NY出張(16)世界各地に無数にあいている穴のひとつ

2004年2月 2日(月) 22:56:31

グラウンド・ゼロを「観光」。
人が大量に亡くなったところというのはある種独特の磁場を発している。近づく前から体中がゾクゾクし、目が乾いた。ただただだだっ広い大きな穴。見上げると空は高くこれまた広い。あそこにあった巨大な建物を思い出そうと試みるが徒労に終わる。遠い昔に建築家が巨大なツインタワーを夢見て見上げたであろう広い空を同じように見上げるのみ。

ヒトはこれを特別な穴と思うだろう。が、これと同じような「穴」が世界各地に無数にあいているのだ。穴の大小は関係ない。穴の場所も関係ない。マンハッタンのあのビルが壊れて出来た穴だから特に感傷的になるのはフェアじゃない。アフガンやイラクにあいた無数の穴にも同じように祈れ。

犠牲者たちの無念に引きずられそうになりつつ、あえて感傷を打ち切り、「じゃぁ次はウォール街に行ってみましょう♪」とクライアントをNY案内するワタシ。

NY出張(15)店側の事情

2004年2月 1日(日) 23:26:46

もちろんNY側にもいろいろ事情があり住民には反論もあると思うけど(数通)、NYに勝手にあこがれを持ち10回以上来ているボクにとって、「ボクの人生においてNYに期待するもの」という勝手なイメージがあり、それは残念ながら消えてしまったかも、と主観的に語っただけですのであしからず。「おいしい店リスト」風に言えば「前は10点つけてたけど、今回再訪して8点に落ちたかも」という感じ。店側の事情にはあえて目をつぶり、徹底的に客側に立ってインフォメーションするのがボクのやり方なので、勝手なんです、スイマセン。

とか言いながら。
今日は店側の事情の最たるものを肌で理解するために、911跡地に行ってくる。グラウンド・ゼロ。個人的には感傷的なものよりも、極端に言うと「アメリカの勝手な諸行の結果」という見方が強いし、日常的に911みたいなことが起こっている国々の悲しみの方に寄り添いたい気分。だから観光客気分である。でもそれもわりとイイかもと思っている。日本人にとってのグラウンド・ゼロ「原爆ドーム」には、観光客気分でもいいから、いっぱい人に見に来てもらいたいもの。

NY出張(14)つまらなくなったニューヨーク

2004年2月 1日(日) 7:39:29

久しぶりにソーホーを隅から隅までなめるように歩いてみた。
最先端のアート発信地から先端ファッション基地を経て、いまは単なるおしゃれなショッピング街と言ったところ。ギャラリーの数も減り売れ筋作家しか置いていない。買い物には便利だが、ハッキリ言ってツマラネー。ノリータやイーストビレッジがちょっとだけ面白いのが救いだけど、とにかくどこもかしこもチェーン店だらけ。ショッピングモール状態。テーマパーク化著し。

ランチは旧知のEngin(NY不法滞在日本人ストリートダンサー)とその彼女ミチヨ(美形)と、アッパーウェストにキューバン・チャイニーズを食べに行った。うまかった。カストロに追われてNYに集まった中国人が作るキューバ系ラテンテイストが入った中華料理なのだが、普通の中華とは明らかに違う方向性で、いい感じでジャンクなのだ。滞在中にもう一軒くらい行きたいぞ、キューバン・チャイニーズ。

Enginたちも口を揃えて言う。「NYは普通の街になりました」「面白くないので帰国しようかと」「911以来、何かが変わりましたね」と。やっぱりそうなんだな。肌で感じるもん。ボクたちがNYに期待しているトンガリがなくなってしまった。中指押っ立てて迫ってくる乱暴さや活力ややんちゃさがどこにも感じられない。お行儀がよい。変革しようという意志がない。守りに入った頭の固さが見え隠れする。

NY出張(13)サケ・マティーニ

2004年1月31日(土) 21:15:50

深夜まで仕事してアメリカ側となんとか合意を見、その後レイトナイトパブみたいなところに流れる。
ヒップな音楽がかかるわりとアメリカンな店だったが、普通に寿司や焼き鳥などのおつまみがあり割り箸が机に並ぶ。ドリンクメニューにはOzeki SakeとAbsolute VodkaとFresh Cucumberを使ったサケ・マティーニというカクテルすら並ぶ。5年前より和食普及の根っこが深くなってきた感じ。巻き寿司はわけわからないものを巻いてあったがそこそこ美味しかった。

寿司というジャンルも時代に合わせて少しずつ変わっていかないと、そのうち世界の職人がどんどん台頭してきて、柔道みたいに「発祥国の体面を保つのがやっと」という自体になるかもしれない。

NY出張(12)ヴィジュアル・ランゲージ

2004年1月31日(土) 8:17:54

ニューヨーク、マジソン・アベニューにある編集スタジオの無線LANからアクセス。座ってPowerBookを開いただけで接続。どんどん便利になっていくね。

こういうところでクリエーティブ・ディレクターとして仕事をするのはある意味あこがれの世界なのだろうなと客観的には思うが、実際にはストレスも多いし、アメリカだからレベルが全然違うなんてこともない。
というか、やっぱり最後は個人のチカラになるので、アメリカでもダメな人はダメだし、日本でもすごい人はすごい(当たり前)。ただ、映像やアートに関して日本は言葉に頼る部分が多いと感じる。皆が同じ言葉を話してきた島国だからということもあるだろう。アメリカは様々な言葉が飛び交っている分、イイタイコトを伝えるためにヴィジュアルをより多用する。そのためヴィジュアル伝達手法はとても発達している。その辺正直「かなわないなぁ」と感じることは多い。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。