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高峰秀子

LV4「コットンが好き」

高峰秀子著/文春文庫/724円

コットンが好き
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高峰秀子のエッセイを読んだことある人はみんな、彼女が『捨てる人』であることを知っている。
身辺を整理しすぎるほど整理して、シンプルに生きていることを知っている。その中で彼女が捨てていない(捨てられない)小物たちを集めて、その写真とともに小文にしているのがこの本である。指輪、はんこ、飾り棚、腕時計、風呂敷、台本……著者が思い出とともにそれらを語るわけ。著者ファンなら見逃せないでしょ?

とても滋味溢れた名文揃い。
実は1983年に出された単行本の復刻版文庫なのだが、2002年(ほぼ現在)に書かれた「あと書き」も瑞々しい。彼女は鴨長明みたいな暮らしと精神性に憧れているようだが、ボクにとっては彼女の生き方こそ憧れだ。女優業のときの栄光を捨て、身丈にあったシンプルな暮らしを心がけ、人の評価などどこ吹く風と自分の生き方を貫いている潔さ……。人気稼業にいた人で、歳取ってもなかなか「人気の魔力」から逃れられない人がいるが(人気稼業ではなくても、他人の評価で自分の価値を決めている人は多い)、そこともっとも離れたところで生きている彼女。見習いたし。

2003年05月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

LV4「にんげん住所録」

高峰秀子著/文藝春秋/1238円

にんげん住所録
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名人高峰秀子の最新作。
相変わらず読んでいて気持ちよく、自然と「足るを知る」気持ちにさせるエッセイ。そろそろ著者の本も読めなくなるだろうという気もしており(知り合いの担当編集者が「これが最後かもしれません」と言ってたし)、読み終わるのが惜しかった。

正直言うと、いままでの著者が書いた名エッセイ群に比べるとちょっと切れ味が落ちる。でも彼女のエッセイを楽しみにしている常連読者たち(ボクを含む)にはそんなこと気にもならない。だって、ちょっと低調とはいえ、そこらのエッセイの数倍は面白いから。そして、今この歳になったから書けるいろいろな総まとめが哀しくも美しいから。ファンとの交友を綴った「住所録」、黒澤明のことを書いた「クロさんのこと」、木下監督のことを語った「私だけの弔辞」など、淡々としながら、読んでいる側が思わず背筋を伸ばしてしまうような名エッセイの数々。ぜひゆっくり味わって欲しい。

高峰秀子の本を読むたびに、持ち物少なく思い出も少なくきれいに老いたい、という気持ちに満たされる。そして現在の身の回りの複雑さ・煩雑さを顧みて、自分の至らなさにがっくりくる。ボクは彼女のようにきれいに老えるだろうか。5年ごとに再読して確かめたいエッセイ群である。

2002年11月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

LV3「にんげんのおへそ」

高峰秀子著/文藝春秋/1238円

にんげんのおへそ
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エッセイの名手高峰秀子の新作である。
まだ彼女が生きていて同じ時代の空気をすっていることにとりあえず感謝したい。

行動範囲が狭くなりつつあるのであろう、ちょっと題材に繰り返しが多く新たな視点が少なかったりするのだが、そこはそこ、向田邦子と幸田文と群ようこを足して3で割ったようなその文体の艶でなんなく読者を彼女の膝元へ誘き寄せてしまう。
内容的にはちょっとキレがなくなってきているが、読んでいて心底安心できるエッセイは貴重。また安野光雅の装丁も大変いい。

1998年07月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

LV5「わたしの渡世日記」

高峰秀子著/文春文庫/上下各667円

わたしの渡世日記〈上〉
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名作の誉れ高かった著者の自伝の復刊である。
最初の出版が昭和51年であるから、ええと、何年前だ? まぁいいや。とにかく昔の本である。が、その頃から高峰秀子は名手だったのがよくわかる。もともとスターとして生きてきた半生自体が一般人には興味深いものなのであるが、それを抜きにしても実に面白い自伝だと思う。

自分を遠くから眺めおこすその視点がとても心地よい。変に謙虚ぶったり変に偉ぶったりせず淡々とイキイキと自分を語っていく。なかなか出来るもんじゃない。
そして母親との確執も迫真と客観を入り交えて上手に描き切っている。もちろん著者に関わってくる人生折々のスターたちのエピソードも興味深いが、彼らに対する著者の観察眼の鋭さはまた格別。
総じて上質なるエンターテイメントなのである。

1998年06月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:自伝・評伝

LV4「私の梅原龍三郎」

高峰秀子著/文春文庫/667円

私の梅原龍三郎
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隠れた名文家・高峰秀子の昭和62年出版本の文庫化。
彼女の良さは客観化がしっかり出来ている平明な視点と含羞の程よさである。そして筋が一本通っている生き方。そう、生き方自体が文章によく表れているのである。

この作品でもそれはしっかり出ている。感動するのは梅原龍三郎との近くなりすぎない距離感。それは彼の死まで変わらない。小説(随筆)的視点と実生活的視点がこれほど近い人も珍しいのではないか。新作が待たれる。

1997年11月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:アート・舞台 , エッセイ

LV4「にんげん蚤の市」

高峰秀子著/文藝春秋/1300円

にんげん蚤の市
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知る人ぞ知るエッセイの名人、高峰秀子による最新エッセイ集。
やさしい目線で鋭く切りつけるその手腕には毎回感心させられるが今回もとてもいいエッセイがいくつか。土門拳や木村伊兵衛のエピソード。中島誠之助という人間鑑定。司馬遼太郎とのついえぬ思い出。歯切れのいい(伝法調)文体で過去、人、想いを削り出す様は、並みの作家真っ青の出来だ。
ただ今回はちょっと散漫なエッセイも見受けられ残念。特にご主人との掛け合いはそんなに効果をあげていなかった。

1997年03月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

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