殺木、その後

2007年3月14日(水) 8:33:44

以前、近所の大木が4本切られてしまった話を書いた

その更地には4軒の家が建築中なのだが、工事中のビニールシートに、ある住宅メーカーの名前が大々的に書いてある。

過敏に反応したのは娘の響子である。
テレビでそのメーカーのCMが流れるたびに、苦虫を噛み潰してぐじゃぐじゃに咀嚼して舌と上顎の間で擦り揉んだような顔をする。

「どうした?」
「このメーカー大っ嫌い!」
「木を切ったから?」
「そう。そのくせに自然がどうの木のぬくもりがどうのって言ってる!」

ボクがいないときに、その住宅メーカーと工事関係者が「工事始めます。ご迷惑かけます」と近所挨拶に回ったらしく、同居している父が応対したらしい。

「しばらくご迷惑かけますが、がんばって街に馴染むいい家を建てさせていただきます」
「どうかなぁ。百年の大木を4本とも切っちゃう会社だからなぁ」
「(苦笑)ちゃんと新しくいい木も植えさせていただきますので!」
「いやぁ、信用できないなぁ。取り返しのつかないことをやったからなぁ」
(辛辣な応対だ:笑)

大木を切る決断をしたのは最終的には敷地の持ち主だろう。不動産会社や住宅メーカーが進言したとは思うが(敷地効率を上げるため)、住宅メーカーだけが悪いのではない。でも、会社の評判って意外とこんなところで決まってしまって、たぶん一生立て直せない。

もちろん小さな小さな悪評である。局所的で個人的だ。無視できるし握りつぶせる。でも娘は一生持って歩くし、父も死ぬまで許さないだろう(ボクも)。クチコミ時代ということもあるが、こういう個人の確固とした強い想いは意外とバカにできない。娘の苦虫を噛み潰してぐじゃぐじゃに咀嚼して舌と上顎の間で擦り揉んだような顔を見るたびにそう思う。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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