今夏もすごかった、矢野顕子@ブルーノート
2010年8月23日(月) 6:59:43
昨日書いたように、「佐藤雅彦ディレクション “これも自分と認めざるをえない”展」のあと、「材木町 奈可久」で鮨を食べ、その後、矢野顕子@ブルーノートに行ってきた。20時45分の回。今回のツアー「AKIKO YANO TRIO featuring WILL LEE & CHRIS PARKER」のラスト・パフォーマンスである。
去年も同じパーソネルでのライブに行っている(この日)。
ウィル・リーの格好よさ、クリス・パーカーの多彩な才人ぶり、そして矢野顕子の超人天才ぶりがいかんなく発揮された最高のライブだったが、今年もそれに負けず劣らず素晴らしかった。
特に今年はウィル・リーがすごかった。
去年も書いたように「ウィル・リーが組んでいるというだけで矢野顕子の世界的な立ち位置もわかる」みたいな人。つまり「ウィル・リーが組むんだから矢野顕子ってすごいよね」ってあっこちゃんを知らない外国人が思うような人である。今年は去年以上にノリノリで、素晴らしいベース・プレイやボーカルを聴かせてくれた。
正確で前に出すぎないクリス・パーカーのドラムスと、ウィル・リーの派手なベースに支えられ、あっこちゃんの自由自在さにも磨きがかかる。この3人が競うようにアドリブかますときの自由自在さと言ったらない。音楽ジャンルが消滅する。
特に、琉球民謡のスタンダード「てぃんさぐぬ花」をやった時はぶっ飛んだ。
あっこちゃんがあの声で、琉球メロディを歌うのだよ? 「レ」と「ラ」を抜く独特の琉球音階はどう演奏しても琉球色になってしまうものなのだが、このトリオにかかるとそんな色なんてなくなる。まさに音楽ジャンル消滅。ただただ「良い曲、良い唄」というのみ。感嘆&呆然。鳥がたくさんいるトロピカルな森の描写から始まり、自然に琉球民謡になるのだけど、途中から完全に「あっこちゃんの曲」になり、最高潮では都会のジャズになる。そしてそれらが渾然一体となったラストまで、緊張と弛緩の連続。ハンパない。
3人で思い切りドライブした「YOU REALLY GOT ME」の格好良さも特筆もの。もうそのまま屋外フェスでやってくれ!踊り狂うから!みたいなイキオイ。単調な繰り返しがボレロのように効いてくる。あっこちゃんは前の晩に指の爪を痛めたとツイッターで教えてくれた方がいたが、この曲をやっていた時ではなかったのかな、と思わせるような激しいピアノ。
他にも、オープニングの「京都慕情」、ウィル・リーがボーカルをとった「JUST THE TWO OF US」(好きな曲なので泣いた)、ファイバリットな「中央線」(!)、そして「変わるし」、お洒落な「ISETAN-TAN」や「DAVID」。どれもハズレがない。どれもこれもイイ。
そして超絶プレイの連続、「ROSE GARDEN」。
ピアノがうまい人は世の中にいくらでもいるが、あっこちゃんの場合、ピアノの音と喉から出る音の境目がなくなる瞬間があり、その瞬間、ピアノがピアノじゃなくなる唯一無二の人。今回は「ROSE GARDEN」でその瞬間があったなぁ。
5月に行った「音楽堂」のライブも最高だったが、やっぱあっこちゃんって複数人でインタープレイしてる時の方が輝く気がする。音楽という言葉のやりとりをしているうちに違う場所に行ってしまう過程がすごい。なんとも魅力的。
こんなの聴いちゃうと、たとえば「ジャズ」とか「クラシック」とか、ジャンルに縛られた音楽が退屈になっちゃうなぁ。
……困ったもんだ、矢野顕子。
