さとなおの「ハゲの悩み相談室」

2008年3月 2日(日) 10:10:10

ボクがマイ・バリカンで髪を3ミリに刈っていることは以前に書いた
週に一回、風呂場でひとり、髪をガガガと刈っている。いっそのことスキンヘッドにしようかとも思うが、そうすると二日に一回は剃らないといけないらしいので面倒。当分この3ミリ自己バリカンで行くと思う。

というか、ハゲが進まなければこんなことしなかったかもしれない。
まぁ祖父はふたりともツルツル、父もかなり薄い、という家系もあってか、子供の頃から髪の毛が細くさらさらで、つまり青年期を過ぎると確実にハゲる髪質で、20代後半の頃には、夏、どこかに遊びに行って帰ってくるとシャンプーがしみたりした。地肌が日焼けするの(泣)

で、そんな状態になると、人生がわりと不自由になる。
しょっちゅう髪の毛を気にしている状況になる。ベッタリすると薄いのが目立つので朝シャンを入念にやるようになる。風が強い日にはヘアスプレーを多めにつけたりする。ヒトに髪が薄いと悟られぬよう立ち位置や座席を気にしたりする。イスに座っていて後ろに立たれると殺意を覚えたりもする(笑)

こりゃイカン、卑屈だ、と、思い切ってオールバックにしたのが20代後半だったか。広いオデコを出し、同時に髭も生やした。ものすごく勇気がいるイメージチェンジだった。

でもこれはナイスでしたね。ハゲから逃げてない感じが周りからも好評だった。
んでもってモテた(笑)。女性はハゲが嫌いなのではなくて、ハゲをうじうじ気にする男が嫌いなんだ、と理解したのもこの頃(ハゲが嫌いな女性も一定数いるが)。いままで着ようとも思わなかった服が似合うようになり、ファッションの幅も広がった。なんだか自分が変わった感覚だった。

で、そのまま40歳くらいまでオールバックでやっていたんだけど、全体的にハゲが進んできたので、一気にボウズにしたのが43歳のこの日(ブログつけてると便利だね)。最初は五分刈り程度。その後3ミリにしたのがこの頃

見事に髪の毛から自由になったな。
もうまったくハゲを気にしなくなった。
同時に周りの目も変わった。ハゲが「弱点」から「個性」とか「生き方」へと変わった感じ。というか、ヒトが頭頂部とかを見なくなった。ここまで堂々とすると誰も気にしないんだなと普通に理解。逆に、ファッションを含めて、ハゲを前面に押し出すくらいになった。ほんのちょっと前まで弱点と思っていたことが「強み」や「売り」に変わった瞬間でもある。

んでもってふと気づくと周りの同年代があの頃のボクみたいにコソコソした動きになってきている。その動き方、覚えがあるぞ。ハゲ始めたんだな(笑) んー、不自由そうだなぁ。早く自由になっちゃった方がいいのに…。

と、なんでこんなこと書いているかというと、お悩み相談のメールが来たからである。

さとなおさんに相談したいのですが、 以前髪がうすくなったので短髪にして自由になったと書いておられましたね。僕もこのごろ急に薄くなりだしまして、かなり悩んでおります。自分にとっては、自己イメージの崩壊ですので、かなりのショックなのです。やはり年取っても、カッコよくいたいと思っていたのですけれど。
そこで、ボウズ頭にしようと思うのですが、つきましてはハゲでもかっこよく生きるためのアドバイスを頂きたいのです。なんとかポジティブに生きたいと思いますのでお願いいたします。

「ハゲでもかっこよく生きるためのアドバイスを」のとこの「でも」ってあたりに悲哀が感じられますね(笑)

いや、でも、なんつうか、その悩み、地球上でトップクラスにわかる。
んでもってボウズにするには勇気がいるし、後戻りもしにくいのでご意見するのは責任重大でもあるのだが、ええと、実感として言うと「ボウズはハゲではない」ですね。つまりハゲからの自由を獲得するという精神的なこと以前に、外見的にもハゲから脱却できる。そう認識した方がいいかも。いや、実際ハゲなんだけど、周りがハゲとは見てない感じ。ある種の髪型。もしくは個性。生き方。そう見られていると実感する。

ファッションはね、攻めに出た方がいいですね。そうするとハゲがより「強み」に変化すると思う。

また、ボウズで超堂々としていると人格まで変わる。吹っ切れます(笑)
よしんば「ハゲ」とか言われても全く傷つかない。笑える。そんな自分に驚くことだろう。

そして、外見を髪型などでごまかせない分、顔を通して「内面の成長」が外にすべて晒されるから、なんというか「内面の成長」に絞って生きていける感じがある。メールで書かれている「かっこよく生きる」が外見を指すのか内面を指すのかわからないけど、男の後半生、内面が充実した方がかっこよいに決まっているとボクは思う。まぁボクもまだその過程にいるので偉そうなことは言えないんだけど。

それと、結果論ではあるけど、ヒトより先にハゲるというのはシアワセなことかもしれない、とか。
自意識過剰&自己肥大の青春時代に、ハゲを通して「ヒトの痛みを知る」ことができ(笑)、ヒトが悩み始めた頃に一足お先にハゲの悩みから抜け出して自由を獲得しおわっている。40代から70代までずっとハゲを気に病んでいる人生と、30代や40代でハゲから自由になっている人生とでは、後半生がずいぶん違うだろう。

まぁそうは言っても恋愛多発時期や結婚前にハゲると焦るし悩むものではあるし、いろんな個人的事情もあるだろうから一概には言えないんだけど。とりあえず。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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