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ニューヨーク日記〜97年夏 また来ちゃった篇

こんなに早くココに「帰って」くるとは思わなかったのでした。

1997年4月12日から28日までニューヨーク出張していたのですが、その記憶も新しい同じ年の8月1日。またしても僕はJFK空港に降りたっていたのでありました。
前年の10月にも来ているから、この1年で3回(!)。12ヶ月のうち、1ヶ月半以上ココで生きていることになります。なんだかニューヨークづいているんです。なぜか縁がある。

こんどは16日間の滞在でした(前と同じくらい)

こちらの人も「一番悪い季節」と認める8月。
30度を超える気温とヒートアイランド化したビル街。
観光には最悪だけど、仕事だからしょうがないですよね。わりと前回の「ニューヨーク日記」が好評だったので、引き続き書こうと思います。 どうぞおつきあいください。

8/1(金)

成田12時発JAL006便ニューヨーク行き。

まさかこの飛行機にまたしても、しかもあれからわずか3ヶ月後に乗ることになろうとは思いもしなかった。
今回は、ニューヨークに行くぞ〜、というワクワクはない。この1年間で3回目。しかも前回の17日間の滞在からたった3ヶ月しか経っていないからね。しょうがない。
それよりも6日前に西宮から芦屋に引越したばっかりだったので、整理し切っていない段ボールの方が気になってしまって落ち着かない。ニューヨークに行かないで家で整理していた方がいいや、みたいな気分があったんですよ、正直なところ。
「家このままにしてまた行くの?!」……妻の顔も怖かったし。
でもまぁそんなのJFK空港に着いた途端に消えてしまいましたけど。

飛行機ではイイコトがありました。
鶴田真由が隣だったんです。すっごい小柄だけどすっごい美人。ラ、ラッキーすぎる!と思ったんだけど、ちょっと悲しいこともありました。この辺のことはこちらに書いたので興味のある方はお読みください。

映画はロビン・ウイリアムスの「ジャック」とトラボルタの「マイケル」。「太郎」と「浩」って感じでしょうか。名前シリーズですね。両方ともイマイチ。そしてまたしてもほとんど寝ず。どうも飛行機で寝ない習慣がついてしまったようです。


さて、マンハッタンに着いて「おうおう、相変わらずかい」って感じの街を通り抜け、すぐホテルにチェックインした。いったん日本に帰った実感が全くない。ずっとこの街にいたんじゃなかったっけ?って感じでした。

ホテルは44丁目の5番街と6番街の間、「TheMansfield」。
とにかく混む時期だったからコーディネーターに取ってもらったんだけど、なんか変ったホテル。おしゃれなんだけど快適でない。まず圧倒的に部屋が暗い。窓が小さく、しかも外がすぐ壁だから暗い暗い。部屋は白と焦げ茶のツートーンでやっぱり暗い。ベッドがヨーロッパサイズで狭い。床のフローリングにワックスが掛けてあるから靴が脱げない。そして何より、冷蔵庫がない!おいおいおい。どうせいっちゅうんじゃ!こんなところに16日間もいられるかぃ!
とはいえ、キャンセルするわけにも行かず、我慢して荷を解き一休み。

16時から打ち合わせを2時間。
前のNY出張での仕事仲間たちと再会。前の前、そしてその前、と、もうこのスタッフとも4回目の共同作業だ。

現地在住のカメラマンおすすめのイタリアン・レストラン「Daniella」で夕食。
寝てないせいかルフィーノのキャンティ・クラシコが回る。エンジェルヘアがとてもおいしいレストランだった。

20時から「マンハッタン・クルーズ」に出た。ニュージャージー側に渡って乗船。6人の仲間と小さなボートを借り切ってハドソンリバーを下る。仕事の関係で必要な下見。夜景のポイントを探すためのクルーズだ。

この時期のニューヨークは20時半くらいにならないと暗くならない。
よって20時過ぎに素晴らしい夕焼けと共にやっと日が暮れて、すごい夜景が眼前に広がりだす。

さっきまで日本にいたのに、いったい人生ってどうなっているんだ、と変な感慨。肉体のあまりに早い移動に精神がついていかない感じ。だって、地球の裏側だよ、ココ。しかもいきなりマンハッタンの夜景をハドソンリバーから眺めるだなんて。

