ケントとオーシポワの競演! ABT「ロミジュリ」
2011年7月29日(金) 12:10:09
アメリカン・バレエ・シアター(ABT)は結局5公演観た。
「オープニング・ガラ」と「スペシャル・ドン・キホーテ」、そしてカレーニョの「ドン・キホーテ」、そして今週、火曜と木曜(昨晩)に「ロミオとジュリエット」。強烈に押し寄せる仕事の合間をかいくぐり、唯一のストレス解消として無理して通った。いやぁ堪能したな。シアワセ。
前三つは感想を書いたので、「ロミジュリ」を。
火曜に観たケント(ジュリエット)があまりに素晴らしかったので、昨晩のオーシポワ(ボリショイからのゲストダンサーで、ボクはわりとファン。今回の来日公演のお目当てのひとり)がどうなるかちょっと心配だったのだけど、期待を上回るダンスでこれまた素晴らしかった。
最大の違いは「若さの表現」だった。
16歳という設定のジュリエットをケントがやるとどうしても違和感があり、特に第一幕など全然若さがなく、わりと引っ込み思案のジュリエットだった。第三幕の哀しい場面はその延長線上にあり、すんなりと入ったが若さゆえの性急さ・短絡さ・情熱のほとばしりなどが感じられず、ちょっと残念でもあった。とはいえあまりに圧巻のダンスで、そんなことどうでもよくなってしまったのだけどね。周りの客はみんな鼻をズーズー言わせて泣いていた。
一方のオーシポワはその若さの表現が素晴らしく、特に第一幕は出色。
気が進まない結婚相手にもパーティにもワクワクする純情で無邪気なジュリエットを完璧に演じた。ボクはこのジュリエット観というか解釈が好き。この前半があるから、後半の悲しみが増幅される。白鳥と黒鳥のメリハリみたいなものである。ただ、そのままの解釈で第三幕まで一気に行くのだが、ちょっとした仕草の余韻が足りず、案外あっさり第三幕が終わってしまった感じなのは残念だったな。
でも、解釈自体はオーシポワのものの方が好き。
ケントとは全然違うジュリエットだったが、恋の喜び、悲しみ、その急降下具合など、よく表現できていたと思う。
というか、オーシポワは良くも悪くもボリショイっぽく、ちょっと大仰に熱く迫ってくる感じ。約一年前に観たアナニアシヴィリのジュリエットに少し方向性が似ている。ケントのはどちらにも似ていない独特なものだった印象。
振付は、アナニアシヴィリで観た最古のラブロフスキーの振付に比べて、ケネス・マクミランの振付は実にわかりやすいね。とっても素直にストーリーと感情が心に入ってくる振付と演出だった。
ロミオ役は火曜がゴメスで昨日がホールバーグ。
ゴメスがとっても良かったのだけど、ホールバーグもなかなか。ただ火曜はシムキンが花を添えたが、マキューシオ役のサルステインがちょっと残念だったかも。昨日のマシューズは好きなタイプ。でもこうして考えると去年の岩田守弘くんのマキューシオは良かったな。改めてそう思う。
ということで、ABT来日公演もついに終わってしまった。
正直寂しい。次のお楽しみは来年頭のボリショイ来日公演か。ワシーリエフの「スパルタクス」が超楽しみだ。ありえないくらい楽しみ。あと岩田くんが「白鳥」で道化をやってくれたら言うことなし!
備忘録:
火曜の「ロミオとジュリエット」
ロミオ:マルセロ・ゴメス
ジュリエット:ジュリー・ケント
マキューシオ:クレイグ・サルステイン
ティボルト:ゲンナディ・サヴェリエフ
ヴェンヴォーリオ:ダニール・シムキン
木曜の「ロミオとジュリエット」
ロミオ:デイヴィッド・ホールバーグ
ジュリエット:ナターリア・オーシポワ
マキューシオ:ジャレット・マシューズ
ティボルト:アイザック・スタッバス
ヴェンヴォーリオ:ブレイン・ホーヴェン
