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那覇の「琉球料理乃山本彩香」が閉店してしまった

2012年10月16日(火) 9:58:36

前回の「早くきちんと本人に伝えないと、と、ボクは焦る」という話にちょっと通じるのだけど、ひとつ悲しいお知らせがある。

那覇の「琉球料理乃山本彩香」が閉店してしまった。

9月いっぱいで唐突に閉店してしまった。
相談は受けていたので、もっと早くみなさんにお知らせするべきだったが、山本彩香さんはわりと気が変わるタイプ。すぐ「やっぱりまだやるわ!」と言い出す可能性もあったので、実はちょっとだけ期待を込めて待っていたのである。

だって、今年の春もそうだった。

今年の春、「山本彩香、閉店します」「すいません! 那覇『山本彩香』当面継続だそうです」と、わりと右往左往した。結局、弟子もでき、継続も決まり、継続後も食べに行けてホッとしていたのである。

今回もその可能性あるなぁと思って9月中旬くらいからずっと静かに待っていた。
でも、彩香さんの意志が固い上に、お店もついに人手に渡ってしまった。

理由は、春のときと同様、体調の問題。
あと、料理の右腕だった和子さんが引退するのも大きいかな。

いま、あの場所では最後の弟子のひとりが「琉音」と名前を変えて店を継続しているが、彩香さんはもう厨房に立ってはいない。

ずっと山本彩香さんの料理を追ってきたボクにとって、この喪失感はかなり深い。
沖縄に行ってもあの料理はもう食べられないのだ。彩香さんをお母さんと呼んで慕った仲間である駒沢敏器さんも亡くなってしまったし、なんだか急に寂しくなった。

愛したお店がなくなることは、大切な人をなくすくらい悲しいことだと心底わかった。

せめてもう一度食べるまで、もしくはファンの方々がお別れを言いに行ける期間、閉店は待って欲しいと願ったが、やはり毎日毎日あんなに手がかかる料理を作り続けるのはもう相当しんどいようである。

それと、彩香さんの「謙虚すぎるくらい謙虚な気質」も閉店を早めてしまったかもしれない。
琉球の宝みたいな人なのに「そんな、わたしの店なんかが閉まってもみんなそんなに気にしないでしょう」くらいなことをおっしゃる。「いやいやそうじゃないんです」と、事あるごとに彼女の存在の大きさと、彼女の料理を愛している人の多さをお伝えしてきたのだけど。必死にお伝えしてきたのだけど。

ボクの力不足です。もっともっと伝え続けないといけなかった。

幸い、彼女は料理をやめるわけではない。

半年ほどお体を休めたあと、本物の琉球料理(特に辻料理)を伝承していくために、料理教室などの展開を考えていらっしゃるようだ。

東京での教室はボクもお手伝いすると思うので、彼女から直接習いたい方、もしくは琉球料理の神髄を次の世に伝えるお手伝いをしてくださる方は、ぜひご連絡ください。

いざ教室を開くとき、こちらからご連絡さしあげます。よろしくお願いします。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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