リクエストして自由の女神の足もとまで行ってもらう。
でかいね、意外と。巨大。そしてズンドウ。デブだぜ、この人。ヘリからの撮影のような構図の写真が多いよね、自由の女神。横や下から見ると全然印象が違う。ちょっと新鮮。
ライトアップで夜空に浮かび上がる。
長期航海を終えてNYに入ってくる船なんかに乗っていたら大感動することだろう。その非現実感が、後ろに見える摩天楼の非現実感と見事にシンクロして人を呆然とさせる。いやいやボーゼン。


船から降りて24時まで打ち合わせ。
何とか合意を見てから、ホテルのまん前にあるイタリアンレストラン「TorrediPisa」のバーで宮本女史とグラッパを飲む。メルロー種のグラッパ。うまい!カパカパ。カパカパ。カパカパカパ………ホテルに帰って即死。初日から飲みすぎ。

Daniella

212-807-0977/3128thAve.(cornerof26St.)

コージーで安心できるイタリアン。全体に高いレベルで味がまとまっている。その日のスペシャルを良く聞いてオーダーすれば間違えはないと思う。オススメはエンジェルヘアーのスパゲティ。なかなかおいしいものに当たらないこのスパゲティがここではとてもよく出来ていた。前菜、メインともになかなかおいしかったが、他のパスタがイマイチなのが残念。

8/2(土)

7時起床。
昨晩2時までグラッパを飲んでいたので、よく寝れた。ただ飛行機で寝ていないから圧倒的に睡眠時間は不足している。これで今日夜遅くまで我慢すれば時差はなおる。後少しの辛抱なのだが、これが辛くて、ね。

今日は土曜日でマンハッタンのほとんどのオフィスはお休み。
8時にホテルを出て仕事を一緒にする岩本さん、宮本さんと朝定食を食べに「めんちゃんこ亭」に向かう。え?もう和食かよって。うん。まぁ岩本さんのご希望で。
休みだから朝からマンハッタンはがらんとしているのだが、街を歩いたら、もうここは渋谷か?というくらい日本人だらけ。朝8時ですよ!4泊6日くらいの旅行を貪欲に楽しもうとしているのはわかるけど、ちょっと不気味。店もカフェも空いていないのに、ぞろぞろぞろぞろ。怖い。

今日は本番用のオーディション。
朝10時から夕方の6時まで総勢200人を見続ける。基本的にはオーディションって面白いんだけど(特にニューヨークのはいろんな人種、いろんな夢を持っているタイプが来るのでおもろい)、さすがにこれだけいるとだれてしまってダメ。で、オーディションしながらメールなんぞを打ったりして。緊張してオーディション受けてる人には悪いけど、こんなもんです。机のこっち側は。

その後オフィスに戻りセレクトする。200人から30人を目的別に選び終えるのに2時間かかり、やっと夜ご飯。岩本さん達とミドルタウンのおしゃれな中華「Chin Chin」へ。チンチン。店の人に「どういう意味だ?陳という人がやっているのか?」と聞いたら「いや、なんの意味もない。日本語でチンチンは○○○のことだとは知っている。イタリア語で乾杯の意味だとも知っている。でも中国語ではなんの意味もない」とさ。

なかなかおいしかった。お洒落っぽい中華ってハズス場合が多いんだけど、ここは当たり。洗練された味だがしっかりパンチがきいている。

夜ご飯を終わってホテルへ。変ったホテルで、ビデオやCDをただで貸し出してくれる。「FrankSinatraTheCapitol Years」というCDを借りる。昭興酒に酔った耳にシナトラの柔らかい声が心地よい。本当にシナトラはニューヨークに合うよなぁ、たまらんなぁ、と思っている内に意識を失った。

Chin Chin

212-888-4555/216East49th.st.(bet.2nd&3rd)

ちょっとおしゃれな中華。こういう店はイマイチなことが多いのだけど、ここはイケル。焦点のはっきりしたメリハリある味で、洗練されているだけではない力強さがある。Sweet &Sourのスープ、MamaChinBeef、チャイニーズ・ブロッコリなどどれも美味しいからいろいろ試してみてください。昭興酒がなぜかやけにうまかった。

8/3(日)

