志の輔らくご「ビギン・ザ・ビギン」
2010年7月 2日(金) 17:59:21
昨日は午後3時から銀座で「志の輔らくご」を聴いた。@ル テアトル銀座
いつも正月に渋谷のパルコでやる大プラチナチケット「志の輔らくご」の銀座版である。題して「ビギン・ザ・ビギン」。銀座での独演会はほぼ初めて、ということで「ビギン」。そして銀座なので「ギン・ザ」と掛けて「ビギン・ザ・ビギン」らしい。ロビーや幕間にはいろんなアレンジのこの曲が流れていた。
たった6日間の公演である。その初日がラッキーにも手に入ったので、会社は半休することにして、友人たちといそいそ出かけた。つか、平日の午後3時って!
立川志の輔師匠が言うには、なんでも「銀座=午後3時というイメージがある」とのことで(笑)、そのうえ「3時から5時というのは一日のうちで一番中途半端で役に立たない時間」「その時間を有効活用していただけたらと思って」「午後1時からやると夜の部があると思われるし二度やるのも疲れる」「終わってもまだ6時前。会社を抜け出してきても素知らぬ顔して会社に戻って仕事ができる」「終わってすぐ銀座でご飯食べられるのもいいでしょ」などといろいろ言い訳しつつ、「それにしても、平日のこの時間に時間をあけられる人がこれほどいるとは…」と笑いをとった。もちろん超満席。さすがに若者・壮年は少なかったものの、それなりに全世代が散らばっていた。
独演会ではなく「志の輔らくご」(正月のパルコ公演と制作陣はまったく一緒)なので、前座もなく、最初から志の輔登場。
初日っぽいぎこちなさがありつつ、まずは「コブトリ爺さん」。これは新作落語のようで、調べたら先月にネタ下ろししたばかりのようだ(ロングバージョンを以前に演ったことはあるらしいが)。昔話のこぶとり爺さんを題材にした小品だがわりと味がある。ただ、いつもド頭からドッカンドッカン笑わせてくれる志の輔にしては大人しい感じ。
長唄と三味線を間に入れて、二席目は「新釈 猫忠」。
登場人物が多く、それぞれの心理描写が難しい噺だと思うが、見事に演じ分けて引き込まれる。笑いと泣かせが両方入った噺だけど、泣かせが少し物足りない印象。ここをグッと盛り上げて欲しかったところ。
仲入り後の三席目は「しかばねの行方」(原案:東野圭吾)。
東野圭吾著の「怪笑小説」という傑作短編小説集があるのだが、その中の短編「しかばね台分譲住宅」を膨らませて落語&講談にしたもの。これは十数年ぶりに演った演目のようだ。講談の釈台(前に置く小さなテーブル)と張り扇(ハリセン)が用意され、まずは落語と講談の違いを説明してくれ、バンバンバンッとハリセンで釈台を叩いて講談調の情景描写から始めるという珍しい展開。
まぁ元ネタが小説なだけにいろいろ説明が必要なので講談を取り入れたということだと思う。説明部分が講談なのでテンポが落ちないし、映像的な描写力も抜群におもしろい。「志の輔らくご」っぽい小道具サプライズもきちんと用意され、「あー面白かった!」とみんなが満足して帰れる〆だった。ただ、長時間の大ネタなわりに終わってからの余韻がわりと少なく、そこだけがちょっと残念な感じ。
志の輔の新作落語というと、正月に聴いた「志の輔らくご」の「踊るファックス 2010」の大爆笑や、この間の独演会の「バス・ストップ」の大爆笑、そして大笑いしたあとの「人間ってどうしようもないなぁ。でもいいなぁ。好きだなぁ」という人間の業の肯定(by 談志)の余韻の素晴らしさをどうしても期待してしまう。そういう意味においてのみ、ちょっとだけ物足りなかったかなぁという感想。いや、でも、十分笑わせてもらったのだけど。
落語終了後は、春に続いて再来日したばかりの岩田守弘くん(モリ)と待ち合わせて、18時から終電まで飲んだ。
彼はいつもモスクワから重い思いをしてお土産を持ってきてくれるのだが、今回のお土産も参った(笑)。その話はまた後日。
