高峰秀子という理想の老年

2011年1月 7日(金) 22:13:38

大晦日にこの記事を書いたあと、高峰秀子の訃報を知った。

それ以来一週間、家にある高峰秀子のエッセイを少しずつ読み返している。
本当にエッセイの名人だと思う。なんというか生きている姿勢がそのまま真っ直ぐ出ている(こういうのって書くのはとても難しい)。その繰り出し方も小気味良い。そして老年期の『捨』の仕方がまさに今のボクの気分そのままだ。だから共感いっぱい読み返している。

彼女のだけでなく、斉藤明美のエッセイ(「高峰秀子の捨てられない荷物」)も読み返している。ちょっと高峰秀子に対する過剰な愛と自己憐憫的自虐表現がつらい部分もあるのだが、高峰秀子の老年期の日常が活写されている貴重な資料でもある。

ボクは高峰秀子の全盛期を知っているわけではない。
もちろんいくつも主演映画は観ているし、彼女の当時の尋常ではない人気度も知ってはいる。今のトップ女優の比ではない。まぁ情報も娯楽も少ない時代だったので彼女に集中した部分もあったのだけど、それはそれは凄まじい人気だったようだ。そういうチヤホヤの中、少しも勘違いせずに年齢を重ねて行ったのは奇跡的なことだと思うし、よっぽどの自制と客観があったのだと思う。その点だけでも天才だ。

それだけの人気を誇りながら、豪華な生活もせず、小さな家で超シンプルな生活をした彼女。
あらゆる映画賞のトロフィーもすべて捨て(つまり華やかな女優時代と縁を切り)、自分の気に入ったものだけを少量身の回りにおいて、静かな老年を夫とふたりで過ごした彼女。

まぁ比較もできないことではあるけれど、そのシンプルな老年だけは見習いたいとずっと思っている。
ボクの「理想の老年」は彼女のそれなのだ。それだけはここ10年くらい変わらない。

「葬儀一切不要」と遺言を残したのも彼女らしいな。

ちなみにボクも葬儀一切不要です。>家族へ。
死んだらしばらくこのサイトだけは残しておいてください。あとは何もいらない。戒名も特には欲しくない。ここがお墓。生きてきた時間の集積所。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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