ストックホルム4日目 〜お帰りなさい。私の食欲

2011年11月15日(火) 13:22:28

泊まっているホテル「やすらぎ」の敷地は広大だ。

というか、建物(日本人設計)自体が広大で、探検を繰り返しても毎回新たな発見がある。細かいところまで和風の設えを意識してあり、なんだかとても面白い。石庭みたいなのもいたるところにあるし。写真は風呂場前にあった、桶や籠で設えたオブジェ風のもの。

全体に「禅」を意識していて、シンプル&ミニマル。
大使館の上田さん齊藤さんに聞いたところによると、日本に対する関心は最近とみに高まっているようで、伝統文化(禅、茶、書、生け花、武道などなど)からファッション、アニメなどのポップカルチャーに至るまで、わりと人気があるらしい(元々の興味の入り口は技術大国日本らしいけど。さすがノーベル賞の国)。だからこういうホテルが成り立つのね。

4日目の今日も朝6時のオープンを待ってプール&露天風呂。

誰もいないプールで300mくらい泳ぎ、厳寒の中で露天に入り、の繰り返し。そのうち朝焼けが始まる。林の中からそれを眺める。

人生とは時間だ、と、常々わかっていたつもりだけど、その時間を最近大切にしていなかった。悔恨と、その悔恨を根っこにする希望と。ギリギリで気づけて良かったな。スローダウンしないと見えてこないものがある。

実は危機的な状況だった。

来る直前の東京で、ボクはマジで鬱病寸前だった。
食欲もなければ味覚もない(何を食べても美味しいと思わない)。睡眠は2時間くらいだし、気分的にも仕事的にも追い詰められていて、「あぁもう消えてなくなりたい」というギリギリまで行っていた。

でも、なんとか崖っぷちでとどまったようである。

復活のきざしは食欲から。

もともと食欲魔人的であったワタクシ。
40度の熱があっても食欲だけは衰えなかった自分としては、食欲がなかったのは本当に危機的だった。

でも、ストックホルムに来て、沖縄やスウェーデンの明るい人々と一緒に行動し、プール&お風呂でリフレッシュし、朝から超健康的な食事をし、を2日繰り返したら、最初にまず「あ、おいしい」と、真っ当な味覚が戻ってきた。次に「あ、おなかが空いている…」という「日常」が戻ってきた。

お帰りなさい。私の食欲。

「え、朝からそんなに食べるの?」と驚かれるくらいいっぱい胃袋に詰め込む。鬱直前のころはなんだか栄養素も吸収できてなかった気がする。だからとにかく食べる。食べて復活する。人生の元気を取り戻す!

なんだか最初は「変わったホテルだなぁ」と思ってた和風スパ「やすらぎ」が、自分にとっては救い&リスタートの場所になった。ありがたいな。普通のホテルだったらこうはならなかったと思う。本当にやすらいだ。そして元に戻せるきっかけをもらった。


みんなはといえば、前日同様、仕込みである。料理の下ごしらえだ。
なんと言っても、翌日の本番は300人から人が来る。スウェーデン大使も来る。そこそこ大きなイベントなのだ。

とはいえボクは下ごしらえではあまり役に立たないので、途中で抜け出して、ホテル周辺の散歩にひとり出かけた。

ストックホルム郊外の、海と湖に囲まれたホテルである「やすらぎ」。
周辺には野ウサギが跳ね回る静かで豊かな林が広がっている。まずは敷地内の庭でゆっくり散策。写真は庭の解説。なんというか、やけに凝っているんだよね。

庭園を離れ、人っ子一人いない林の奥へ。
熊がでるのではないかと怖くなるような昼も暗い林の中を抜けて、どこか知らない海辺、いや、ここは湖畔かな、を歩く。

湖からまた林へ。そしてまた海辺へ。

行き止まりやら獣道やらを抜けてまた違う海辺へ。そうすると忽然と別荘みたいのが現れたりする。

写真はとある海辺。
東京のあくせくから最も遠い世界。

もう一回行けと言われてもよくわからん。人生で二度と行かないであろう海辺。

そして突然、大きな客船がすぐ横を通ったり。


夕方帰ってきて、もう一度プール&露天風呂。
夕方は激混みの時間で、芋の子だったけど、それでもなんだかゆっくりできた。

夜は仕込みで疲れた数人と、SAKE BARで。

このホテルがオリジナルで開発した「ソラチ」というビールも飲んだ。
ちゃんと北海道空知産のホップを使っているらしい。苦みが強く、美味しかった。

明日はイベント本番。

果たして「琉球料理 × スウェーデン」がどんな化学反応を示すのか、ちょっと楽しみ。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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