モスクワ5日目 〜カプツォーワの眠りの森の美女
2011年11月28日(月) 23:32:25
この日は東京での仕事の後処理とダメージでほとんどホテルの部屋から動けず、ランチと夜のバレエ観劇のみだった。せっかくモスクワくんだりまで来ているのにもったいないとも言えるけど、でも仕方ない。
あ、散歩は少しした。ホテルの周りを気晴らしに。
氷点下とはいえちょっと暖かい日だった。モスクワも(ご多分に漏れず)鮨ブーム。鮨屋や和食屋が多い。ロシア男性の平均寿命が数年前まで50歳代だったこともあるかもしれない。長寿の日本人に対する憧れもあるのだろう。鮨を食べていれば長生きできるという妄想w
ホテルを中心に円を描くように何周か。
8年前、狂ったように歩き回ったモスクワ市内も本当に変わった。明るいし、「あー西欧なんだ」と実感する。8年前は「ロシアという名前に変わったし、先入観とは違ったけど、とはいえソ連の面影があちこちに」だったけど、いまはそんなこともない。
ランチはモリや寺沢さんと「ボリショイ」というボリショイ敷地内(?)の高級レストランへ。
物価が異様に高いモスクワ。
その中でも高級な店らしいが、まぁランチならなんとかなるだろうと入ってみた。ビジネスランチが2000円くらいだったかな、思ったより安くホッ。モダンなフレンチ・ロシアン料理(フレンチとロシア料理のフュージョンみたいな感じ)だった。
夜はボリショイバレエこけら落とし公演「眠りの森の美女」2日目である。
この日の主演はカプツォーワとヴォルチコフ。
席は、昨日が3階のテラス席の一番ステージ側だったが、今日は1階席の1列目の左隅だった。そう、オーケストラピットの真ん前。いや〜ありがたい。
上の方の一枚目の写真はクロークに服を預けたときにもらう札。
札からして凝ってるよね。二枚目の写真は一階席の表示。金箔で豪華である。
三枚目の写真にあるように、1階席は木の椅子である。これは旧ボリショイ劇場と同じ。そしてオーケストラピット(四枚目)もコンクリートから木造になったらしく、全体で響きがとても柔らかい。意外なほどいい音が響き、昨日も今日も音楽的には大満足だった。
可憐で可愛らしいオーロラ姫。
体重を感じさせず、飛び回り、思わず「かわいい」とつぶやきが出てしまうようなダンス。カプツォーワが素晴らしいのは、ダンスよりも演技だ。まぁ1列目ということもあるが、表情から細かい手足の表現までよく見えたが、実に感情豊かに気持ちを表現していた。そしてダンスが「ダンスのためのダンス」ではなく「演技の一部としてのダンス」になっていて、とても自然。いいダンサーだなぁ。
その勢いをリラの精のシプーリナが後押しする。
昨晩のアラーシュの端正なリラの精とはまったく別の、表情豊かなリラの精でなんだかとっても人間的。そして、カプツォーワとシプーリナの陽性が伝染したのか、舞台全体に華やかな勢いがあった。オケとの息も合っていた。初日の反省もあったのか、とてもバレエ的な演奏になっていたと思う。そういう意味では初日のザハロワは少し可愛そうだったかも。
王子役のヴォルチコフ、野性的で力があり、存在感がいまひとつだったホールバーグとは別物。すばらしい。見せ所があまりない役だけど、なんか体臭が臭ってくるようなフェロモンがあり、物語を別なものにしていた(とても人間くさいものにした)。ボリショイはこうでなくっちゃ!
青い鳥役のラントラトフもとてもいい。すべてにいい方向に回ったいい舞台だった。とても感動的。なんだか華やかなだけで「感動」という感じではない演目なんだけど、この夜は「感動」だったなぁ。
しかも、カーテンコールのときに芸術監督のフィーリンが出てきて「今晩はうれしい発表があります。カプツォーワがプリマに昇進しました! 今日から彼女はプリマです!」という意味の発表(だったと思うw)。
カプツォーワ、なんだかちょっと涙ぐんでいる感じ。思わずもらい泣きしそうだったよ。
舞台が奥に広く、前に向かって傾斜がついていることもあるのか、1列目でもとっても見やすく堪能した。いやー良かったなぁ。
終わってからは寺沢さんと「Vogue Cafe」で軽くご飯(ここは8年前にもあり、とても評判高かったカフェ)。東京での仕事が悩み深く、全体に弱り切っていたけれど、なんだかとてもいい夜ではあった。
