レス・ポール、山城新伍、海老沢泰久
2009年8月18日(火) 8:59:05
またしても訃報の嵐だ。
村上春樹は「1Q84」の中で牛河という登場人物に「ある年齢を過ぎると、人生というのはものを失っていく連続的な過程に過ぎなくなってしまいます。」と言わせているが、まぁそういうことなのだろうな。井伏鱒二的に言うと「サヨナラダケガ人生ダ」と言うことか。
レス・ポール。
ボクはニューヨークの「Iridium」で彼のライブを1998年頭に観ている。一緒にNYに行った音楽プロデューサーに「もうすぐ死んじゃうからすぐ行こう!」と誘われて観たのだけど、それから約10年、ぜんぜん死なずに毎週月曜夜にライブをしていた(笑)。でも観ておいてよかった。当時82歳。動きは緩慢だったけど、抜群に格好よかった。ギブソン・レスポールを胸の高い位置に抱えて静かに弾いていた姿が忘れられない。本当にうまいとパフォーマンスなんて必要なくなる。
山城新伍。
「大人にはボクたちの知らない快楽があるらしい」と子供のボクに感じさせた芸能人のひとり。主にバラエティだったが、裏側を感じさせる彼のトークは「早く大人になってみたい」と切望させるに充分だった。いまはそういう大人って少ないな。「大人になってみたい」と子供に切望させることって、ほとんど教育者の役目である。もっとも教育者的なるものから遠い人でもあったが、結果的に(そして潜在的に)かなり教育に貢献した人だと思う。いまだったら明石家さんまや中居くんみたいな人気を誇った人。芸能界と縁を切って早くから老人ホームに入ったのも衝撃的だったけど、最後まで「ボクたちに一歩先を見せてくれた人」なのかもしれない。
海老沢泰久。
この人の本は中期までなら(NECから出たPCのマニュアル特別執筆に至るまで)ほとんど全部読んだのではないだろうか。1995年にサイトを始める前だからほとんど記録に残してないけど、1980年代はモスト・フェイバリットな作家だった。「監督」に始まって「F1地上の夢」「F1走る魂」、そして「美味礼賛」はボクの中では頂点。その後も「ヴェテラン」「快適な日々」「満月空に満月」などなど。達意の文章とはこういうことを言うのだなぁと舌を巻いた作家でもあった。彼の老年を読んでみたかった。森本哲朗みたいな感じになったかも。残念。
