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西洋バレエで日本を表現・発信すること(モスクワから帰国しました)

2012年7月20日(金) 13:20:04

昨日の昼くらいに東京に帰ってきました。

3泊4日のモスクワ旅行。
前後2日間は10時間のヒコーキ移動だったので、実質中2日間の強行旅行でした。51歳でそんなことをしてはいけませんね。カラダがふわふわです。

しかも帰ってきた日の暑かったこと!
疲れが出た上にカラダがびっくりしてしまい、昨日は一日寝てましたw

さて、岩田守弘くんボリショイ・バレエ退団記念ガラ、演目について書いておこう(上の写真は今回の公演パンフ。フルカラー。こういうのも珍しい)

第一部が岩田くんオリジナル長編「魂」。
彼の振付・演出作品としては第二部で短編(小品)も6演目やったですね。

実は彼の振付をじっくり生で見たのはルジマートフが踊った「阿修羅」のみだったのだけど、そして、客観的に言うと「阿修羅」はそんなに好きではない作品なのだけど、今回複数の作品を見て「短編が特に素晴らしい」と思ったな。

お世辞抜きで、今回の「初めてのキス」「いちょう」「囚われた人」の3作品の振付は素晴らしい印象をボクに残した。

これ、今後もボリショイでやってほしいし、日本でも誰かが踊って欲しいと思う。この3本がまだ「彼の初期の作品である」ということをもってして、ボクは彼の振付の才能に確信を持ったです。

ただ、中編・長編はもうちょっとかも。

第一部の「魂」は、彼の代表的な作品でもあるのだけど、ちょっと説明的・段取り的なところがあって残念。
いや、長編というのはもともと説明的な部分がある。バレエは音楽をダンスで表現したものなので、クラシック・バレエでもかなり説明的な描写は含まれる。ストーリーをきっちり観客に分からせる必要もある。でもなぁ。段取りを感じさせてしまうのはちょっと残念。もっとスムーズに構成できる気がする。

「魂」はそういったことも含めて、ブラッシュアップされたものを観たいと熱望。岩田くん、改良してぜひまた見せて!

とはいえ。
前回も書いたけど、伝統のボリショイで、「日本的な作品」を堂々と退団ガラで演じるのは、すごいことだと思う。「魂」も「富士への登攀」も、西洋バレエを熟知した日本人にしか振付られない作品。観ていたロシア人にそれこそ日本の「魂」を伝える芸術だ。

日本は岩田守弘という媒介を得て、世界にバレエで真の「発信」ができるようになった。
西洋バレエを西洋を踊る、のではなく、西洋バレエで日本を表現・発信できるようになった。

このことは、あまり取り上げられていないけど、実はすごいことなのだと思う。


ということで、やった演目を書いていこう。
大物では、ステパネンコ、カプツォーワ、ロブーヒン、グダーノフが出てくれていたが、そんなことより、岩田くんのために集まってくれた人たち全員、好きだw ずっと応援するぞ。

ロシア語の資料しかないので、ダンサーとかの詳細はわからないものもあるんだけどあしからず(特に「魂」や「ボンダレンコ先生に捧げるクラス・コンサート」)。わかったら追記しておきます。

ちなみに、当日の写真なんかはこちらでくわしいです。
ボクを取材してくれた産経の佐々木記者のブログ。「ボリショイ・バレエ第一ソリスト、岩田守弘さんの最後の「魂」」

【演目】
第一部:

「魂」ステパネンコ、岩田守弘 他
 <振付:岩田守弘 曲:鼓童>

第二部:

1「ボンダレンコ先生に捧げるクラス・コンサート」
 <振付:岩田守弘>
 昔のクラスメイトが集まって踊る素晴らしい小品。
 とても親密で泣ける。個人的には今回一番好き。

2 「ワルツ」シュタスケーヴィチ&ロブーヒン
 <振付:ワイノーネン 曲:モシュコフスキー>
 達者なふたりのアクロバティックな動きが素晴らしい。

3 「英雄のエチュード」メドヴェージェフ
 <振付:ゴレイゾフスキー 曲:スクリャービン>
 メドヴェージェフ熱演。

4 「初めてのキス」小池沙織&モトゥーゾフ
 <振付:岩田守弘 曲:トゥルスーノフ>
 岩田守弘振付がお世辞抜きで素晴らしい作品。
 とてもわかりやすいので日本での上演も望む。

5 「ゴパック」岩田守弘
 <振付:ザハーロフ 曲:ソロヴィヨフ/セドーイ>
 岩田くん十八番。短いけど濃い演目。
 これは日本でもよくやるので知ってる方多いかも。

6 「いちょう」ゴリスカヤ&クリュチコフ
 <振付:岩田守弘 曲:リョブラント>
 この振付も素晴らしい。今回の白眉のひとつ。
 なんとも繊細ではかなくて侘寂が効いてて…。

7 「囚われた人」サーヴィン
 <振付:岩田守弘 曲:メンデルスゾーン>
 この振付も代表作のひとつになる出来。
 サーヴィン素晴らしい。とてもいい作品。

8 「パリの炎」多久田さやか&スモリヤニノフ
 <振付:ワイノーネン 曲:アサフィエフ>
 有名な作品。多久田さん熱演。スモリヤニノフも良かった。

9 「夢の中に黄色い炎を見る」ロブーヒン
 <振付:岩田守弘 曲:ビソツキー>
 いやーロブーヒンすごいな。岩田くん振付も実にいい。

10 「黄金時代」から アダージョ カプツォーワ&スクヴォルツォフ
 <振付:グリゴローヴィチ 曲:ショスタコーヴィチ>
 カプツォーワが踊ってくれたのがうれしい!

11 「パガニーニ」からのエピソード アンドリエンコ&グダーノフ
 <振付:ラブロフスキー 曲:ラフマニノフ>
 グダーノフは相変わらずちょっと変だw

12 「富士への登攀」岩田守弘
 <振付:岩田守弘 曲:C. E. N. C.>
 コミカルで好ましい小品。岩田くんの表現力がよく出てた。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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