今日はオフ。
来てから2日間。きっちり働いたからなんか疲れちゃって(もちろん時差もある)部屋で10時くらいまでダラダラする。

3ヶ月前に来たときは土地勘を思い出すためにとにかく歩いたが、今回はその必要もない。もう土地勘はあるし特に行きたいところもないし買いたいものもない。
さてどうしようかな。


結局、結果的には歩き回ることになった。
まずホテルから6番街に出たらいきなりの「ホコテン」状態。道いっぱいにフリーマーケットになっていたのだ。適当に店を冷やかしつつセントラルパークまで13ブロック歩いたあとセントラルパークのベンチでしばしぼんやり。その後5番街を取って返してず〜っとワシントン広場まで53ブロックをぶらぶら散歩した。
途中、5番街の「ベルサーチ」が黒ずくめで喪に服しているのが印象的だった。殺されちゃったばかりですからねぇ。店員もショーウインドウもすべて黒。


ワシントン広場の噴水に水着の人がつかったりしている。そう、物凄く暑い。帽子もかぶらず歩いたので日射病になりそうな感じだった。
グリニッチビレッジに入って通りがかりのベトナム料理屋に入る。腹がぺこぺこ。こういう時はちょっと辛めのベトナムヌードルが食べたくなるよね?ならない?あ、そう。
待望のベトナムヌードルスープをずるずるかきこむ。うまい。オープンなテーブルでビレッジを行き来する人を見ながら、しかも異様に暑いさなかに熱々のヌードル。たまらんなぁ。ビールとともに堪能した。


ビレッジをぐるりと一周したあとソーホーへ。

日曜のソーホーは竹下通り状態だ。本当に人が多い。そして日本人が5人に1人いる感じ。本当はそうでもないのだろうが、目に飛び込んでくる。姿勢が悪いからすぐわかる。恥ずかしくなるほど姿勢が悪い。背が低い上に猫背。特に女性の肩から背中に掛けてのラインが醜い。背筋がしっかりしている日本人を見ると声かけて褒めて上げたいくらい。
と、いいつつ、ショーウインドウを見るとしっかり背が丸まった僕の姿が映っている。醜い。
日本人たちよ、お洒落しようが高い服を着ようが、背が丸まっていては全く映えないし第一誇りまでないように見える。背中を伸ばして歩こうゼ!


画廊を巡って歩く。
小さい額物がほしいのだが、高いし特に気に入った物が見つからなかった。
ソーホーからブロードウエイを北に上がってタワーレコードでひとしきりCDを見た後、タクシーでホテルへ戻る。さすがに歩き疲れと暑気疲れ。2時間昼寝。

19時に宮本女史と待ち合わせて夕御飯。
タクシーに乗ってどこか行くの面倒臭いね、ということになって(ふたりとも疲れているのだ)ホテルの目の前のイタリアンへ。
おとといグラッパをへべれけになるまで飲んだところ。バーがまぁまぁだったのでレストランもイケルのでは、という期待だったが………見事におおはずれ。まずいし高い。おしゃれな店内なのだが、がっかり。唯一「サシカイア」を久しぶりに飲めたのがうれしかったが。

とりあえず口直しということでそこから歩いて30秒ほどのところにあるアルゴンキンホテルのブルーバーへ。有名なバーだ。だからかなり期待したが……僕には普通過ぎたな。特にどうということもない(どうも移転してイマイチになったという噂)。
シェリーを一杯飲んで、ブルーバーを出る。なんか締らないね、ということでアルゴンキンのまん前、つまり僕が泊まっているホテルの2,3軒となりの名門ホテル「ロイヤルトン」のバーに行くことにする。去年真田さんに連れて行ってもらったところだ。ホテルのロビーにうなぎの寝床みたいに長〜くバーがあって椅子がそれぞれ趣向を凝らしたソファ状になっている。寛げるお洒落さ。GOOD。

宮本女史がオーダーしたロイヤルトン・マーティニがクランベリーが入っていて面白い味だった。が、単なるドライ・マーティニは最低の味だった。頼んじゃダメだよ!


ホテルに帰ったのが1時頃かな。少しメールを打って(酔っ払っていたので単なる饒舌なゴミメールとなったが)、2時ごろ失神。

Song

212-529-3808/107MacdougalSt.

