劇団四季「ウィキッド」観劇

2007年7月 8日(日) 19:33:24

金曜の夜の話になるが、NYでミュージカル三昧をした森崎くんと「ウィキッド」を観た。
まだ初演から数週間。ようやくこなれてきたところであろうか。今回は浅利慶太氏の演出ではなく、ブロードウェイの「Wicked」スタッフによる作・演出。そういう意味で日本語完全移植版である。

イヤミな意味ではなくて、ブロードウェイで10本観てきたばかりのボクはどうしても目が肥えてしまっている。しかも「Wicked」も本場で観てきたばかり(そのときの感想はこちらに)。あちらとこちらを比べる気もないし、舞台芸術は「その時」のものなので比較するのはナンセンスだが、とはいえ不安は不安。あら探し的にならないようによく自分に言い聞かせて開演を待った。

冒頭から日本語への違和感に悩まされた。
これは「ウィキッド」の問題ではなくて、劇団四季の問題かな。そろそろその直訳調はやめたらどうだろう。特に語尾。日本人はそんな語尾で話さない。歌の部分じゃなくて会話の部分ね。というか、すべてが友近となだぎ武の「ディラン&キャサリン」に聞こえてしまう。ああいう訳し方は時代遅れだ(だからパロディにされて笑われるのだ)。訳がもっと現代的だったら数倍素晴らしくなっていたと思う。

それと、母音発声法(?)。
一語一語完璧に発音する。確かにすべてのセリフや歌詞が完璧に聴き取れた。でも、そこまでハッキリ聴き取れなくても、現代人は理解するし、コンテクストで想像できる。大きく口を開けて「ま・あ、あ・な・た、い・っ・た・い、ど・う・な・さ・っ・た・の?」みたいな発声がすべてに及ぶので聞いていて辛いし間延びする。なんか昭和時代にチェーホフを観ているような感じだった。マイクの性能もいいんだし、もっと普通に会話してほしかった。

と、最初から苦言になったが、このふたつが辛かった以外はとても良い舞台であった。

エルファバ役の濱田めぐみさん、サイコー。この人だけは会話も自然な発声で違和感なかったなぁ。期待した第一幕ラストの「Defying Gravity」はそうでもなかったが、第二幕の「No Good Deed」は圧巻。声量と迫力。素晴らしい。
グリンダ役の沼尾みゆきさんも熱演。特に第二幕の演技は良かった。彼女については昨日(土曜)の夜にNHK教育で特集していて、舞台裏や練習風景なども見られた。なるほどやっぱり母音で発声練習しているわ。これはどうかと思うなぁ…。日本の伝統的な発声法かもしれないけど。

観客はさすがにブロードウェイのような賑やかさはなく、大人しく観ていたし、拍手どころでも拍手しなかったりと、ちょっと寂しい感じ。でも逆にカーテンコールは凄まじく、10回くらい呼び出していた。ブロードウェイではカーテンコールって滅多になかったので逆に新鮮。役者はうれしいだろう。

終演後、森崎くんと「リストランティーノ・バルカ」で軽く。
軽く、と思ったのに、ビール、白ワイン、赤ワインとボトルが空き、あっという間に午前1時。帰ってからは昨日のさなメモに書いたとおりな展開。でも楽しかった。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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