三人集 〜談春、市馬、三三〜 @読売ホール

2008年12月28日(日) 13:50:44

落語を聞いてきた。
今年はいろんな舞台を見たが、年末の〆が落語というのもまたいいものである。
舞台納めは「三人集」と名付けられた寄席。人気若手3人の会である。立川談春、柳亭市馬、柳家三三の3人(出演順)。昼夜公演の昼の部で、昼も夜も違う演目な上に、三三は昼夜共に大ネタのネタ下ろしだ(「双蝶々」と「鼠小僧 蜆売り」)。一番若い三三がトリを務めて大ネタをする、ということからわかるようにほとんど柳家三三が主役の会である。三三は6月に独演会を見たこともあり、ちょっと応援中。

3人並んでの「口上」から始まったが、かなりくだけた雑談調。
三三に談春が絡むのだが、これがちょっとわざとらしい。いじり下手な上に目が笑っていない。今年は「赤めだか」(立川談春著)が大ヒットして、ボクも7月だったかに読んでいるが、読んだときに感じた違和感を思い出した。談春には独特の上から目線があり、何をやってもどこか説教になってしまう。この本、すごい評判が良かったが、ボクには全く合わなかった。なんでこんなに人気があるのかわからなかった。たぶん相性が悪いのだろう。だって「口上」での絡みを聞いているだけでどんどん違和感が大きくなるくらいだし。

その立川談春の「明烏」が始まった。
途中までは快調。おばさんとかならず者とかはとても良い。でも若旦那が可愛くない。生真面目な若旦那の変容がキーポイントなのにそこが色っぽくない。しかも大きな間違いを二ヶ所でした。落語初心者のボクでもヒヤッとするほどの大間違い。客席もしばし凍る。一回目の間違いは知らん顔で通した。二回目のは自分で間違えを認めて笑いに変えてくれてホッ。
と、なんだか談春を見る目がネガになってしまうのも相性かな。どうやっても上から目線に聞こえる見える。教えてやるよ、という姿勢が見え隠れするように感じてしまう。後で落語にくわしい人に聞いたら「あれはやはり談志の影響かな」とのこと。確かに談志は上から目線だなぁ。でも談志は談志だからなぁ。というか、同じ立川流でも志の輔には上から目線を感じないぞ。この違いはなんだろう。

とか考えながら、続いて柳亭市馬の「三十石」。
ネタ下ろしらしい。彼の大らかでほがらかなお人柄がまっすぐに出た好演。いい人なんだなぁ。ただ若干退屈で眠くなった。宿帳のところとか、もっと爆笑に持って行って欲しかった。舟唄はさすがにうまい。もっと別の演目を聞いてみたいな。夜の部では彼の十八番らしい「掛け取り」をやるらしい。聞いてみたかった。

仲入り後、柳家三三の「双蝶々(ふたつちょうちょう)」(上下)。
上下というのは、大ネタのネタ下ろしなので、体力気力ともに大変、ということで、構成を二部に分けたもの。その間に談春の「お楽しみ」というのが入る。
で、三三の「双蝶々」。これは良かった。人情物でちゃんと泣かせる。登場人物が多いのだが、それぞれの演じ分けが素晴らしい。特におっかさんがうまい。うまいなぁ。贔屓目もあるかもしれないが、今年で34歳にしてはうますぎる。というか、彼の弱みはその老成加減かも。老成しすぎ。ちょっと華がないのも損。でもうまい。
ただ、父親が息子のお金を受け取るに至る心理描写が描けてなかった気がする。そこは残念。

間に挟まった立川談春の「お楽しみ」は「権助魚」だった。
落語初心者としては、三三のしんみりした話の間に、しかも長吉が殺人をしでかしてしまった直後に、こういう大笑い物を挟まれるのはずいぶん興醒めなんだけど、こういうものなのかな。
談春の権助はとても良かった。でも「すぐに帰って」と旦那が言ってしまったのはネタばれで、これもミスじゃないかなぁ。なんか全体に集中力不足を感じた。

はは。また談春に厳しいや。
まぁフォローすると、彼のこのアクは、逆に年を取って枯れてくるとすごい味になると思う。いまは変にまとまらないで、ボクみたいな素人に嫌われているくらいがいいのかもしれない。逆にいまいい味が出ちゃっている三三の老年期が少し心配。落ち着いちゃわないといいなぁ。とか。素人感想。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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