最上の時間「竹内まりや LIVE 2010 @武道館」

2010年12月 5日(日) 10:05:04

竹内まりやの10年ぶりのライブ「souvenir again」に行ってきた。
4日間だけのスペシャルライブ。昨日はその東京最終日だった。@武道館

いままで観た数多くのライブの中でも最上のひとつだった。
終わったあとちょっと呆然として無口で歩いた。のれるライブ、踊れるライブ、元気が出るライブなどはいろいろあるが、自分の人生に思いを巡らし、沈思黙考し、ちょっと泣き、毎日を大切に生きていこうと決心し、観る前と観た後では確実に人生の見方が変わっている、そんなライブ、ちょっとない。うん、このライブで何かが確実に変わった。いろいろ頭が整理できた。爽快だ。

いや、シンプルなライブなのである。
ステージは楽器が配置してあるだけで凝った趣向はない。歌もお馴染みのものばかり。55歳の竹内まりやは落ち着いていて、客席を無理に盛り上げることもせず淡々と進行していく。観客の年齢層も高く、曲間も静かなものだ。「告白」や「駅」などのロマン歌謡に近い曲もやったので、ひとつ間違えるとサロンミュージック的ステージだった。

でも、だからこそ、竹内まりやの歌から滲み出る「ただここに存在していることのシアワセを、毎日のさりげない小さなシアワセを、大切に大切に生きていこう」というメッセージが、押しつけがましくなくじんわり浸透していく。他の要素が何もない。すべてがそこに収束していく。真っ正面からの人生の肯定。50代の自分を照れもせず誇りもせず、ありのままに受け入れ、自分の人生、そして他人の人生を大きく肯定していく。

これは「歌詞がとてもよく聞こえた」という音響のチカラに寄っている。実はこのライブの感動は音響が握っていたと思う。

武道館以上の大箱だと、たいてい歌詞が聞き取りにくい。リズムセクションが前面に出すぎ、爆裂音で会場を引っ張るライブが多いのも原因だと思う。でもこのライブでは竹内まりやの一言一句完璧に聞き取れ、歌詞の意味を考えながらじっくり聞けた。しかもそれを支える演奏の素晴らしさ。これらすべては「山下達郎がバンドマスターである」という事実に寄っている。

そう、達郎がバンマスなのだ。
ステージ中央、まりやの後ろに彼がいて、裏方としてしっかり演奏を支えているのである。ギター、コーラスはもちろん、マラカスなどのパーカッションやキーボードまで彼がやる。彼のキーボードで始まる「告白」、彼のギターで始まる「September」、彼のマラカスで歌われる「五線紙」などなど、もう見ていて夢見心地だった。

竹内まりやと山下達郎がふたり並んで演奏する姿。まぁ夫婦だから当たり前といえばそうだけど、なんだか奇跡のような絵だなぁと思って見ていた。以前、達郎のライブで彼女がサプライズ登場したときも鳥肌たったけど、今回は2時間ずっとそんな感じだった。というか、山下達郎を演奏者として使用する贅沢さ…。なんつうか、スティング連れてきてギターだけ弾かす、みたいな感じであるw

そして達郎ライブではお馴染みの山下達郎バンドの凄さ。
竹内まりやが紹介した順に書くと、Dr:小笠原拓海、G:佐橋佳幸、PF&synth:難波弘之、EB:伊藤広規、KB:柴田俊文、Sax:土岐英史、Cho:国分友里恵、佐々木久美、三谷泰弘、G,KB&Cho:山下達郎

あぁなんて素晴らしいメンバー。特に昨日は佐橋さんのギターと土岐さんのサックスが素晴らしかった(この日の土岐さんがイマイチだったので心配してたw)。あと大好きな国分友里恵も健在♪

というか、この日この日にNHKホールで観た山下達郎ライブより音のバランスが良かったぞ(笑)。達郎ライブのときは歌詞が聴き取りにくい部分もあった。でも今回は歌が前面に出つつ、演奏も細部まで聞こえる、という完璧なバランス。それも武道館で。このこと自体において音響スタッフに感謝を伝えたい。本当に素晴らしい音だった。

謙虚で落ち着いた竹内まりやのMCもとても良かったな。ノリで押さずきれいな日本語を使ってしっかり気持ちを伝えた。
シュガーベイブの店頭ライブを道玄坂に初めて見に行った日のこと(中2だった佐橋さんも来てたらしい)、達郎の暗さについての言及w、自分がステージを積極的にするタイプじゃないこととその反省など、印象に残っている語りがいろいろある。メンバー紹介も丁寧で、ひとりひとりエピソードも添えながらだった(最後に達郎の紹介を忘れたのはネタか?w)

そして、彼女がアンコールで感極まって歌えなくなったのだが、そこで思わずもらい泣きした。それがラストの曲の歌詞につながってまた涙。いや、ボクは最近かなり涙もろいのは確かだけどさ、でも、あれは泣くわ…。

さて、ここからライブでやった曲の紹介を詳しめにして行きたいが、実はまだ大阪公演が残っている(12/21,22)。
ネタばれは失礼なのでやめておこう。大阪公演が終わったら、以下に書き足します。やって欲しい曲をずいぶんやってくれたけど、いい曲が多い人なので「あれをやってほしかった」「これも聞きたかった」は多い。でも仕方ない。

あ、そうそう、ちなみにオープニング・アクト(前座)でセンチメンタル・シティ・ロマンスが4曲やったんだけど、これまた上質なロックで、ライブが見たくなった。こういう、ちゃんと年月の評価に耐え、風雪を越えたバンドのしっかりした音が聴きたい今日この頃。


※ツアー終了後、この日のセットリストを追記:

01.家に帰ろう (マイ・スイート・ホーム)
02.マージービートで唄わせて
03.毎日がスペシャル
04.象牙海岸
05.告白
06.僕の街へ(休業当時の心境と共に)
(ここで拍手で観客年代別調査。50代が一番多かった)
07.元気を出して
08.五線紙(まりやと達郎と佐橋・土岐の4人で)
09.ウィスキーがお好きでしょ(杉真理とのエピソードを交えて)
10.みんなひとり
11.駅
(ここで丁寧なメンバー紹介)
12.プラスティック・ラブ
13.チャンスの前髪(原由子パートはコーラス隊が)
14.J-BOY
15.人生の扉

〜アンコール〜
16.すてきなホリディ(クリスマス仕様)
17.アンフィシアターの夜
18.不思議なピーチパイ〜September(ここで感極まってまりや泣く)
19.いのちの歌(NHK「だんだん」の挿入歌。実は竹内まりや作詞だったとか)

客席にはピンクレディのミーや鈴木おさむ、茉奈佳奈が来ていた(正確には「だんだん」での「しじみ汁」のメンバーが全員来ていた模様)。ミーちゃんと接近遭遇できたのがうれしかったw

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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