ストックホルム5日目 〜琉球料理イベント本番!

2011年11月16日(水) 15:31:52

「琉球料理乃山本彩香」オーナーである山本彩香さんのプロ意識は徹底している。

77歳というご高齢での長距離移動、そしてパリ〜アウグスブルグ〜ストックホルムの3イベントである。まずは体調や体力を心配したのだが、杞憂だった。

彼女は食事時間を日本時間に合わせ、動かさない。
どういうことかというと、ストックホルムのランチタイムは日本時間の夕ご飯の時間(20時)に当たるので、そのときはたくさん食べる。でもストックホルムのディナータイムは日本時間では深夜(早朝)だ。そこでは食事をしない。

つまり夜は食べない。朝も繋ぎに少し。そうやって体調を管理している。そして睡眠をたくさんとり、出歩かず(イベント用の食材調達のみ出かける)、部屋でゆっくりしている。本番で100%のパフォーマンスをするためのプロ意識である。

そこに大城洋子さん(フランス沖縄県人会会長。今回の総合プロデューサー)の、まるで母親に対するような細かい気遣いが重なり、約2週間の時差も厳しい旅なのに、那覇でお会いするときみたいな元気さで日々過ごしている。

後半から合流したボクは、「きっと疲れてらっしゃるだろうから、せめて元気づけよう」と思っていた。でも、ボクの存在が不必要なくらい元気なのである。ホッとすると同時にちょっと存在意義を失ってしまったのだがw

彩香さんの性格はあくまでも朗らかなので、彩香さんの周りはどこでも笑いが絶えない。いつもどの都市に行ってもモテる。

ボクは行かなかったアウグスブルグでは特にそれが顕著だったようで、若手男子にモテにモテたらしい。ストックホルムでも大人気だ。

そういう「モテ」も活力の源泉かもなぁ。
とにかくお元気に日々過ごしてらっしゃる。


さて、5日目の今日は琉球料理イベント本番である。

この日に書いたような経緯で決まったこのイベント。ストックホルムは3都市の中でも最大規模で、なんと300人のお客さんが来る。月曜の昼のイベントで300人。土日にやっていたらどうなっていたか、という感じである。

そして、国際交流基金の主催事業なので、大使館の方々も公の行事として協力してくれている。

日本国スウェーデン大使もスピーチするし、ホテル「やすらぎ」は特注でキッチンスタジアムみたいな舞台セットを組んでいるし、まぁなんというか、イベント・ツアーのラストを飾るにふさわしい晴れがましい場になっているのであった。

イベントは、スウェーデン大使の挨拶のあと、大城洋子さんによる「沖縄」のプレゼン(地理的な紹介、文化の紹介、そして料理の紹介、という20分ほどのパワーポイントによるプレゼンテーション)がある。

そして、彩香さんを招いて琉球料理の文化的背景を含めたよりくわしい説明をしたあと、実演デモをして質疑応答、その後、隣の会場に移って、試食に移る、というスケジュールで、約3時間行われる。

試食メニュー(実演もこのメニュー)はどうするか、は、1年くらい前からの懸案であった。

彩香さんの那覇での人気料理は数々あるが、特にあげろと言われたら「豆腐よう」と「どぅるわかしー」だろう。どちらも本当に絶品だ。

今回も、もちろんそういうメニューを考えたのだが、でも、300人という大人数な上に、食材調達や調理補佐人数の関係もあり、そのふたつを作るのは諦めたのであった。

大丈夫。彩香さんには人気料理はまだまだたくさんある。

現地の食糧事情(いい食材が手に入りやすいか)も考え、ラフテー、ミヌダル、と、豚料理に絞って作ることになった。

日本からすべての食材を送ることも考えたのだが、フクシマ以来、食材受け入れに厳しい国が多いのでトラブルが起こることを避け、現地調達でやったので、メニューが限られたわけである(まぁ泡盛とかは腐らないので早めに送ったが)。

ラフテー、ミヌダル、その2品プラス、デザートとして、シークービー(タピオカ黒蜜糖)も入れて3品。これを小さな器に添えて300人に試食してもらう。

この仕込みに丸々2日間かけたわけである。

当日は朝から大変な量の作業が待っていたが、主に琉球人で構成されているメンバーなので、ゆんたく(おしゃべり)から始まって、のんびりした雰囲気。

この辺の琉球人の「なんとかなるさー」で「てーげー」な感じは(正直、切羽詰まっているときは焦るときもあるが)逆にホッとするときも多い。自分を省みて、いつもきちっとやろうとしすぎだよな、と反省させられる。人生、このくらい気楽に行かなくてはね。

