凄すぎて息つまって死ぬかと思った。ロパートキナ「白鳥の湖」
2012年11月28日(水) 8:29:53
一昨日に引きつづき、昨晩もマリインスキー・バレエを観に行ったのだが、それがちょっと呆然とするレベルだったのである。いったいなんだったのだろう、あれは・・・
ロパートキナはマリインスキーの看板プリマであり、「白鳥の湖」を十八番としている。
が、過去に何度か(たぶん3回)、彼女の「白鳥」を観ているのだけど、一度も感動したことがない。
たとえば2003年のブログでもわりと彼女を酷評している(ロパートキナとコルスンツェフという同じ組み合わせで観ている)。
出産後は別人のように良くなったと言われていたらしいが、ボクは知らず、単に「あぁ白鳥の湖が観たい」という理由で昨晩出かけたのである。ほとんど期待してなかった。
そしたらどうだ。
これはなんだ。
昨晩のロパートキナはちょっと神懸かっていた。この世のものとは思えない。
特に第一幕第二場の湖のシーン。
指揮者であるアレクセイ・レプニコフが極限までゆっくりオケ(マリインスキー劇場管弦楽団)を指揮する。
こんなゆっくりテンポの「白鳥の湖」はボクも初めて。超絶スローテンポ。こんなのであのグラン・パ・ド・ドゥを踊れるのかと疑うレベル。
そしたらロパートキナが・・・なんというか、これはお能かと。日本舞踊かと。そんなことを思わせるような「止まったダンス」をしたのである。
超絶スローテンポは難しい。完璧なバランスと安定が要求される。少しの乱れも目立ってしまう。指先から足先まで、すべての綻びがクローズアップされてしまう。
それをロパートキナは楽々こなす。
そう、楽々と楽しげに “止まって" 踊っているように見える。汗ひとつかいてないのではないかと思わせる。どの瞬間を切り取っても完璧。そして感情も豊かに伝わってくる。
あまりに凄すぎて息つまって死ぬかと思ったw
会場からは咳ひとつ漏れてこない。シーーーーーン。全会場失神状態。
志の輔の「中村仲蔵」に、仲蔵の演技を観た客が「本当にすごいと息ができないんだなー」と感想を漏らす場面があったが、まさにそんな感じ。あと3分あのダンスが続いていたら死者が出たと思うw
指揮とオケとダンサーのタイミングが完璧。
特にロパートキナと指揮者の相性の良さを思わせる。オケも昨晩は特に良かった。
そして、王子役のコルスンツェフ。丁寧に丁寧にロパートキナをサポートし、これまた実に良かった。地味な人であるが、上品で安定していて言うことない。そのうえ完璧なコール・ド(群舞)。これはマリインスキーの定評あるところであるが、もう言うことない。100点満点。演出の素晴らしさも含めて口あんぐりレベル。
それらがすべて揃ったあのグラン・パ・ド・ドゥ。
これはちょっと生涯最良のふたつだなぁ(もうひとつはアナニアシヴィリのもの)。
第一幕第二場がすごすぎて、第二幕と第三幕が少しかすんでしまったが、両方とも言うこと無し。
黒鳥は、メイクがちょっと怖かったがw、やっぱり口あんぐり。だって32回グランフェッテの途中で拍手が出ないのである。そのくらい観客が息を呑んでいた。第三幕はコール・ドが完璧すぎ。あと地味にコルスンツェフが良かった。
そして、ロットバルトのズヴェレフと道化のトカチェンコもとても良かった。衣装も美術も演奏も、すべてに完璧な「白鳥の湖」!
あー、もー当分バレエ観なくていいや、というくらい満腹だ。
次は正月にブベニチェクをオーチャードホールで観るけど、それまではこれで “バレエ腹” は十二分に持つな。そのくらい満腹。本当にご馳走様でした。
あえて不満を言うなら、口あんぐり開けて見ていた隣のオッサンの口臭が尋常じゃなかったことくらいかな!(ま、こちらも息止めて観てたから良かったけどね!)
※写真はジャパン・アーツのサイトより。公演は12/2まで続くみたい(残念ながらロパートキナの「白鳥」は昨晩が最後。また来日するとは思うけど)。
