「琉球料理乃山本彩香」が閉店します

2009年6月19日(金) 8:14:10

ayaka_heiten.jpg沖縄の、いや、日本の宝がひとつ、なくなろうとしている。
那覇の琉球料理店「琉球料理乃山本彩香」が8月いっぱいで閉店する。

昨日の朝、彩香さんからうちに荷物が届き、中にはオバマのTシャツと手紙、そして丁寧に折りたたまれた二枚の新聞紙があった。琉球新報と沖縄タイムスが1枚ずつ。

オバマのTシャツは5月頭に那覇で一緒にお茶したときに山本彩香さんが着ていたのと同じもの。それイイですね、とお褒めした。あぁあれを送ってくださったんだな。でもなんで? 欲しいってねだったっけか。まぁそれはそれとしてこの新聞紙はなんだ? と見てみたら、「ご挨拶」と題して閉店のお知らせ広告が載っていた。

いそいで手紙を読む。
そこには苦渋の選択が書かれており、「事後報告おゆるし下さいませ」と結ばれていた。

山本彩香さんは今までも何度も閉店を検討していた。
一度は決心し、そのときはボクも少し継続に関わったりした。
それ以来、個人的にいろんな事情をお聞きしているので、近く閉店を考えられていることは知っていたが、こんなにすぐとは思わなかった。

数週間前の5月末にお店に行って夜遅くまでふたりで話したとき、何かをボクに伝えようとして逡巡していたことが何度かあった。
店員の由美子さんも「先生、なおさんに伝えなくていいんですか?」と耳打ちしていた。
ボクは聞こえないふりしながら「何か言いにくいことがあるんだな」と想像していたが、それが「閉店の最終決定」だとはわからなかった。ボクになんか事前に告げたらまた必死に口説かれて決心が鈍ると恐れたのかもしれない。

手紙を読んですぐ、事情を知っていそうな方に電話した。
彼は彩香さんの評伝を書き続けている人。「必然の流れ」として閉店は知っていた。でもその本当の理由まではわかりかねている感じ。続けて彩香さんにも電話しようと思ったが、とりあえず今は止めた。声を聞いちゃうとお互い乱れる。もっと落ち着いた頃に電話しよう。

携帯メールを入れた。返事に泣けた。

会社に向かってとぼとぼ歩きながら、ふと気づく。
オバマのTシャツは、あのときそれを褒められたからではなくて、「チェンジ」ということをボクに伝えるためなんだな。前向きのチェンジ。明るい未来へのチェンジ。そう、終わりは始まり。

あのお店自体は終わるが、たぶん新しいカタチで、彩香さんの「次」が始まる。
彼女が守り続けてきた昔ながらの洗練された琉球料理も必ずや伝承される。
そのチェンジしたカタチは、またここでお知らせできると思います。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター
(株)ツナグ代表。(株)4th代表。独立行政法人「国際交流基金」理事。復興庁政策参与。公益社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。東京大学大学院非常勤講師。上智大学非常勤講師。
朝日広告賞審査員。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。
現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。
本名での著書に「明日の広告」「明日のコミュニケーション」(ともにアスキー新書)。「明日のプランニング」(講談社現代新書)
“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(光文社文庫)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。
花火師免許所持。
東京出身。東京在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園夙川芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao[a]satonao.com まで(←スパムメール防止のため、@を[a]にしてあります)。

アーカイブ

同カテゴリーの他記事