グリニッジビレッジのベトナム料理屋さん。Oの上に>がひっくり返ったのがつく。サングと読むのかな。うまい。繊細な味つけでしつこくないわりにコクがある。ヌードルは3種類ある。僕はチキンヌードルを食べたが麺もスープもおいしく最後まで飽きなかった。店は籐の椅子が涼しげでわりかし清潔です。

★ TorrediPisa

212-398-4400/19W.44thSt.(bet.5th&6thAve)

お洒落な高級イタリアンレストラン。ホテルのまん前にあるので試しに入ったが見事に失敗してしまった。焦点のぼけた味と煮え切らないサービスで、しかも高い。パスタもアルデンテからは程遠く全体にもったりしている。ミッドタウンのこの辺は思ったより店が少ないからやっていけるのかもしれない。ビジネスマンの接待用として。

8/4(月)

朝6時起床。眠いし全体に寝が足りてないのに一度起きちゃうともう寝られない性格。仕方ないからのそのそ起き出してシャワーを浴びて、ロビー前の書斎風ラウンジにブレックファストを取りに行く。

タダなのである。もちろんセルフサービスだが、その書斎(実際に本棚が両方の壁を埋めている)にランダムに置かれたソファに座って食べる形式だ。テーブルなどないからソファにお盆を置いて食べたりしている人もいる。寛げるのか寛げないのかよくわからない形式だが、僕は窓際の一人用ソファが空いていたのでラッキーとばかりに座った。
ここは窓の桟にお盆を置けるし、道行く人々を眺めながら食べれるので最初から目を付けていた席だったのだ。

ブッフェ形式のメニューはシリアルとバナナなどの果物とパン、それにコーヒー。なぜか茹で卵がある。それらを一通りとって窓際へ。ゴダードの「リオノーラの肖像」を読みつつ道を眺めつつゆっくり朝食を取る。最初はなんて変なシステムだ、とぼやいていたがなかなか気に入っている自分に気づく。いいな、この朝飯。ホテルとしては長期滞在者には絶対お勧めしないが、この朝食は面白い。


ホテルを出る。
昨日と打って変わって賑やかな街を北に向かう。やはりマンハッタンは平日だね。土日は寂しくてイカン。

バーニーズに行ってスーツを見る。
この1年、スーツ売り場の店員は全然変わらない。僕を覚えていたようで「オー、コーベ」などと寄ってくる。そういえば前回神戸の地震の話をかわしたっけ。彼は神戸に半年いたことがあるらしくかなり喜んだのだ。
なんとなく買わないといけない雰囲気になってきた。店員と知り合いになるのは最低だ。ニコニコ次々にスーツを持ってくる。やばいなぁ、と思ったときにはもうフィッティングルームに連れ込まれていた。まぁ買うために来たからいいのだが、まったくカモだよなぁ……
欲しかったブラウンのDonnaKaranスーツを買う。今回はこれで予算オーバー。ちゃんちゃん♪

バーニーズからタクシーでソーホーのオフィスへ。おなかが減ったのでひとり昼飯を食べに行く。行き当たりばったりにアメリカン・キュイジーヌの店に入ったが、正解。地下に広々と店を構えており、お洒落で味もサービスもメリハリがきいていて気持ちのいい店だった。グラスワインとリゾットをゆっくり食べる。


オフィスにて打ち合わせ。
その後、「実は明日から3日ほど仕事がなさそうなのでボストンに行こうかと思っている」とコーディネーターに打ち明けると早速ホテルを当たってみてくれた。が……なんと……ひと部屋すら空いていないという事実!なんだそりゃ?!
タングルウッドがボストン響の夏期イベントで混むのは知っているけど、ボストンがどのホテルもひと部屋も空いていないとは…! 詳しく調べてもらい、周辺の小さい街のホテルも調べてもらうがダメ。う〜ん。困った。すごく楽しみにしていたのに。ボストンもそうだが、コンコルドというソローが「森の生活」を書いたという村にも行ってみたかったのに。
う〜ん。

散々残念がっていたら周りの里見さんや拓真くんが「ケベックはどうでしょう?」と言ってきた。
ケベック? カナダのケベック? あのフランス語圏ケベック州の州都? ふ〜ん、ケベックねぇ……


