NY観劇旅行5日目

2007年5月29日(火) 9:00:00

今日(28日)はアメリカの祝日。メモリアル・デイ。
朝8時に起きてちょっとだけ散歩。深夜にどっさりとイタリアンを食べたので腹ごなし。で、部屋に帰って靴下と下着を洗濯して、CD聴きながらしばしくつろぐ。今日を含めてあと丸3日で帰るんだなぁ。

昼ご飯はベトナム料理「Bao Noodles」。2nd Ave.の22と23の間。
ここも菅谷さんの紹介。お暇ならご一緒しません?と誘ってみたら来てくれた。ということで菅谷さんとはラスト飯。パパイヤサラダやフォーがうまい。懐かしい給食味のチキンカレーもいい。良店。なんだか胃袋がホッとした。

皆と別れてボンヤリ散歩。2番街を22丁目あたりからだらだらとチャイナタウンまで30ブロックくらいゆっくり歩く。
今日は美術館に行こうと思っていたけど、祝日で激混みしていそうなのでパス(月曜休みのところ多いし。チェルシーのギャラリーも休んでる)。フリック・コレクションでフェルメールを見ようと思ったけど明日の午前中に行くことにした。メトロポリタンやMoMAは今回はパス。なんとなく美術鑑賞という気分ではない(メトのフェルメールは見にいくかも)。

何の目的もない散歩だったので、そのまま近くの地下鉄に乗り、セントラルパークへ。芝生に寝転がって熟睡したろうと思ったのだ。が! なんやねん、この混雑! さすが祝日。死の賑わい。
諦めて久々のミッドタウン逍遥。ショッピングというよりひたすら散歩。「Barnes & Noble」にも数店入った。娘が「リサとガスパール」のキャラが好きなので、英語で書かれた絵本があったら買ってお土産にしようと思ったのだ(英語の勉強にもいいし)。でも置いてない。もともとフランスの絵本だからなぁ。アメリカでは受けが悪いのかも。

いい加減4時間くらい彷徨っているので、疲れて一度部屋に帰る。で、ひと休みしたあと、今晩の食事は23時からなので、それまでのつなぎに軽く鮨を食べに行く。こういう時のつなぎにファストフードの鮨は便利。胃も癒されるし。

行ったのはトライベッカの「Upstairs」。
ブーレーの本店の横にブーレー・ベーカリー&マーケットというのがあって、文字通りその2階にある、ブーレーが出したカジュアルなダイニングである。フレンチ・アメリカンを出すオープンキッチンと鮨カウンターが両立している珍しい作り。小さい店。まだ出来て2年くらいかな。話題の店でもある。平日は大行列だとか。

で、その鮨カウンターに座って短時間で数貫食べたのだった。鮨以外にもうひとつ目的があって、NY行き前にメールをくださったAさんに、この店で働いている山田さんという職人さんの話を聞いたのだ。その方にお会いしてみたいと思ったわけ。で、カウンターで聞いてみたら、目の前に立っている若い職人さんがまさにその方だった。Aさんからボクのことも聞いていてくださったようで、お互いニコニコと。もうちょっとゆっくりお話したかったが、観劇の時間が迫っているのでサササと数貫。酢飯がしっかりした鮨。胃が喜ぶ。どうやらブーレーは和食店を計画しているらしく、そっちでのご活躍も期待。

タイムズ・スクエアまで戻って「オペラ座の怪人」観劇。
四季で2回(市村ファントムと山口ファントム)、NYで1回見てるから、都合4回目。今回観る予定ではなかったが、あまりにHoward Mcgillinのファントムの評判がスゴイし、オペラ座オタクの森崎夫妻もベタ褒めするので。

で、感想はと言うと…。

ひと言。「何これ?」でした。
ええと、後ろに(驚)をつけないと。つまり、「何これ?(驚)」

参った。痺れた。泣いた。ここまで凄いとは思わなんだ。
4回目にして、ハワード・マクギリンのファントムを観て、初めてようやくファントムの本当の気持ちが理解できた感じ。弱さと繊細さをここまで表現したファントムはいなかった。怪人の狂気を表現したファントムはいたが、クリスティンへの愛のカタチと孤独の寂しさとマスクの嘆きがイマイチ伝わってこなかった。でも、マクギリンのファントムはもろもろの弱さとその反動の狂気が演技でも歌でも完璧に表現されていて、一幕のラストの屋上の場面とかですでに泣けたし、二幕のラストなんか会場中すすり泣きの嵐。あの圧倒的な演技力と声と歌。あぁ、これこそ真のファントムだ…。こんな演技だとラストの「仮面がライトの中に浮かび上がるシーン」の重要性まで違ってくる。マスクの裏に隠された嘆きの象徴として機能する。なるほど…。

2階席の隅でこれだけ圧倒されたのだから、1階席の前の方だったら死んだかも。ちなみにこの劇場、二階席が前にせり出している分、1階席の奥だと屋根裏を走るファントムの演技とか像に乗った迫真の演技とか例のシャンデリア落ちとかが見えない。これから買われる方は1階席の真中より前か2階席をお勧めします。

終演後(22時半)、ちょっと呆然としながら地下鉄に乗ってミート・パッキングの南にある「Spotted Pig」へ夜飯に。

なんつうか本当にさりげない普通のパブなんだけど、なぜか2007年NYミシュランでひとつ星がついた店。ミシュランってパブにひとつ星なんてつけないよね。そういう意味で興味がものすごくあった店なんだけど、サービスも雰囲気も内装も居酒屋的で普通。若者は立ち飲みしているし。いやまぁ料理はとてもおいしいんだけど、ひとつ星をつけるほどかなぁ。ただ、ちょっと気楽に飲みたくて、しかもおいしい料理にありつきたい時はオススメかも。アフター・シアターに利用するのならとてもいい。

ご一緒したのは、過去に何十回と撮影でお世話になっているZAZOUというプロダクションの岡田さんと里見さん。そして森崎さん。いや〜お久しぶりです〜と握手しつつ、「あれ、でも新宿でばったり会ったよね? あなたも新橋でばったり会ったよね?」とか。そう、おふたりともNY在住なのに東京で偶然ばったり会ったことがあるのだ。縁があるのかも。

岡田さんから嬉しいサプライズがあったりしながら(ありがとう!)、ぎゃーぎゃー話す。なんかこのおふたり相手だと開放されてしまう。あの頃いくたびともなく地獄の撮影とかを一緒に乗り切っている分、戦友に久しぶりに会った、みたいな気分になるのかも。

明日仕事で早い岡田さんが帰って、里見さんと森崎さんと3人でロウアー・イーストサイドの「'inoteca」というワインバーへ。「Spotted Pig」も「'inoteca」も普段は大行列な店らしいけど、祝日のド深夜はさすがにすいている。赤のスパーリングなど空けつつ、くっだらない話をえんえんと。楽しい。

ふと気がつくと28時近く。急いで帰って就寝。
あぁ明日の午前中にフェルメール見に行こうと思ったけど無理かも。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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