台湾家族旅行 第三日目

2008年3月21日(金) 7:39:42

ふと思ったけど、台湾って鮨屋が少ない。いまや世界のどの都市に行っても鮨屋は目につくのに、ほとんど目にしていない。和食はしゃぶしゃぶが多く、次いでトンカツ、天麩羅という感じ。屋台文化だから、熱を入れない鮨は印象的にあまりよろしくないのだろうか。

台湾はとにかく屋台(店先簡易屋台を含めて)が多く、各街角で安価に食事を提供してくれる。
ただ、日本と違うのは、屋台は買い食いという目的というより「食卓の必需品」として使われている印象。食卓にテイクアウトするヒトが多い気がする。ある食品メーカーのヒトに聞いたが、日本のように専業主婦が家庭にいるというのは世界的に大変贅沢なことらしい。アジアは特に夫婦共働きが多く、家庭での食事は屋台などの安価な総菜を買って賄う。あらゆる街角に安価な屋台が並んでいるのはそういう需要に支えられているのだろう。

ま、それはともかく、第三日目。
朝から快晴だ。この日は郊外に小旅行に行くので天気がいいのはうれしい。
前日いただいたメールの中に「朝ご飯で絶対のオススメ!」というのがあり(YAKINIQUESTのgypsyさんからであった)、それがまたいかにもうまそうなので行ってみた。善導寺駅5番出口真ん前のおんぼろビルの2階にある「阜杭豆漿」。ここの「鹹豆漿(シェンドーシャン)」という、豆乳に黒酢を入れておぼろ豆腐状になった食べ物を勧められたのだ。

行ってみると、エッというボロさではあったが、すごい行列で期待は高まる。
イートインの列(内用と外帯の二列ある)に並んだもののどうやって頼んでいいかわからない。と、カウンターに日本語メニューがおいてあることに気づき、それを見ていろいろオーダー。頼んだのは鹹豆漿と豆漿(砂糖入り豆乳)、厚焼餅(夾蛋:卵焼き入)、焦糖舐酥餅(キャラメル焼餅)、蘿蔔絲酥餅(大根切り焼餅)。これがそれぞれに絶品! いや参った。うまひょひょ。空きっ腹ということもあるとはいえなんだか妙にうまく、家族3人「うまひねぇ」と顔を見合わせつつ食べる。最後には取り合い。あんなに行列してなければ追加オーダーするんだけどな。 

大満足して食べ終わって忠孝復興駅に行き、駅前からバスに乗って九份へ。
九份(ジョウフェン)は台北からバスで1時間くらいのところにある観光地で、映画「千と千尋の神隠し」の作画の参考になったり、映画「悲情都市」の舞台にもなったところ。戦前には東洋随一の金鉱がありゴールドラッシュに賑わったらしい。閉山後は荒廃していたらしいが、最近になって観光地として甦り、細い坂道と両側の売店がずっと続く小さな街となった。京都の二年坂三年坂のアジア猥雑版といった感じ。風情と言うより売店巡り。

でもこの売店巡りがなかなかおもしろく、つまみ食いしながらずっと歩く。
途中で「阿柑姨芋圓」という芋団子かき氷を食べさせる店へ(細道の終点近くの十字路を左へ上がるとひっそりある)。たまたま入ったのだが有名店だったらしい。芋団子がもちもちしてうまい。
昼食は「九份古早丸店」という、店中この店の奥さんの写真で埋まっているキッチュな店で。魚丸というのがこの辺の名物らしい。魚のすり身を丸くしたもの。それを具にしたスープ(貢丸湯や五味総合丸湯)と魯肉飯(ルーロウファン)を食べる。魚丸自体はうまい。でもスープがいまいちだったな。ちなみにおにぎりを飯丸と表記していた店があったから丸めたものを「丸」とシンプルに言い表すようだ。

その後ちょっとお茶を、と思って入った茶館がサイコーだった。
名前は「九份茶坊」。あぁこの茶館に来るためだけにもう一度九扮へ来てもいいなと思わせる。建って百年以上という建物の雰囲気、サービス、味、景色、センス、みな素晴らしい。「千と千尋」の世界観そのままでもあるし、最先端センスの店でもある。ゆっくりお茶(東方美人)を飲み、凍頂烏龍茶梅を食べ、1階で陶器を見て、店のヒトといろいろ話し、茶器を買い、など、家族して相当楽しんだ。

最後に悲情都市のロケ現場をちょっと見て、台北へ。
帰りは瑞芳駅までバスで行き、そこから鉄道に乗って帰ってきた。瑞芳駅前で台湾の地方小都市の雰囲気に浸り、地方の鉄道の風情も味わい、なかなか満足。瑞芳駅には日本語ボランティアのご老人がいていろいろ教えてくれる。台湾のご老人は日本語教育を受けているので、こうして観光客を助けてくれる方が多い。頭が下がる。

台北に帰り着いたのが午後3時だったか。
ここで家族はバラバラに別れ、ボクは台湾式マッサージへ。ツマはお土産買いと散策、ムスメはホテルの部屋でお休み(疲れたらしい)。
台湾式マッサージは、一番有名な「豪門世家理容名店」へ行った。入り口から志村けんの写真がお出迎え。中は日本人芸能人の写真だらけ。まぁ有名店は安心だし、日本語通じるし、ホテルまでの送迎もあるので許す。120分で2000元のコース。これに足裏とかいろいろオプションをつけていくシステム。薄暗い個室で数人から束になって揉まれまくる。あぁ痛いところだらけだ。何人もから「睡眠不足ね」と指摘を受ける。早朝覚醒なもんでスイマセン。揉まれまくりフラフラになってホテルに帰り着く。

夕ご飯はB級屋台をハシゴして歩いて魯肉飯とか麺線とか刀削麺とかを食べ歩くつもりだったが、ボクがあまりにフラフラかつムスメも疲れ果てていたので、予定を変えて「ちゃんとした店に一軒行って済ます」という方針に。気分的に高級店は避け、屋台的な店を探し、有名店「好記担仔麺」へ行くことにした。店の前は大行列。この店、店頭で料理や食材を選んでから店に入るシステムゆえ、店の前が大行列の大混雑になっているのだ。名物といわれるカニおこわやカニとヘチマの料理、仏跳墻、担仔麺なんかを頼んだ。でもまぁ味は普通かな。ただ雰囲気は地元居酒屋という感じで台湾最後の夜にふさわしい賑わい。楽しかった。

ホテルに帰って即就寝。明日は午前中には宿を出て空港に向かう。
短い旅行だったが、帰ったらすぐムスメはスキー合宿だ。彼女にとってはハードな毎日。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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