とはいえ、イベント本番の14時の2時間前くらいからさすがに現場も修羅場になってきた。

ホテル「やすらぎ」の厨房スタッフ全面協力のもと、次々と料理は仕上がっていくが、300人分の盛りつけやサーブも大変なはず。間に合うのかなぁ。

でも、途中でミヌダルやラフテーを食べさせてもらったスウェーデン人の厨房スタッフたちが「美味しい!」と俄然やる気を見せてくれ、どんどん捗りだしたのであった。料理長とか、彩香さんから細かくレシピを聞き、質問を繰り返している。それは彩香さんをとても喜ばせ、現場の空気もどんどんよくなっていく。あぁスウェーデン人スタッフも含め、本当にいいチームだ!

一方、会場の方は大城さんと大使館の方々が資料も作ってくれ、準備万端。
ホテル「やすらぎ」のイベントホールは、なんでもベストオブイベントホールみたいな賞を獲った人の設計らしく、かなり格好いい。特注のキッチンスタジアム的な舞台も、さすがに北欧デザイン。これまた格好いい。

そして、その間にも、300人分の料理が出来上がっていく!

会場には続々と人が集まり始めた。
現地スウェーデン人が7割くらいだが、ストックホルム在住の日本人も3割くらい来ている。

大使のスピーチ、大城さんのくわしい沖縄プレゼンのあと、いよいよ彩香さん登場。
琉球の正装をして、まずは最初に琉球語(うちなーことば)で挨拶した。琉球語を大城さんが日本語に訳し、それを通訳の人がスウェーデン語に訳す。

堂々と誇りを持って自分の国の言葉で挨拶することがいかに大切か。

会場でカメラマン役をやりながら、ちょっと感動していた。
日本の中でも辺境に位置する小さな沖縄を、地球の裏側のスウェーデンの人たちに対して、堂々とプレゼンする彩香さんの誇りと姿勢。誇りをもって伝えるものは、必ず伝わる。悠々と、急がず、しっかり想いを伝える彩香さんは、こちらでも大変な敬意をもって扱われていた。

料理の実演では、質疑応答タイムでもないのに、会場から次々と質問が飛ぶ。つまり盛り上がっているわけですw あぁ大成功だなぁ。

というか、世界トップクラスの長寿を支えてきた琉球料理。
関心はかなり高いのが感じられた。


試食に移る前に、彩香さんからの個人的な感謝で、ホテル「やすらぎ」で常に我々に気を遣い、素晴らしいアテンドをしてくれた現地スタッフ佐藤公美さんへのサプライズ・プレゼントも用意した。公美さんには本当にお世話になったなぁ。


で。
会場を隣に移して、裏方4人組プラススウェーデン人厨房スタッフの素晴らしい連携作業で出来上がった料理の試食である。

まぁ自分でも試食してみて味に自信はあったが、いったい沖縄から遠く、文化的にも気候的にも正反対と言ってもいいスウェーデン人たちの反応がどうなのか、多少心配であった。

でも、まったく心配する必要がなかった。
とても受けていた!
おかわりする人も多く、多めに用意した試食料理も足りないくらいであった。

不思議だな。
スウェーデン人たちが琉球料理(それも琉球辻料理)をわいわい話しながら食べている。
大使館が用意した日本のパンフがはけていく。泡盛や日本酒もどんどん売れていく。

少しでも沖縄、そして日本の文化に興味を持ってくれ、美味しく身近に感じてくれれば、このイベントは成功である。その意味で、本当に大成功だったと言えると思う。

彩香さん、洋子さん、西大さん、ミキさん、そして優子さん、お疲れ様でした。

大使館の上田さん齊藤さん、そしてシェフ。
「やすらぎ」の佐藤公美さんも本当にどうもありがとう。


打ち上げは「やすらぎ」内のレストランで。

みんな疲れてて、一杯飲んだらふらふらになったが、なんだかとても楽しかった。そして自分的にも、なにかの「切り替えポイント」になった気がする。生き方を矯正するいいきっかけにもなった。

こうして素晴らしい夜は更けていったのでありました。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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