝撃を受けた。

飲みニケーションは古い

2008年5月25日(日) 17:36:28

ちょっと前だが「部下をねぎらう店」という取材を受けた。
部下との飲みニケーション(死語)、みたいなことである。「部下とのコミュニケーションは管理職に共通する悩み。部下をお酒に誘ってねぎらうとき(もしくはコミュニケーションをとるとき)、アナタならどういう店を選びますか?」という質問をさせていただきたい、ということだった。それを聞いて「ボクには向いていない」と思って最初お断りしたのだが、重ねて要請され、結局インタビューを引き受けた。「飲みニケーションに否定的なんですけどいいですか?」という条件付きで。

そのインタビューでのボクの答えはこんな感じ。
「プライベートを大事にし、しかも元々あまりお酒を飲まない今の20代30代は、基本的に上司とは飲みに行きたがらない。なのに無理やり誘うのでは、ねぎらいにならない。ねぎらうなら、就業時間内に素面できちんと伝えた方がいい。コミュニケーションをとるにしても、お酒の席である必要は特にはない」
ぐはは。とりつく島もない。テーマに合ってもいない。でもどうやらこのまま載せてくれる模様(月刊誌「日経おとなのOFF」7月号)。とても好意的なインタビュアーで助かった。

ボクは、部下とコミュニケーションを取るために飲みに行く、いわゆる「飲みニケーション」は古いと思っている。5年ほど前までは実践の意味も感じていたが、最近ではもう改めた。古い。

3つの風

2008年5月24日(土) 19:14:22

ascii20080524.jpg今日発売の「月刊アスキー」7月号の第一特集は「明日の広告」らしい。
実はまだ届いてないので読めてないのだけど、別にボクの本の特集ではなく(笑)、ボクの本を受けて、編集部なりに「明日の広告の姿」を読み解いていったもののよう。ボクは冒頭の2ページ見開きインタビューのみ(顔写真はないですよ)。
もちろん拙著「明日の広告」はアスキー新書から出しているので、販促の意味合いもある特集だと思う。でも自分の本の題名が特集記事になっているのってなんとも不思議だ。

拙著「明日の広告」を出したのが1月。
いままでエッセイや食関係の本を10冊ほど出しているが、仕事の本は初めてであったこともあって、反応が仕事方面から来るのが新鮮だった。出版=プライベート、という自分の中での一線が壊されて、より「仕事とプライベートの境目」がなくなってきた感じ。まぁそれでも2月3月はおとなしめであった。

風が変わったなぁと感じだしたのは4月。
まず講演依頼が急増した。広告系の勉強会や学生相手の講義、クライアントに呼ばれてのレクチャーや、広告には関係ないけど広くコミュニケーションを題材とした講演など、めったやたらに依頼が増えた。

映画の字幕を理解できない若者たち 2

2008年5月23日(金) 6:21:32

昨日の話の続き。

「映画の字幕を理解できない若者たち」って、ちゃんと記事にもなっているのね。メールで教えていただいたのだが、「FujiSankei Business i. 字幕読めない若者急増」。約1週間前の5月14日の記事。もしかしたらその研究者もこれを読んだのかも。

日本の新聞サイトって、記事を3ヶ月ほどで削除するというイジワルをする(海外のは基本的に記事を削除しないからリンク切れも起こらない)。なんて狭量で時代遅れなのかと呆れるが、ま、それは置いておいて、リンク先が削除されちゃうと困るので記事を短く引用しておくと、映画会社が洋画の字幕づくりに苦慮している。文字数を減らすだけでなく、漢字の使用を最小限にし、極力ふりがなをふる気の使いよう。こうした事情を反映し、吹き替え版が急増。映画業界では「若者の知的レベルがこれほど下がっているとは…」と驚いている。
映画各社によると、戦前の字幕はスクリーンの右端にひとつのセリフで最大縦13字で3行だったが、戦後は10字2行とやや少なめに。人間が1秒に読めるのは4文字程度というのが理由だった。 文字数が再び増えるのが1980年代半ば。ビデオレンタルが普及するにつれ、テレビでも見やすいようにと、スクリーンの中央下に最大横13字で2行の形式が定着した。
しかし、ここ数年、13字の字幕を読み切れないという若者が増加。映画離れを食い止めようと、10字前後で区切って行数を増やしたり、漢字を省いたり…。さらに、吹き替え版へシフトする動きもある。
東宝東和では8月から10月の3カ月間で計3本のハリウッド大作を公開するが「吹き替え版を過去最大級の手厚さで用意する」と話す。ワーナー・ブラザース映画も「ハリー・ポッターシリーズの場合、吹き替えが6割で字幕版を上回っている。その他の作品でも吹き替えの比率は年々高まっている」と説明する。
字幕以前の問題も。ある映画会社の製作担当者は「スパイ系作品の試写会後『ソ連って何ですか?』『ナチスって何ですか?』との感想が寄せられ、本当に驚いた」と打ち明ける。 吹き替え版が増える未来はイヤだなぁ。役者の魂こもったセリフはそのまま原語で聞きたい。声優を否定するわけではないけれど、世界トップの演技力を持つ役者たちにかなうわけもないし、原語だからこそ伝わるニュアンスもある。それがわけわからないアラビア語やヒンディー語であっても、吹き替えられると失われるニュアンスはあるものだ。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。