舞台のリハーサルを見るのって本当に楽しい (モスクワ2日目)
2012年7月17日(火) 11:55:20
本番では、岩田守弘くん(以下モリ)のオリジナル作品である「魂」全幕(音楽は鼓童)と、いろいろな企画もののガラが12本(だったかな)演じられる。その中にはモリが踊らず、振付・演出だけを受け持ったパートもある(全部に出てたら死ぬしw)。
つまり、いつもは出演者(つまりダンサー)としてのモリしか見ていないけど、今回は振付師であり芸術監督でもあるモリの姿をボクは(初めてに近く)見ることになった。
スーツで音楽打ち合わせ(明日流す音楽素材のチェック)をしたと思ったらすぐ移動して楽屋で着替えて「魂」のフル・リハーサル。振付指導や当日打ち合わせをしながら超ハードなダンスを踊り、汗拭く間もなく移動してガラ・パートの振付チェック(ダンサーに教える)。そして自らのパートについての孤独な稽古。その後、新劇場に移動して舞台照明のチェック。そしてまたスーツに着替えて外出して打ち合わせをし、戻ってきて楽屋の部屋割りチェック(そんなことまで!)、チケットの確認や舞台美術の確認・・・
その間、次々とスタッフから質問の電話がかかってくる(彼の着メロは薬師丸ひろ子の「セーラー服と機関銃」なのでいちいち腰が抜けるのだがw そう、彼は薬師丸が大好きなのであるw)
全部が彼の仕事である。
いやー、ものすごいハード。ついて歩くこちらが疲れ切ってしまうほどである。前日にこれだと本番で疲れが残ってしまわないか心配になる。
そのうえ、ボリショイ劇場内部の移動が長い。長い上に迷路だ。
旧ボリショイ劇場も迷路だったが、改築された大劇場と新劇場、稽古場などのつながりが超複雑で、アリの巣の中を行き来しているような気分になる。ひとがようやくすれ違える道幅の暗い地下道をひたすら移動。しかもいちいち遠い。ひとつひとつの移動が、たとえば東京駅と大手町駅くらい遠い感じなのである。
そのうえ、今回はモリにWOWOWの撮影陣(4人)が密着していて、「個人的にドキュメンタリー映画としてモリを追っているモスクワ在住の日本人アーチスト(2人)」もいて、そこにボクとジャパン・アーツの寺沢さんもいて、モリの移動とともにそれだけの人数が(撮影機材とともに)アリの巣を動くのであるw
でも、そうやってショウが少しずつ出来上がっていく過程を見るのは楽しいなぁ。
リハーサルを(その舞台裏の打ち合わせまで含めて)見るのって一番楽しいことかもしれない。
去年のボリショイ劇場こけら落としのときの「眠りの森の美女」も、リハを見ているときが一番楽しかった。主演のザハロワの試行錯誤やオケとのタイミングの合わせ方、段取りについての演出家の不満爆発、裏方さんたちが舞台を完成させようと必死になっていること、などなどを目の当たりにして、本当に楽しかったし、みんなが共同作業して舞台が出来上がっていく様を見て、なんだか泣けた。
今回もそんな気分。
あーこれだから舞台ってやめられないんだ、とよくわかったな。
それはともかく、見ていく過程でいくつかじっくり彼の振付を見たのだが、昨今の「情念を表しているのはわかるけどやたらめったら激しく動いているだけに近いモダンダンス」とは一線を画していて、クラシックの基本的な動きを重視しつつ緩急つけ、日本人ならではの細やかなニュアンスも入れた「モリらしい」もの。
今後、彼はダンサーとして踊りつつ、振付の道に邁進すると思うが、とても向いているなぁと思ったし、きっと振付でも成功するなと確信を持った。いや贔屓目だけでなく、彼はとてもいい振付をする。
・ボリショイ劇場楽屋で着替える彼
・「魂」のリハーサル(赤い服はステパネンコ)
・振付指導する彼
・舞台上で照明チェックをする彼
ボリショイ劇場内部を自由に動き回れるのも、彼といっしょだからこそ。
こんなこともこれが最後かもしれないなぁ、と、ちょっと寂しく思いつつ、楽しい本番前日だったのでした。
さて、今日は本番。
岩田守弘がボリショイ・バレエ団員として踊る最後の日である。
