あの激流を経験したアワビ

2011年5月 6日(金) 11:29:48

昨日は仙台に日帰りで行ってきた。

被災地に入るのは二度目。
最初に入ったのは3月17日。311から一週間目のこと。

個人的にだけど、被災地にちょっと入っただけで被災地のことを書くのはやめることにしている。
外の目で伝えることは重要だが、たった数日入っただけでは被災地のリアルはわからない。それは阪神大震災の被災者として痛いほど知っている。あのときの「被災地の中の人」としての怒りに近い戸惑いをよく覚えているからである。ちょっと来ただけのメディアの人の書いたもの、語ること、は、どれも「全然違うんだけどなぁ」というものばかりだった。

まぁ書かないよりマシ、伝えないよりマシではあるが、今は被災者自身(もしくは長く現地に入っている人)が発信できる時代。ボクはそちらに任せたい(助けあいジャパンに「現地からのレポート」という毎日更新のコーナーがあります。迫真のレポートだらけ。ぜひ)。

ちなみに、ボクの阪神大震災での被災記はここに書いている。
ここに書いているように「災害とはごく個人的な体験なのだ」と今でも思っている。だから、表面的に見て人に伝えることはボクはできない。ひたすら「被災していない自分が東京で出来ること」を粛々とするだけである。


さて。
大型連休もあと4日。
「助けあいジャパン」が設置しているJR仙台駅の「ボランティア情報ステーション」も、とりあえずは連休中の運営となる。東京でのもろもろが一段落ついたので日帰りで行ってきた。(10枚撮った写真はこちらを)

ちなみに、この「ボランティア情報ステーション」というのがちょっとわかりにくいので簡単にご説明したい。

元々「助けあいジャパン」の「ボランティア情報ステーション」は世の中からは見えにくい裏方で、ネット上をはじめ様々なところにあるボランティア情報を集めて入力し、データベース化してAPI(いろいろなソフトで使いやすいカタチ)にして吐き出すということを日々やっている。

つまりは情報源になっているわけである。

そうして我々が足で探して提供している情報を、Yahoo! Japan や goo や sinsai.info が使って発信している。集めた情報自体は「助けあいジャパン」上になく、我々は通信社的にその情報を他サイトに提供している、ということだ。←この辺の説明が難しい。

つまり、たとえば「助けあいジャパン」の中の「ボランティアしたい」というコーナーの中でリンクしている Yahoo! Japan や goo や sinsai.info は、「助けあいジャパン」の「ボランティア情報ステーション」が集めたデータを使っているわけです。

そして、そのリアル版、つまり現実版をJR仙台駅に設置し、構内のステンドグラス前(超一等地)にお店を出して、連休中に仙台に来る大勢の「ボランティアしたい!」という方々に情報提供しているわけ。

設置には宮城県の地元紙「河北新報」の方々の絶大なるご協力をいただいた。そして、せんだいみやぎNPOセンター、社協や災害ボランティアセンターにもご協力いただいた。また、地元のボランティアの方々、学生の方々が毎日詰めてくれている。

ちなみに、この「ボランティア情報ステーション」の取り組みが、経済産業省の「東日本大震災対応アプリケーション開発プロジェクト」と連携することになった。

ボランティア情報を活用したサイト・アプリケーションの開発について、同省より呼びかけが行われている。くわしくはこちらを是非。


それはさておき。

昼ぐらいに仙台に着いて、リアル「助けあいジャパン ボランティア情報ステーション」を訪ねてちょっと話をしたあと、ご協力をいただいた河北新報を訪ね、菅原さん、八浪さんと2時間半の打ち合わせというかブレストというかをした。とてもいい打ち合わせだった。今後ともぜひいろいろ連携したいし、お役に立ちたいと思う。

で、その打ち合わせが終わったらちょうど17時だったので、「仙台でお金を使おう!」と、拙著「極楽おいしい二泊三日」にも書いた居酒屋「一心」に行き、ひとり酒。

宮城の美味しいお酒をいただいた。
日輪田、乾坤一「蔵の風」、伯楽星、蒼天伝。うますぎる。特に「伯楽星」は裏にこんな紙が貼ってあった。

「本品は東北地方太平洋沖地震の震災より無事救出されたお酒です」

おお。よくぞ!
大切に大切にいただいた。

そうこうしていたら、女将さんが、「今日、市場に行ったら宮城産の活アワビがあってー」と。

うーむ。
たぶん津波をかぶったアワビ。あの激流を知っているアワビ。

手を合わせつつ、いただいた。ありがとう。いのちをいただきます。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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