「今日は幻があるよ」

2010年6月27日(日) 7:54:33

2ヶ月ほど前に「銀宝の天ぷら」についての記事を書いた(こちら)。

銀宝。ギンポ。ギンポウ。
別名をウミドジョウ(海泥鰌)とかカミソリ(剃刀)とか言うそうだ。それで姿形が想像つくよね。

江戸前の天ぷらとして昔から喜ばれた魚である。
江戸の前(東京湾)で捕れる、という意味でも、江戸風天ぷらのタネという意味でも珍重された。でも、最近では東京ではなかなか捕れず、能登の七尾産とか静岡産のものが多いようである。食べた店のご主人が言うには、市場に仕入れに行くと、七尾産だと「ギンポあるよ」と叫ばれ、静岡産だと「本物があるよ」と耳打ちされ、江戸前(東京産)だと「今日は幻があるよ」とこっそりささやかれる、とのことである。

旬は短い。まさしく今。5月くらいから七尾や静岡が出回り、江戸前(東京産)は6月〜7月。でも上記のように「江戸前は幻」なので、本当にめったに市場に出ないという。

さて、2ヶ月ほど前の記事で「6月、また行くよ」と書いたように、その食いしんぼの先輩と「森の」にまた行ってきた。
一応6月25日に予約を入れたのだが、その日に江戸前が入る確率は低い。なので「もし江戸前のが入ったら電話をしていただけませんでしょうか? 25日じゃなくても、なんとか行きますので」とお願いしておいたのである。そしたらちょうど25日の数日前に江戸前が入ったという電話が入った。超うれしい! まだ、以前のギンポの味が鮮烈に思い出せる状態。この状態で本場江戸前と食べ比べることが出来るとは!

本郷三丁目にある蕎麦屋「森の」は、一品メニューも日本酒の品揃えもかなりいい。神保町の「松翁」で修業したご主人が作る一品はどれもおいしい。まずは焼き茄子やら鮎の煮浸しやら江戸前穴子の煮凍やらで腹を落ち着けて、鮎酒で舌を湿らせて、準備万端。そして満を持して銀宝の天ぷらを。

いや〜、前回食べたときのような身の厚さはなかったが、香りがまるで違った!
いい意味での臭みと苦み。前回の淡白さと打って変わったエッジィな味。おー、これがギンポかー。ここまで特徴が出たものは初めて食べたなぁ。覚えとけよ、舌と鼻!

めったに食事中に写真を撮らないのだけど、店がすいていたこともあり、手に入れたばかりの iPhone4 でパチリ。いや、ほんと、ご馳走様でした。

ちなみに「森の」は夏に冷や麦もやっている。
この店の蕎麦がうまいのは前回で体験済み。なので今回は冷や麦とのハーフにしてみた。夏に冷や麦を出してくれる蕎麦屋、好きなんだよなー。そしてそういう店は決まって味もはずれない。一品などもすべておいしいことが多いのである。

「森の」の冷や麦は、コシも粘りも抜群で実にうまかった。この季節、オススメかも。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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