2008年を振り返っていろいろ反省しています

2008年12月29日(月) 16:48:40

来年飛び上がるためにも、一度ググッと深くしゃがまないと。

ということで、自分を振り返って厳しめにいろいろ反省しています。
2008年は仕事面で反省点が多かったですね。原因を二日かけて探ったのですが、「自分ができること」と「自分ができないこと」をきちんと把握せずに事に及んだことが大きいかな。「明日の広告」なんて本を出したこともあって周囲の期待が大きくなり、それに応えようとしすぎた感じ。スーパーマンじゃないんだから一人でできる質も量も限られます。その点を甘く認識して仕事を受け、オーバーフローし、それぞれが中途半端になっていってしまった。これは来年からかなり厳しく改めたいと思っています。

あと、視点の変化にうまく対応できなかった。
「明日の広告」はわりと広めの視野で書いた本です。それでもまだ「広告」という分野に限っている。でも、実は出版から約1年経って、その「広告」をほんの一部とする「パブリック・リレーションズ」(この言葉も古いけど、いまはこの言葉しか当てはまる言葉がない)に興味も関心も向かっています。プッシュ型広告、プル型広告、広報、戦略PR、コンテンツ、WEB2.0的自走コミュニケーション、次世代テクノロジー、クチコミ、そして商品そのもの……などをすべて使って生活者とコミュニケーションしていくやり方ですね。
「コミュニケーション・デザイン」という概念はこれにとても近いのだけど、まだ「広告まわり」の意識が強い。パブリック・リレーションズは、もっと視野と領域を広げて、すべてを関連させてコミュニケーションを作っていかなければいけません。最近ではオバマ次期大統領がこの方法を効果的に使って選挙を闘い、「マーケッター・オブ・ザ・イヤー」を獲りました。

で、志向も思考もそちらに向かっていて、自分の中でのリワイアリング(配線組み替え)もある程度進んでいるのに、実際の仕事が、たとえば「広告」という分野の中の「プッシュ型広告」という分野の中の「クリエィティブ」という分野の中の「CMプランニング」だったりすると、どうにも視点が切り替えられず、プランニングの細部が少しずつ甘くなっていきます。これは悩みました。ここ十数年ずっと普通に見えていたはずのものが、ふと気づくと見えなくなっている。ショックでしたね。でもきっと空から俯瞰すると細かいものが見えにくくなる、みたいなことなのでしょう。使う筋肉が違う。偉そうな意味ではなく。 俯瞰も細視も両方できるのではないか、と甘く考えた自分がいけない。

あと、広告プランニングでは重要な「コア・バリュー」とか「コンセプト」とかいう考え方も、ボクの考えるやり方では「それはひとつではなく伝えたい相手によって分散して存在する」「だからいろんなメディアやソース、タイミングを組み合わせる」ので、何かひとつに絞るという発想がなかったりします。
でも、トラディショナルな作業だと、いきなり「コア・バリュー設定」なんですね。それに直面して初めてそういう発想自体が自分の中で消えていたことにハッと気づいたりしました。自分が変化していることを他から知らされて戸惑う感じ。アレレと困っているうちに、ふと気づくとスタッフとの間で意識乖離が起こっている…。この乖離をちゃんと埋められなかったのも大きな反省点のひとつです。

というか、ボクがトラディショナルなプッシュ型広告の現場に細かく関わっていること自体がすでに非効率的なのかもしれません。
広告制作現場が好きなもので未練たらしく関わり続けていますが、もう志向も思考も変わったのだから、潔く離れるべきなのでしょう。そして、自分が考える新しいコミュニケーション分野の開拓に邁進するべきなのかもしれません。

2009年は大変厳しい年になります。大不況という言葉で片付けられたらラッキーなくらい。
そういう年は「やり方を変える千載一遇のチャンス」でもあることは前に書きました。そしてそれは「個人」にも言えること。自分自身、大きくやり方を変える年にするべきなのだろうな、と思います。クリエィティブ・ディレクターという肩書きからも自由になる頃合いかもしれません。

来年はちょうど年男。つまり48歳。あとひと回りで60歳。
いつまで仕事するかは別にして、残された時間を考えると、自分がいままでやってきたやり方を大きく変えるにはいいタイミングなのだと思います。

そんなことをつらつら思う年の暮れ。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

アーカイブ

同カテゴリーの他記事