エアチェック職人
2009年5月14日(木) 6:38:20
まぁボクもエアチェック世代なわけだが。
もうエアチェックと言ってわからない人もいるのかな。死語に近いのかも。ラジオから楽曲などを録音することである。テレビ放送にも使わないことはないが、あれは「録画する」と言うのが一般的。それに対しラジオは「エアチェックする」と言った。
「FMレコパル」とか「FM Fan」とか「FM STATION」とかいう今は亡きFM雑誌を買って、どの番組でどういう曲が流れるかを事前に調べ、お目当ての曲が流れる放送を聴き録音するのである。中学高校の頃(1970年代)なんてレンタルレコード店なんかまだなかったから、音楽を手に入れるのはレコードを買うかエアチェックするかしかなかった。
レアな曲が流れる前は緊張したな。
放送のちょっと前からラジカセの前に陣取り、カセットテープで前に録った曲のお尻を頭出しし、録音ボタンを押すのとほぼ同時に(正確には0.5秒後くらいに)ポーズボタンを押して、そのままその曲が流れるのを手に汗握り待つのである。曲紹介のナレーションが終わり曲が流れる。このコンマ何秒の間にポーズボタンを解除する。録り直しがきかないから緊張するわけ。たまに曲の頭にナレーションをかぶせるDJがいたりすると泣く泣く削除したり。
昔はそうやって音楽コレクションを一曲一曲増やしていった。
地道な作業である。録音前の一連の段取りなんて、ボクはもう職人技に近く洗練されていたと思う。なにしろボクのカセットテープ・コレクションは(仲間内では)有名だった。その質と量。当時で数百本のカセットを持っていた。いつかはあれらの音源をデジタル化したいと思うんだけど、あれからすでに30年以上。もう磁気がダメになっているだろうなぁ。もったいない…。
って、何故こんな話を書いているかというと、すごいエアチェック音源の存在を知ったのだ。
ちょっと前に書いた「バーンズ」の同窓の方のである。落語や漫談や漫才の貴重な音源の数々。中学時代から録りためたものだと言う。ものすごい量である上にちゃんとデジタル化してあるのがスゴイ。ボクがFMでフォークとか歌謡曲とかポップスとかクラシックとかを追いかけている頃、彼は落語や漫談や漫才を追いかけていたのね。それにしても……すごい質と量である。
というか、落語はともかく、漫談や漫才はエンタツアチャコまで遡る歴史的なものだからなぁ。個人的には知らない名前も多い(あんまり漫談とかは聴いてこなかったから)。彼のオススメはローカル岡なのだとか。ローカル岡? ふーん、知らないなぁと思って聴いたらこれが妙に面白い。落語にくわしい友人に「知ってる?」と聞いたら、「ローカル岡! 知らないの!? 寄席に通っていた人は誰でも知ってるよ! 数年前に亡くなっちゃったけどさ、私なんか大好きで大好きで…」と5分説教された。そうなのね。(参考動画:YouTube)
あぁでもこのコレクションを聴かせていただいていると、彼の深い独りの夜が思われる(笑)。ボクが孤独に音楽を追いかけていたころ、彼も孤独に落語を追っていたわけね。録音に至る一連の動作をしながら手に汗握っていたわけね(彼はオープンリールだったらしいけど。そしてそれはもっとマニアックなものなんだけど)。ジャンルは違えどエアチェック職人だったのは一緒である。同志だなぁ。