まぁ結論からいうとケベックに出かけることにしたのでした。
ぜーんぜん心の準備が出来てなかったし、英語がそんなに通じないというのも不安だったけど、もう「どこかに行こう」という気分になっていたのでしょうがないよね。
ホテルも取れたし飛行機も取れた。
これで安心安心。

しっかしボストン、行きたかったなぁ。なんでもコンベンションがあって、7万人がボストンに殺到しているらしい。旅行代理店もびっくりしていた。(後日知ったのだが、例の「アップルとマイクロソフトの業務提携」を発表した歴史的な(?)MACWORLD Expoが行われていたのでした)


そうこうしているうちにもう18時。
18時15分に大学時代の先輩でこちらに駐在している真田さん夫妻とレストランで待ち合わせているのだった。

「March」というフレンチ。シェフは「料理の鉄人」にも出て残念ながら負けてしまったらしいが、とにかくニューヨークでは話題の店らしい。まさに旬。楽しみだ。
料理はフレンチと和食の幸福な出合い、とでも言おうか。和食テイストを随所に取り入れたさっぱりフレンチでかなりレベルが高かった。なにしろアミューズグルにお寿司が出てくるのだ。敢えて言えば「くずし寿司」みたいな突き出し。でもスターターには良く出来ている。
器も和食器が中心で、メニューもパスタがあったりして、そう、分類すればユーロ・ジャパニーズみたいになるのだろうか。うまい。流行るのもわかる。

20時半に食事を終えて、ジャズを3人で聴きに行く。
44番街の「Birdland」。言わずと知れたチャーリー・パーカーの伝説的な店である。
店内はきれいで、何よりも特筆すべきはテーブルの配置がゆったりしていること。スイート・ベイジルにしてもブルーノートにしてもウエイターが通れないほど椅子を詰め込んでいるが、ここはすごくゆったりしている。身体が楽だ。

お目当てはここで毎週月曜日に演奏している穐吉敏子ビッグバンド。
スケジュール表には「TheLegendaryToshikoAkiyoshiJazzOrchestraFeaturing LewTabackin」とある。そう、Legendaryなのだ。日本でもあまり聴けないプログラムなので喜び勇んで行った。彼女の旦那さんのルー・タバキンのテナーも楽しみだったし、この前彼女の半生記を読んだばっかりでなにしろ穐吉敏子に興味があったのだ。

まぁはっきり言っておばぁちゃんであった。
人種的偏見が強いアメリカのこの業界で日本の女性がただひとり一線で活躍してきた辛さを思うとそれだけで涙が出てくるくらい「誇らしい」気持ちになる。このオーケストラでも女性一人、堂々と指揮を取っている。 その音楽はメリハリのきいたツボを押さえたものでとても魅力的。彼女のアレンジがとてもファニーでスタイリッシュでオリジナリティのある物だった。ルー・タバキンは最後の方になって本領発揮。圧倒的な演奏だった。詳しくはこちらにも書いたので見てください。


日本風フレンチといい、穐吉敏子といい、アメリカの中に入り込んだ日本を見た夜だった。
オリジナリティさえあれば文化はなりたつ。「March」のシェフは和食にオリジナリティを発見し堂々と取り入れ大流行の店を作った。穐吉敏子は自分の中のオリジナリティにこだわってこだわって食えない時期もこだわって、そしてあるジャズ的境地にたどり着いた。

オリジナリティは国境をこえる。
昔、遣欧使節団はローマでそのオリジナリティをもってたいへん尊敬を受けたらしい。今の日本に、日本人に、いや、僕に、果たしてどれほどのオリジナリティがあるのか。世界に通じるオリジナリティを持っているか? 
英語が話せることが国際化ではない。まず自分を持つこと。自分のオリジナリティをしっかり持つこと、これこそ国際化である。高校では日本史を外して世界史を必修科目にしているらしいが、そんなことは結果的に国際化に逆行しているというのがわからないのだろうか。

おっと酔っ払って饒舌になってきてしまった。
さっさと寝るのである。ただいま深夜2時。

Monzu

212-343-0333/142MercerSt.

