TEAM NACS公演「HONOR 〜守り続けた痛みと共に」

2007年3月15日(木) 8:54:34

ひょんなことからお知り合いになった森崎博之さんのTEAM NACS「HONOR 〜守り続けた痛みと共に」の東京公演を観てきた。「水曜どうでしょう」やドラマ出演で人気が出ている大泉洋が所属する劇団、と言った方が通りが良いのかもしれない。北海道を本拠地にしているたった5人の劇団である。森崎さんがリーダーをやっている。

実はあまり期待していなかった。まぁこれからどんどん有名になって行くにしても、まだ地方の小劇団の域を出ていないのではないかなぁと思っていた。前評判は高かったが、一部のコアなファンによるもの、と思っていたのである。天王洲銀河劇場なんていう大箱で大丈夫なのかとも心配した(立ち見が出るくらいの超満員だったけど)。

また、題名の感じから、なんとなく第三舞台の初期名作「朝日のような夕日をつれて」に近い先入観を持っていた。なんかみんなで声合わせて青臭いセリフを言いそうな。1980年代の匂いがするような。「小劇団臭」がするような。

でも。
予想に反して、TEAM NACSの舞台はずっと洗練されていた。堂々たるストーリーと演出。笑いあり涙あり通底するテーマあり、を伸び伸び演じきっている。あの頃の第三舞台よりずっとメジャー感がある。ハッキリ言ってビックリした。

これは森崎さんが知り合いだから言うのではないが、彼の脚本と演出が実によい。お互い酔っぱらった姿しか知らない仲なので、これにもビックリ。2時間の長丁場を全く飽きさせない。

なんつうか全体に「お育ちのいい舞台」という感じだったなぁ。いい意味で。
小難しいこと言って観客を煙に巻くところがなく、ストレートかつ爽やか。ストーリーに無理なく入っていけ、素直に泣け、自然に笑えた。小劇団ちっくに変化球放ってる方が楽なのに、ちゃんと直球で真正面からストライクを取りに来た感じ。潔くて、でもよく練れていて、舌を巻いた。

北海道のある村の三代を、約70年、現代、過去、まだ現代と歴史を行き来して描いていくストーリーなのだが、歴史の遡り方がとても自然で上手。5人とも演技がうまいこともあるが、すっとストーリーに入れ込め、きちんと思い入れさせてくれる。たった5人でひとり何役もやっているにも関わらず、ストーリーと登場人物が素直に頭に入ってくる。これはなかなか高等な技。

まだ東京大阪札幌と50舞台以上公演は続くようである。
以前からのファン5割、大泉洋ファン3割、一般2割という雰囲気であったが、多くの人に見てもらいたい舞台である。終演後、思わずひとりでビールを飲みに行った。うまかった。舞台のおかげである。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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