CDとかDVDでは絶対に再現できない矢野顕子との旅

2010年5月 9日(日) 18:28:15

矢野顕子の弾き語りツアー「ここが音楽堂!」最終日に行ってきた。@神奈川県立音楽堂

最近では去年のブルーノートのライブの印象が鮮烈だった矢野顕子。ふたたび新潟の医師夫婦にお誘いを受け、いそいそと。

これは2月に発売された彼女のアルバム「音楽堂」のツアーで、このアルバム自体がここ神奈川県立音楽堂で一発録音スタイルでレコーディングされているもの(経緯などは「ほぼ日」のこのページにくわしい)。
つまり出発点にふたたび帰って来たことになる上に、録音時と同じ環境で聴ける、しかもツアー最終日、アッコちゃんも気合いが入っている(はず)、と、いろいろな好条件が重なっていたのである。もう聴く側としてはメロメロになること請け合いの夜だったわけ。

というか、個人的には、県立音楽堂に着いた時点でメロメロ(笑)

というのも、ここ、同じ敷地内のすぐ隣が県立図書館なのだけど、ボクはこの図書館に、高2と高3の夏休み(1978年〜79年)、毎日通って自習室で勉強してたんだよねー。
当時保土ヶ谷の祖父母宅に居候してたんだけど、そこから毎日通ってきていた。クーラー効いてて気持ちよかったし、周りが勉強してるからやる気も出るし…。嗚呼あの頃が蘇るなぁ。同じく自習室に毎日通ってくる可愛い子がいたなぁ。紅葉坂でばったり会ったりするだけで赤面していた男子校のワタクシ(笑)。この図書館の裏が公園になっていて、勉強に煮詰まるとよく散歩してたっけなぁ…。暑い夏だったよなぁ…。とか。まぁこのことを書くだけで数万字書けそうなくらい思い出深い場所なわけ。

その場所に、30年振りに来たわけです。
30年…。ちょっとした年月だ。そのうえ建物がまったく変わってない。県立図書館も県立音楽堂もあの時のまま。うわぁ。なんだこれ。タイムスリップかよ……。

という感じで、ライブが始まる前にすでに心が痛くなっていて(笑)

一曲目が始まって、矢野顕子の素晴らしい歌に触発されながらも、なんだかあの暑い夏のイメージが離れず、ふと気がつくと来し方行く末を考えている始末。また天才アッコちゃんの歌が実に映像的で、あのころの光景を鮮烈に蘇らせてくれる。自分の中でいろんなトリップが始まる。なぜか途中から村上春樹の「午後の最後の芝生」の情景が重なってきて、なんだかとっても哀しくなった。

と、哀しくなっているところに、「今日のゲストは忌野清志郎」とMCが入って、清志郎の新発売CD「Baby #1」から「恩赦」と「きよしちゃん」を歌うアッコちゃん。ぐああああ。やめてくれ…。

でも、ここでアッコちゃんに「どうしたんだヘヘイベイベー♪」と歌われて我に返り、その後の「右手」「さあ冒険だ」「ひとつだけ」は逆にすごく集中して曲の中に入って行けた(「ひとつだけ」はやっぱりサイコー。清志郎との共演もある)。

県立音楽堂とアッコちゃんの声に手を引かれて自分の中を旅したあと、あらためてアッコちゃんの世界に耽溺できるなんて、個人的には超ゼイタクだった。二度とない一期一会のライブとはこういうこと。CDとかDVDでは絶対に再現できない。

アンコールはなんと「中央線」
これ、好きなんだよなぁ。

 ♪キミの家のほうに流れ星が落ちた
  ボクはハミガキやめて電車に飛び乗る
  今頃キミは流れ星くだいて
  湯船に浮かべてボクを待ってる
  走り出せ中央線 夜を越えボクを乗せて

そして超絶アッコちゃんワールドな「いい日旅立ち」で〆だった。

あぁなんといういい夜…。

終了後、ロビーにセットリスト(やった曲)が貼り出されていた。こういうサービスいいよなぁ。落語ではよくあるけど(やった演目が終了後に貼り出される)、意外とライブではないこと。ここに書き写しておく。

 グッドモーニング
 へびの泣く夜
 My Love
 きょうのわたくし
 変わるし
 In Her Family
 Say It Ain't So
 嘆きの淵にある時も
 恩赦
 きよしちゃん
 右手
 さあ冒険だ
 ひとつだけ
(アンコール)
 中央線
 いい日旅立ち

ちなみに、レコーディング場所に選ぶだけあって、音はさすがによく、アッコちゃんも「いい音だなぁ。あ、いま、観客意識せず、自分の快感のためだけに弾いています。ごめんなさいね。でも、あぁ、いい音!」とか悶絶してた(会場爆笑)。矢野顕子自身も実にノッてたライブだったと思う。

終了後、一緒に行った新潟の女医さんが「アッコちゃんを聴くと元気になりますよね!」って言ったけど、今回に関しては素直に頷けなかったなぁ。元気になるというか、暑くて懐かしくて哀しくて、そして笑顔になれた、個人的にはそんなライブだった。元気になる、というだけでは説明できない、いろんな感情が渦巻いた(笑)


で、後日談というか、後ライブ談というか。

終了後、新潟の医師夫婦と中目黒まで行って「イカロ」に行ったんですね。ボクがいろいろ書いているのを読んで「是非行きたい!」と。

で、相変わらず実にうまかったのだけど、隣の席に座った方々が、矢野顕子のライブ会場でもらったお土産(「綾鷹」のペットボトル)の紙袋を持っていたので、もしかしてと思って話しかけたら、彼女らも矢野顕子のあとだったわけ。おお奇遇! アッコちゃんがいかに素晴らしかったかの話でしばし盛り上がった。

で、そのことをツイートしたら、翌日、その方々のひとり(@peaceful0920)が「矢野顕子コンサートの後に行った中目黒イカロ。いつものようにおいしくてしあわせだったのにプラスして、隣の方々もあっこちゃん帰り!更には国際フォーラムの同日にいらしていた方も!! 偶然にしてはできすぎ。呼ばれてたのかなあ。こういうの大好き。」とツイートしていて、それを読んだ別の方から「それは@satonao310さんでは? 昨日同じつぶやき見ました。」とツイートが入り、お互いにほぼ同時に気づき、一晩を経て、めでたく昨日の方とツイッター上で再会することに!

おもしろいなぁ。こういうのもアッコちゃんの神の手なんだろうなぁ。とか。

なんだかいろいろ「つながった」昨日から今日にかけて、だったのでした。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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