情報を得る手段としての書籍の重要性

2008年5月20日(火) 8:00:43

いろんなブログを読み回っていると、最近「情報を得る手段としての書籍の重要性」に言及するブログが多くなってきているのを感じる。

ブログを読む習慣がある人々が、より効率的に情報やノウハウを得る手段として「きちんと一冊にまとめてある本というメディア」を再評価しはじめているのだ。ブログ的さみだれ&気まぐれ論説との比較において、著者と編集者がワン・テーマについてあるレベル以上の論説を苦労して一冊にまとめ上げている「本というカタマリ」の有益性・利便性に改めて気づいたというわけである。

携帯メールの日常化を見てもわかるように、有史以来こんなに人間が文章を書く(打つ)時代はない。
活字離れが叫ばれて久しいが、実は文章リテラシーは個々人それぞれのレベルで上がっている。日常的に書くことを繰り返して上がらないはずはない。そして書けるということは読めるということでもある。底流で全体的に「読書リテラシー」も向上し、ブロガーたちによるそのような「気づき」も含めて、本が売れる土壌が数十年ぶりに整ってきたのではないか。

日本人は、もともと読書好きだったところから一度読書離れを経て、また帰ってこようとしている。
情報・ノウハウ系だけでなく、この延長線上に「小説という優れたパッケージへの回帰」もあるかもしれない。ただ、今のところ、キーワードは「向上」かも。より直接的に自分に役立つものが求められてはいる。純文学に取り組むには身の回りに他のエンターテイメントが溢れすぎているし、ちょっとした時間つぶしなら携帯で充分だ。

いずれにしても出版界にとっては喜ばしいことではあるが、何も変化せずにいままで通りの売り方をしていたら、この好機を逃すかもしれない。売れているからといって情報・ノウハウ系ばかり粗製濫造していると読者はすぐそっぽをむく。判型、価格、タイミング、クチコミ、コンタクトポイントなど、いまの時代の読者に合わせてフレキシブルに対応していかないとこの新しい波に乗りきれないだろう。「書店の書棚で、その本を読みたい人がたまたま見つけてくれるのをじぃっと待っている」という超受け身な売り方のままではたぶん無理。情報洪水の現代、そんな奇跡的確率の巡り合わせに頼った販売方法ではさすがに無理。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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