映画の字幕を理解できない若者たち 2

2008年5月23日(金) 6:21:32

昨日の話の続き。

「映画の字幕を理解できない若者たち」って、ちゃんと記事にもなっているのね。メールで教えていただいたのだが、「FujiSankei Business i. 字幕読めない若者急増」。約1週間前の5月14日の記事。もしかしたらその研究者もこれを読んだのかも。

日本の新聞サイトって、記事を3ヶ月ほどで削除するというイジワルをする(海外のは基本的に記事を削除しないからリンク切れも起こらない)。なんて狭量で時代遅れなのかと呆れるが、ま、それは置いておいて、リンク先が削除されちゃうと困るので記事を短く引用しておくと、

映画会社が洋画の字幕づくりに苦慮している。文字数を減らすだけでなく、漢字の使用を最小限にし、極力ふりがなをふる気の使いよう。こうした事情を反映し、吹き替え版が急増。映画業界では「若者の知的レベルがこれほど下がっているとは…」と驚いている。
映画各社によると、戦前の字幕はスクリーンの右端にひとつのセリフで最大縦13字で3行だったが、戦後は10字2行とやや少なめに。人間が1秒に読めるのは4文字程度というのが理由だった。 文字数が再び増えるのが1980年代半ば。ビデオレンタルが普及するにつれ、テレビでも見やすいようにと、スクリーンの中央下に最大横13字で2行の形式が定着した。
しかし、ここ数年、13字の字幕を読み切れないという若者が増加。映画離れを食い止めようと、10字前後で区切って行数を増やしたり、漢字を省いたり…。さらに、吹き替え版へシフトする動きもある。
東宝東和では8月から10月の3カ月間で計3本のハリウッド大作を公開するが「吹き替え版を過去最大級の手厚さで用意する」と話す。ワーナー・ブラザース映画も「ハリー・ポッターシリーズの場合、吹き替えが6割で字幕版を上回っている。その他の作品でも吹き替えの比率は年々高まっている」と説明する。
字幕以前の問題も。ある映画会社の製作担当者は「スパイ系作品の試写会後『ソ連って何ですか?』『ナチスって何ですか?』との感想が寄せられ、本当に驚いた」と打ち明ける。
吹き替え版が増える未来はイヤだなぁ。役者の魂こもったセリフはそのまま原語で聞きたい。声優を否定するわけではないけれど、世界トップの演技力を持つ役者たちにかなうわけもないし、原語だからこそ伝わるニュアンスもある。それがわけわからないアラビア語やヒンディー語であっても、吹き替えられると失われるニュアンスはあるものだ。

それにしても、『ソ連って何ですか?』『ナチスって何ですか?』状態では、字幕も理解できないだろうなぁ。13字とか10字とかに縮めるとき、そういう常識語や漢字などは多用せざるを得ない。でもそうすると理解されず、若者に映画が敬遠される可能性が出てくる。字幕担当者の苦労がしのばれる。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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