映画の字幕を理解できない若者たち

2008年5月22日(木) 6:39:51

昨日はある大学で講義。というかゲスト・スピーカー。
朝早く家を出て埼玉まで。ボクが学生の頃くらいから郊外にキャンパスを移す大学が出始めたのだが、ボクの頃はまだほとんどの大学が首都圏にキャンパスを置いていたせいもあり、あまり郊外のキャンパスを経験したことがない。だから新鮮だった。郊外のベッドタウンなのに学生がいっぱいいる。のんびりした田園風景の中で学生生活を送っているその姿。へー、こういうところで学生やっているんだなぁ。

講義後、ボクを呼んでくれた教授と話していたら、こんな話が出た。

「知り合いの研究者に聞いたんだけど、最近、映画の字幕が理解できない若者が増えているらしいよ。字幕って映像と同時に文字が出るでしょ。それを読んで、意味が瞬時に理解できず、理解しようとがんばっているうちに場面がかわってしまい、結局わけわからなくなるという若者がすごく増えているんだって。『そのうち映画は吹き替えばかりになるぞ』って言ってた」

一瞬意味がわからなかったよ。マジですか?
本は読める。メールも読める。リポートも書ける。でも、映像に文字が載っていると意味が把握できない、ということ? 映像でのストーリーの流れを理解しつつ、同時に文章を読むという複眼的作業が不得意な人が増えている、ということ? でも動画に文字を載せるニコニコ動画とかは若者で盛況だしなぁ。まぁあれはコメントを読むというよりはコメントするのが楽しいんだけど。それにしてもどういうことだろう?

そのまま会社へ帰り仕事。
仕事の合間につらつら考えていたが、要するにあれかな、ボクの英語と一緒で「速度が足りない」のかもしれないな。ゆっくり言ってくれればわかるし、ゆっくり読めばわかる。でも瞬時には理解できない。難しい単語が出てくるとお手上げ。つまりは基本的なリテラシー不足。

たぶんそういう人の携帯メールなんかは、仲間内だけで通じる言葉(隠語・略語)と易しい単語だけで構成されているのだろう(ボクの英作文みたいに)。
数日前に「文章リテラシーは個々人それぞれのレベルで上がっている」と書いたが、上がっているとしても、進化の樹形図みたいに枝分かれしちゃっているのかも。情報メタボもそうだけど、「偏った人のカタマリ」がたくさん出来る、という未来が待っているのかもね。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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