TEAM NACS『WARRIOR ~唄い続ける侍ロマン』、極上の舞台
2012年6月17日(日) 19:01:00
もう一週間前になってしまったが、TEAM NACSの新作舞台「WARRIOR ~唄い続ける侍ロマン」を観た。@赤坂ACTシアター
千秋楽の前の晩、つまり最終公演の前の日(6月9日)の夜に観た。
3月30日からの全国公演。原案・演出の森崎くんに「終わるの名残惜しいでしょ」と聞いたら「いやー、もういいですw お腹いっぱい」と言っていた。これだけのテンションでこれだけ長い公演だもの、そうかもしれないなぁ。
TEAM NACSについての説明はもういらないだろう。
いま日本で一番チケットが取れない演劇集団のひとつである。森崎博之、安田顕、戸次重幸、大泉洋、音尾琢真の5人組。演劇不毛の地・北海道で、1996年に小さく始まった5人組が、いまではそれぞれ全国区になり、それぞれに多忙を抱えている。もう「舞台上に5人が揃った!」というだけでファンが感激してしまう世界w そのくらいのバリューがついた5人組である。
デビューからほとんどの作品を作・演出している森崎作品の表題は、かならず「語尾にR」がつき、「…続ける…」という言葉が副題でつく。今回もその流れ。NACSファンにはお馴染みかつ「いつもと変わらないNACS」を確認できる表題だ。ファンを愛し続ける森崎(モリ)らしい、敢えて変化しない姿勢。
でも、中身は大きく進化している。
ボクが本格的に観だしたのはモリと知り合ってからなのだが(2007年の「HONOR~守り続けた痛みと共に」から)、その頃からしても、規模も質もスピード感も迫力も桁違い。「HONOR」はとても好きな作品だが、まだ素朴な大地の匂いが残っていて微笑ましかった。まだ地方予選の匂いがあった。
でも今回の「WARRIOR」に、それらの名残りはどこにもない。
それぞれにピンで体張っている役者たちが、いつの間にか育った強烈な個性とともに、強い化学反応をそのまま観客の前に放り出して開陳している。うわー…。なんというか、たった数年とはいえ「一皮剥ける成長」というものをボクは目の当たりにしてるんだなぁと、目撃者としての至福を2時間半、感じっぱなしであった。
ビートルズといっしょにするのもどうかと思うが、でも、「よくこの人たちが出会ったよなぁ」とかいう意味ではビートルズと同じだ。よくぞ出会い、そのままみんなが成長したなぁ、と。
今回のストーリーの舞台は戦国時代である。
信長(戸次)、秀吉(音尾)、家康(安田)、明智(大泉)、柴田(森崎)が、思いも寄らぬ物語を紡ぎ出す(それぞれにピッタリの配役)。
WARRIOR=うぉーりゃぁぁぁ! であるのは最初から予想が出来たが、殺陣も見得も実に素晴らしい。ストーリーもいいし、舞台転換もいい。音楽も良ければ美術も衣装もいい。演技も危なげないし、ダレるところもひとつもなかった。うーん、いい舞台!
震災後をうけてのテーマ設定もいい。
日本をよくするために死んでいった数々の英傑、そして無名の人々。その積み重ねの上に我々は立っている。戦国という「殺し合うのが当然」の社会を舞台に、それを描ききった筆力がまた素晴らしい。
まぁ敢えて言えば、どうしても友人として森崎くんの演技にドキドキしてしまう。
「噛むなよー、噛むな噛むな」「転ぶなよ転ぶなよ」「はずすなよー」……まぁ彼は達者なので全部杞憂なのだが、どうしても心配してしまい、森崎くんの場面になると手足に力が入って疲れること限りないw
彼のことは、2004年に、こんなきっかけで知った。
そう、ボクの本「うまひゃひゃさぬきうどん」が彼の人生を変え、そして彼は奥さんともうどん旅をしたりした挙げ句結婚し、そのうちボクと一緒にニューヨークにミュージカルを観るためだけに旅行をし(2年連続。これとこれ)、などなど、ここ数年、急に親しくなった。彼の主宰番組は北海道でオンエアーされていて全国では流れてないので知らない方もいるかもしれないが、北海道ではとてもとても有名なタレントにいまやなっている。
まぁそれはともかく、いい舞台だったなぁ。
カーテンコールでのシゲ(戸次)のモノマネ58番勝負の第58番も圧巻だった。ラピュタの一場面を全部マネるという、本編を越える大熱演w
終演後、森崎くんとご飯した。
彼と浅からぬ縁を持つ人たちが、神戸から金沢から駆けつけ、9人での親密な飲み会になった。その会を含めて、なんだかとても上質な夜だった。みんなに「あなたはぜんぜん上機嫌に見えない」「NYのころどんだけ不機嫌だったか」といじめられつつw、ふんわり時間が経っていった。
ボクはね、表面上、わかりにくいんだよ。
なんというか、ああいう瞬間に「あぁ死にたいくらいシアワセ」とか思ってるのだ。表情変わらない怖い顔してさw
