志の輔らくご in パルコ

2010年1月10日(日) 19:03:52

すごいすごいとは聞いていたけど、ここまですごいとはなぁ…。

って、表題の「志の輔らくご in パルコ」のことである。
今年で5年目になるというこの高座、ボクは初めて行ってきた。

というか、立川志の輔の噺を聴くこと自体が初めて。その至芸はつとに有名だし、いま一番おもしろい落語だとは聞いていたが、なにしろチケットが取れないと聞く。そう聞いてビビってしまい、取る努力をしたことがないんだけど(笑)、とにかくプラチナチケットであることは本当らしい。

で、今回も初手から諦めて、まったく行く予定にしていなかったのだが、昨日、早朝からたらんこたらんこ執筆していたら、友人からメールが舞い込んだのである。「志の輔、1枚ありますよ。ごいっしょしません?」と。

うほっ!
これぞ天の恵み! 晦日から松の内まで休みなく酒も飲まず働いたご褒美!

もうその時点から「夜をあけるために必死に執筆!」状態となり、死ぬほど集中して書いた。おかげで予定の二日分を17時30分までにあげた。なんだよ、やれば出来んじゃんか。というか、目の色変わったもんな。約10時間、死ぬほどがんばった。

ということで、行ってきましたパルコ劇場。19時開演。

なんか、劇場の空気が独特だ。みんな「前のめりで笑いに来ている」。
落語ってマニアックな人が見に来る確率も高いので、批評的な空気がほんのり漂っているものなのだが、この「志の輔らくご」はどちらかというと演劇系やエンタメ系の客筋で、みんながみんなポジティブな気を発している。志の輔、いいお客さん掴んでるなぁ。

で、時間となり、さりげなく高座に上がってきた志の輔師匠。おお、ついに志の輔の落語! 楽しみだぁ!
と、気合いが入るこちらの気持ちを読んだかのように、かるーい枕ではぐらしながら始めたのだけど、もう数十秒後にはドッカンドッカン笑いを取った。うまいなぁ。おもろいなぁ。ちょっと仕事で心配事があったんだけど、そんなのも軽く忘れさせるほど面白い。うまいなぁ。ほんと、マジうまい。

で、枕からの絶妙の流れで一席目「身代りポン太」。
これはいわゆる「根多おろし」なのかな。創作落語である。もうすでに「あぁこれだけでもう満足」ってくらい面白かった。さすがだなぁ。世の中の空気感を敏感に取り入れて、「事業凍結」で噺を作ったあたりもさすが。みんなが自分ごとになるので、のめり込み方が違う。うまいなぁ。

で、いったん下がって、その間舞台上では小咄系の文字映像が流れ、そこでも笑いを取り(サービス精神旺盛)、二席目も創作落語「踊るファックス 2010」。
これはね、本当にすごかった。笑いのドッカン具合がなんか落語じゃない感じ。ちょっと呆然としつつ楽しんだ。いやー笑った笑った。

その噺のオチの流れで、バックの衝立が急にファクスになって紙がベーーーッって排出されてきたりする演出があって(サービス精神旺盛すぎ)、仲入り。15分休んで三席目である。黒紋付で現れた志の輔さん。これまた上手な枕から、流れるように自然に古典落語「中村仲蔵」の世界へ。

一転して真面目なお話なんだけど、これまたうんまいのである。
敢えて言えば声質がガラガラ声なので(志の輔さん、タバコ吸いすぎかと)、女役をするときにすこーし違和感あるかな程度。ぐぐぅっと引き込まれ、他の世界を忘れた。普通なら「ここの表現、うまいなぁ」とか、表面的なところに気が散るんだけど、そんなこと意識もせずストーリーに没入した。で、引き込まれていると突然演出でライトがついたりしてドキッ! これがまた効果的。

あー、すごかった。
おもしろいと言うより、すごい。

舞台も演奏も係員も、すべてポジな空気をまとっていて、楽しいのなんの。すごいエンタメを見させていただいた。ヤフオクで買ってもう一回見に行きたいくらい。

これだけの芸を持った上で、ソツなくガッテンの司会なんかもこなしちゃって。コラムも上手だし。天才なんだな志の輔師匠。
裏ではいっつも「死にそうなほど疲れている」らしいけど(知り合い談)、これだけ人に笑いを与えるって、生半可なエネルギーでは出来ないだろう。いや、すごい。自分の抱えている苦労が小さく小さく思えた。ありがとう志の輔らくご。ありがとう、友人様。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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