イタリア旅行第4日目「グラッパ、そしてお別れ」

2008年8月25日(月) 21:00:00

鶏の声に目が覚める。昨日よく寝たせいか調子はよい。
今日でモーレツ家族ともお別れ。朝8時くらいからいつものように大テーブルにいろいろ並ぶ朝食。「でもいつもはこんなに並ばないわよ。お客さんが来たときだけ」とローザ。なるほどそりゃそうか。

午前中はマリさん母子とバッサーノ・デル・グラッパの街を観光。
家から車で10分くらいだろうか。もともとこの街の目抜き通りにモーレツ家族は大きな家を持っていたのだけど、あるとき急に田舎暮らしに目覚めて引っ越したらしい。

この街はポンテ・ベッキオと呼ばれるイタリア最古の木橋で有名。駐車場(勝手に車のナンバーを読み取ってくれ、そのナンバーで精算をするハイテクな有料駐車場)に車を止めて古い通りを歩く。
月曜朝なので店はあまり開いてないが、季節モノのポルチーニ茸を揃えた食材屋さんはだいたい開いていて、それらを眺めてるだけでも楽しい。木橋やら川やらを見たあと、木橋のたもとにある名物の古いグラッパ・バーへ。カンパリとグラッパをベースにした赤いオリジナル・カクテルが有名らしく、夜は激混みするらしい。朝なのでまだ空いていて、川を眺めながらゆっくり飲む。デルス(マリさんの息子。中2)はボクたちと別れたらもう日本の話をする人がいないので、必死に日本のテレビやらジャンクフードやらの話をする。ポルトガル語、イタリア語、日本語が堪能な彼だが、日本が一番好きらしい。好きというかエキサイティングだと言う。確かに日本は中学生くらいにとっては刺激に溢れて感じられるだろうなぁ。

グラッパの「POLI」の店にある小さなグラッパ・ミュージアムを見たあと、昼ご飯。
マリさんオススメの「Ristorante Pizzeria al Saraceno」。マリさんというよりモーレツ家族が常に行きつけにしている店らしく家族ぐるみのつきあいっぽい感じ。ピッツァとパスタで軽く。ナポリ出身のシェフらしく、ピッツァはナポリ風。ピッツァ・バッサーノという白アスパラを使ったバッサーノ風ピッツァが美味。ポルチーニ茸を使ったパスタも濃厚な美味。全体に塩が強めだが、これが現地の塩加減なのかも。

一度家に帰ってひと休み。アントニオの発明品(数千万円投資した本格的な物品)を見せてもらい、説明を受ける。これ、日本で売ったら絶対売れる。でも「まだ完成品ではない。真の完成を見るまでは売れない」とガンコなアントニオ。まぁガンコなのは発明家の資質のうち。待つしかない。

夕方、家のすぐ近くのグラッパ工場を見学。「CAPOVILLA」というメーカー。
地元でも高級グラッパとして知られている蒸留所で、家族経営っぽい造りだけど、設備は相当近代的な上に作り方の厳格さはイタリアでもトップクラスらしい。加糖・加香を含めて全くの無添加はイタリアではここだけ、と彼らは強調する。特に様々なフルーツから作ったグラッパがすごい。無農薬有機栽培で作ったフルーツを丸ごと熟成させ、香料も一切使わず丁寧に丁寧に仕上げていく。一通り説明を受けたあと元エンジニアのオーナー(独立してグラッパの道に入った)も出てきて桃の熟成工程を見せてくれた。試飲させてもらったが、普通のグラッパはもちろん、桃のグラッパ、梨のグラッパ、ベリーのグラッパなど絶品だった。こりゃすごい。

まだ日本では無名。でも説明をしてくれた女性は「日本のレストランにも入ってます」と、一覧を見せてくれた。10軒くらい。このグラッパ目当てに食べに行くぞ。というか、これだけ熱のこもった説明を受け、厳格な作りに触れると、ここ以外のグラッパは欲しくなくなってしまうよ。

数本買い込んで帰宅。いよいよモーレツ家族ともお別れだ。
アントニオと名残惜しい別れをして出発。高速に乗る途中にある「STEFANEL」のアウトレットにつきあってくれたマルゲリータともそこでお別れ。マリさんとデルスともそこでお別れ(ローザとはバッサーノのリストランテで別れた)。急に寂しくなるけど、なんかお別れという感じがしないのはたぶん再会の予感があるから。来年だか再来年だかに必ず会えるだろう。

もう19時すぎ。
今日の目的地トレントには夕方には着いているはずだったのだが、すっかり遅くなった。まぁ21時までは明るいから、と気楽に出発した我ら3人家族。トレントはトレンティーノ・アルト・アディジェ州の州都。バッサーノ・デル・グラッパから100キロくらい北上する。高速なので1時間強で着くと目論んだのだが…甘かった!

バッサーノでも薄々感じていたのだが、イタリアは(とりあえず北部に限っては)道が異様にわかりにくい。標識もとてもわかりにくい。運転もとてもしづらい。
高速でトレントまで行けたのはいいが、そこからホテルまで迷いに迷った。ホント、わけわからん。ホテル予約時にマリさんから「トレントは市内がわかりにくいから、市外のホテルの方がいいわよ」と聞いていたので、比較的わかりやすい市外のホテルにした上に、アントニオにも詳細に行き方のレクチャーを受けていたにも関わらず、迷いに迷った。空も真っ暗になり、いまどこにいるかもわからなくなり、小さなガソリンスタンド(無人)で絶望的に地図を眺めているとき、地獄に天使、おねえさんバイカーに巡り会い、道を丁寧に教えてくれた。イタリア語だったがなんとかわかった。そのまま無事にホテル「Maso Wallenburg」に辿り着きチェックイン。あぁ疲れ切った。1時間半は市内市外をうろちょろしていたぞ。

もう22時。でもイタリアではこの時間から夜ご飯なんて珍しくないのでどこかに行こうかと思ったが(ホテルに食堂はない)、またトレントの街に出て迷うのも怖い。ホテルの人が言うには車で5分のところにいい店があるというが、そこに出るのも怖いくらい迷ったので、もう出たくない。
ということで、手持ちのパンとかで夕食を済ませた。このボクが夕食を諦めたくらい迷った、ということでこの迷い具合を理解していただけるのではないだろうか(笑)

ぐったりと就寝。ホテルはとてもキレイで、部屋は清潔。朝起きてみてわかったが、荘園をホテルにしているようで葡萄畑がまわりに広がっている。この荘園のオリジナルワインもあるようだ。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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