ソーホーのグッゲンハイム美術館の裏の地下。お洒落で明るいレストラン。「CuisineoftheSun」をうたっている。太陽の恵み、か。料理は健康的で開放的。前向きなるアメリカ料理を供する。サービスも気持ちがいいし、味は塩がきつめなのが難だがとてもよく出来ていると思う。すっごく美味しくはないが標準的だ。間違いがない味。二つ星半くらいかな。一人で入ってサラダとリゾットを食べたがリゾットは特に良い出来でした。ちゃんとアルデンテ。

March

212-838-9393/405East58st.(bet.1st&York)

今ニューヨークでも旬のフレンチ。和食の粋を取り入れ、味つけも量も日本人向けと行ってもいいほど。器も和食器を効果的に使い楽しい。アミューズからしてスシだ。前菜にはフレンチの癖にフェトチーネなんかがあり、取ってみたら非常に美味しかった。タラコを使ってありここでもジャパニーズを意識している。全体にスパイシーなエスニック感、さっぱりしたジャパニーズ感、太陽の恵みをいかしたカリフォルニアキュイジーヌ感を上手に融合した味つけで、盛りつけはジャパニーズ。面白い。そして美味しい。前菜、メインにデザートのコースが63ドルと(ニューヨークにしては)ちょっと高めだが、その価値は十分あるレストランだ。なお、フレンチワインは値段が日本のレストランより高いくらい。カリフォルニアワインを飲みましょう。

8/5(火)

またしても早く目が覚めてしまう。まだ6時半だ。

睡眠不足が続いているのになんだか体の調子がいいので、シャワーを浴びて街に出ることにする。街、というか、歩いてすぐのところにあるグランド・セントラル駅で出勤風景をウォッチングしようという魂胆。
いや、これ一回やるとやめられない魅力があるんですよ。

7時半まで待ってグランド・セントラル(略してグラセン。現地在住の日本人はみなこう呼ぶ)へ。今日はなんかすごく寒い。温度に敏感に反応する人の多いニューヨークらしくヤッケ姿の人もいる。それはオイ、ちょっと暑いと思うぞ。
グラセンのホールは工事中でいつもの趣とは異なるが、うじゃうじゃ人が歩いているのは一緒。ニューヨークの朝は早いのだ。
プラットフォームまで進んで電車から降りてくる人たちをスタンドで買ったコーヒーを飲みながらウォッチング。さまざまな朝の表情が読み取れて飽きない。孤独と不安と希望と野心がないまぜになって、やけにドラマチックだ。
本当は東京や大阪でもドラマチックなんだろうけど、人種やファッションが様々な分、ニューヨークの方がドラマを感じてしまう。日本だとね、いきなりルーティンぽくなってしまって「昨日と同じ今日」みたいな雰囲気になる。ココだとそれが「昨日と違う何かが待っている今日」みたいな雰囲気が感じられるのは僕が旅行者なせい?

いや、日本ではみな顔が圧倒的に疲れている。眠たそうだし。そこは歴然と違うな。だいたい、なにかで読んだのだが、電車とかで居眠りする習慣があるのは日本だけだそうではないか!そういえば降りてくる人は皆さっぱりしていて、今起きました、という顔は皆無。
日本人、疲れすぎているよな。喜劇的だ。


グラセンから出てくる人の波に乗ってみる。
地上に出た途端に四方に散ってしまうのだが、パークアヴェニュー方面に進む波にまだ乗り続ける。歩くの早いぞ。せっかちな大阪より早い。どんしゃか歩いて行く。わりとふくよかな美人のあとをストーカーのように歩いていったが、かなり涼しいのに汗が吹き出してきてダウン。彼女はアッパーイーストの方までどんしゃか歩いていった。


パーク・アヴェニューでイエローキャブの事故。
いきなり目の前で、である。
すぐパトカーが現れる。反応が早い早い。
そりゃあんな運転してたら事故も起こるわな。
本当にめちゃくちゃな運転だからねぇ。NYのキャブは。

ホテルに戻って朝食。
昨日と同じ窓際のソファを確保してゴダードを読む。

さて、さてさて、今日はカナダだ。
ケベックまで飛行機で行く。13時頃の飛行機なんで、そろそろホテルをチェックアウトしようか……

いざ離れるとなるとなんか寂しいけど、また4日後に戻ってくるからね、ニューヨーク・シティ。しばしのお別れなのである。




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