ある違和感とともに話される

2008年5月19日(月) 7:52:29

NYのブルックリン・ミュージアムの回顧展で実物と空間を体験して以来、ずいぶん見方を変えて「これはやはり素晴らしいアートかもしれない」と思っている村上隆だが、彼の「MY LONESOME COWBOY」がサザビーズのオークションで約16億円で落札されたという(このページの下の方に写真)。ちょうどその美術館にも展示されていて異彩を放っていた。

これはミルクと題されて、女性の胸からミルクが放出されている作品(「HIROPON」上記リンク先参照)と対になっていたが、ちょうどそれを観た夜、NYの「Momofuku Ssam bar」でこの作品の話になったのを印象的に思い出す。友人から、ある違和感とともに話された。「ある違和感とともに話される」ってまさにアートの役割だと思う。アートとはそういう「異化」のみでいいのではないか、と、このごろよく思う。

そういえば、NYのニューミュージアムで売っていた「EARTH」のスペルの中の「ART」の部分だけ色が変わっているステッカー、買おうと思ったのに買い忘れた。ま、ありがちなのだが、なんか地球という単語の中にARTという言葉が含まれている感じを忘れたくないと思ったのだった。

アートって、別に創作物のことではなくて、日常の中の「気づき」なんだろう。朽ち果てたコンクリの建物をアートと見るかゴミと見るかで日常はずいぶん変化する。村上隆はより強烈なカタチでそんな「気づき」を与えてくれ、その「EARTH」のステッカーはより静かなカタチで地球全体、日常全部がアートだと教えてくれる。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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