退廃が似合うヴォーカリスト、山口有紀

2010年12月14日(火) 9:09:37

日曜の夜、執筆を中断してジャズ・ライブへ。

もう4年近く前になるが、「サラリーマン幼年期の終わり」という記事を書いたことがある。わりと人気の高い記事だったので時間がある方はお読みくださいませ。
で、その中で我が社の女性社員が数曲歌ったのだが、その中のひとりが「Time After Time」を歌ったのである。これが本当に絶品で素人芸とは思えなかった。プロも真っ青なうまさ。記事中には(記事のテーマからはずれるので)書かなかったが、ボクはその体験を「山口有紀」という名前とともに記憶に深く刻みこんでいたのである。

でも、そこで縁は途切れる。
ボクは東京で仕事をし、彼女は関西支社で仕事をする。話すらしていない。歌がとても良かったよ!と社内メールしようかとも思ったがいつの間にかタイミングを失いそのままになっていた。

で、今年。思わぬところで縁ができた。
名古屋支社に講演に行ったのである(この日)。そしたら数日後、彼女からメールが来た。「講演ありがとうございました」と。その名前が山口有紀。おや? でも名古屋のはずがない。うーむ…。でも、もしかして、と、返信した。あの時「Time After Time」を歌わなかったか、と。

そしたらビンゴ!
彼女であった。名古屋に赴任して、いまは名古屋でCMプランナーをやっているという。ふと気になってググってみたらなんとプロデビューまでしていた。プロフィールを抄録してみると、

大学在学時に国際協力を専攻。インドの農村開発NGOでのフィールドワークや、延べ1年間に及ぶ世界旅行を通じ見聞を広める。その際滞在したニューヨークでジャズに魅せられ、シンガーを志す。
卒業後、就職してCMプランナーとして働く傍ら、プロのジャズシンガーとして関西を中心に歌い始める。
2006年、神戸ジャズヴォーカルクィーンコンテストにてNHK神戸放送局長賞を受賞。
同年、ドラマートミー・キャンベルの「トミー・キャンベル ヴォーカル セッション バンド」にメインボーカルとして抜擢される。
以後、活動の拠点を東京にまで広げ、南青山Body & Soul、六本木Alfie、横浜Motion Blueなどのクラブで歌う。
2007年、ベーシスト水谷浩章のアンサンブル、「Phonolite」のボーカリストに選ばれる。2008年には、同バンドのCD「Still Crazy」に参加、発売ツアーを展開。
2009年、名古屋に短期赴任したことによりさらに活躍の場を広げ、東京、大阪を行き来しつつ精力的に活動中。
おお。2006年に神戸ジャズヴォーカルクィーンコンテストで受賞しているということは、ボクが「Time After Time」を聴いたときはもうプロとして活動してたんじゃん! どうりで素晴らしいわけだ……。

そんなこんなで「じゃぁ東京でライブをやるときは教えてね」とお願いしておいたら、12/12の夜に渋谷「dress」である、と。そこにのこのこ出かけていったわけである。

パーソネルは、山口有紀(vo)渋谷毅(p)水谷浩章(b)←ピアノもベースも素晴らしかった。

ボクはそこそこジャズライブは聴いている。そういう意味では普通の方よりは耳が肥えていると思うのだけど、まぁ知人贔屓も少し入るとしても、なかなか素晴らしかった。4年前の「Time After Time」が蘇る。そう、こんな感じ。気怠くてデカダンなこの感じ!

スローでムードたっぷりの大人な雰囲気をちゃんと出せるジャズボーカリストって意外といるんだけど、ちゃんと「退廃」が漂ってくる歌手って日本には意外といない。彼女はたっぷり退廃しているw この退廃に身を任せていると時間を忘れる。あぁ、気持ちイイ。

ちなみに本人の性格は全然退廃していない(初めて少ししゃべった)。まだ全然若いしね。でも歌うと急に退廃を纏う。イイな。これは稀少かも。

それにしてもこの感じ誰かに似てるなぁとか思って聴いていたが、ふと「そうだ、ティナ・ルイスに似てる!」とか思った。ティナ・ルイスだけでなく、RCA美人ヴォーカリスト・シリーズにあるようなあの感じ(わかる人しかわからんと思うけど)。あそこまでお色気たっぷりではないけど、方向性がちょっと似ている。声が全然違うけど、阿川泰子にもちょっと雰囲気が似てる。

Fred Herschのオリジナルを2曲歌ったが、これが実に良かった。他には「My Heart belongs to Daddy」とか「Like a Lover」とか「If I were a bell」とか「Smile」とか良かったなぁ。それにしてもレパートリーが広い。ボクは低い声で歌うスローテンポなものが好みだった。

ということで、これからもライブがあったら聴き続けてみたいと思う。
彼女のライブ・スケジュールはこちら。興味ある方はぜひ。

YouTubeにもいろいろ上がっている。「Smile」「Like a Lover」にリンクを張っておこう。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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