風変わりなことは恥ずかしいことではない

2009年9月 6日(日) 12:23:08

次期首相になるのがほぼ確実な鳩山由紀夫民主党代表の奥さんである鳩山幸夫人の無邪気な言動は以前から週刊誌などで読んでいたが、今、その発言が世界中で話題になっているらしい。まぁ日本の次期ファーストレディでもあるしね。

取り上げられているのは過去のこのような発言。
「私たちみんな宇宙人」「わあ、疲れた。今、金星に行って来たのよ」「肉体が眠っている間に、魂が三角形のUFOに乗って金星に行って来た」「太陽をちぎってむしゃむしゃ食べるのお。すごく力になるわよ~」「前世で私はトム(クルーズ)と一緒だったの。だから彼に会って『久しぶりね』と言えば、彼はわかると思う」

それを受けてグーグルまで昨日のトップページロゴが UFO になってた(これは偶然そうなった可能性もあるが、この記事によると Twitter でグーグルの暗号めいたオフィシャルつぶやきがあり、それを解いたところによると鳩山夫人の発言に関連してる可能性が高いらしい)。

上でリンクした記事は「これからずっとネタにされバカにされ続けるかと先が思いやられますね、ホント」と結んでいるが、ボクはイギリスのタイムズ紙の社説の考え方の方を支持したい。共同通信が配信したこの記事は「英紙、鳩山夫人を社説で論評 『日本は不可解でない』」という見出しをつけ、以下のように続けている。

【ロンドン共同】4日付の英紙タイムズは、次期ファーストレディーになる民主党の鳩山由紀夫代表の妻、幸さんを社説で取り上げ、日本が不可解な国ではないことを示す助けになると解説した。
 社説は幸さんの「UFO体験」や、米俳優のトム・クルーズさんと前世で会ったことがあるとの発言を紹介した上で「風変わりであることを恥だと思わない人物が日本のファーストレディーとなり、そうした妻の快活さを評価する夫が首相になる」と好意的に論評。
 さらに幸さんについて精力的だとし、おとなしい政治家の妻という型にはまったタイプからほど遠いと評している。(47ニュース:2009/09/04
とてもいい記事だと思う。日本人の「気づき」にとって。
そう、風変わりなこと(人と違うこと)は恥ずかしいことではない。人と同じことをしたがること(日本人の国民性)の方が世界的にはずっと「不可解」なのだ。逆にユニークネスが高く評価されるのが海外なのである。そういう意味でも奔放で風変わりな人がファーストレディになるのはいいことなのではないだろうか。そのユニークさを非難せずに面白がれるようになるための訓練になる。

こんなことを書くと「だとしてもファーストレディとしてはNGに決まってるだろ!」みたいなメールが来るんだよなー。日本人が「寛容性」を身につけていく過程だと思うので、あまり目くじら立てることもないとボクは思うけどな。

ただ、鳩山由紀夫代表本人についてはちょっと目くじら立てたい。
「国会の人事や運営を小沢氏に全面的にゆだねる意向」というニュース。これは本当に残念だった。馴れない与党を運営していくのに経験豊富な小沢氏の豪腕と安定感が必要なのはわかるけどさぁ。

小沢一郎議員のことは別に好きでも嫌いでもないし、立派な政治家のひとりだと思っているが、やり方が従来の「自民党的」である。そこが彼の一番の弱点(そう、いまは弱点)。多くの国民が「民主党が好きなのではなく『自民党的なもの』が嫌いになったから民主党に票を入れた」という流れを鳩山代表がわかっているのなら、「小沢氏に全面的にゆだねる」という発想は出てこないはず。カタチだけでも「ゆだねず闘って」いたら、全然印象が違うのに。

負けた自民党も、総裁選白紙投票がどうのとか、落選議員が派閥の長に留まるとか、国民に人気ある議員を総裁にとか、寝ぼけたこと言い続けているのなら、本当にいまの社民党レベルまで凋落するだろう。
選挙に大敗したのは、小泉改革の反動(格差論 ←格差は小泉改革が原因ではないとボクは思っているが)ではない。もうあの当時から「自民党的なもの」が嫌われていて、国民は「自民党をぶっ壊す」という小泉改革に望みをつないだのである。その象徴が郵政民営化だっただけ。その「ぶっ壊し」を安倍・福田・麻生が引き継がず(まぁ引き継がなかったから結果的に「ぶっ壊す」という公約が実現されたんだけど)、郵政反対派も党に戻し、やり方もすべて従来の「自民党的なもの」に戻してしまった。これが国民の自民党嫌悪の源であり大敗の原因だとボクは思っている。そこを変えないと本当に凋落すると思う。

それと同じ文脈で、だからこそ「自民党的なもの」だけは遠ざけておかないといけないのが鳩山民主党。
小沢氏の能力を活かすのは当たり前だが、「全面的にゆだね」て欲しくはなかったな。「あぁやっぱり自民党的なやり方なんだ」という深い諦観を国民に与えてしまったかも。残念だ。せっかく少しワクワクしてたのに、はじめの一歩がそれっすか。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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