ポルトガル旅行2日目 〜リスボン、オビドスに惚れる

2007年3月25日(日) 6:08:17

快晴。温暖。最高気温18℃最低気温9℃。

夜中に電話すると家族が起きるから、朝を待ってまたいくつか電話し、大トラブルが小トラブルになったことを確認。ホッとしつつ二度寝(?)も諦めて、起きてきた家族とともに朝7時からバイシャ地区を散歩。ふたりともよく寝れたらしく時差ボケは多少マシみたい。西へのフライトはわりとマシだったことを思い出す。ボクはといえば、今日ずっと起きてるとなると48時間ほとんど寝てないことになる。持つかな。いや、運転もあるし、持たせないと。

さて。出だしの1時間早朝リスボン散歩で、家族はいっぺんにリスボンが好きになってしまった。

こんなに「自然体で歴史的な街」って初めてかも。
いや「自然体で歴史的な国」かな。ポルトガル全体に共通していそうだ。とにかく素朴に謙虚に、歴史が日常に密着しており、厚かましくもわざとらしくもない。イタリアもフランスもドイツももっと観光的だし自慢的だし実際すごいのだけど、ポルトガルは自慢臭や奢りをほとんど感じない上に、観光なんか意識すらしてない感じ(実際観光客も多くないし)。かと言って卑屈ではなくプライドは奥底にちゃんとある、みたいな。このさりげない自然体さが心底気持ち良い。ロシオ広場、サント・ドミンゴ教会、コメルシオ広場。歩く分だけポルトガルを好きになっていく。

ホテルに帰って朝飯を食べたあと(パンとコーヒーだけの粗末な朝飯だった。パンはうまし)、9時30分にAVISへ。ここでレンタカーすると共に、リスボン在住の漫画家ヤマザキマリさんと待ち合わせ。

ヤマザキマリさんは、ある方を介して紹介され、今日が初対面なのだが、リスボン訪問前にメールで何度もやりとりしたりブログを見たりしているうちになんだか妙に親しい感じになり、全く初対面という感じがしなかった。
リスボンにいながら雑誌「KISS」(「のだめ」とか連載してる漫画雑誌ね)とかに連載を持っていて、「モーレツ!イタリア家族」という本も出している。その本を読んでから行ったのだが、なんつうか波乱万丈の人生なのだ。
中2でヨーロッパ一人旅したり、そこで知りあったイタリア人の元へホームステイしたり、その家族の中の激年下(マリさん言)のベッピーノ(もちろんイタリア人)と結婚したり、エジプトやシリアに住んだり、モーレツなイタリア人家族と嫁として同居したり…。で、いまはベッピーノの仕事の関係でリスボンに住んでいる。お子さんはうちと同じく12歳。

こんな風に書くと猛女(?)みたいだが、実は常識的かつ気遣いの人。話は面白いし、体験談とか異様だし、なんとも素晴らしい方である。
しかも、旅の案内人として、ボクらのツボをすぐ見抜き、ホント素晴らしい半日を過ごさせてもらった。たった半日で、我が家族を「ポルトガル大大大好き」にさせ、娘のリスボン留学を真剣に検討させ、リスボンに日本家庭料理店でも開いて喰っていくのは可能かという試算までさせた(店なんてやりたくないが、他に喰って行く手段がなさそうなので)。ううむ。

ま、とにかく素晴らしい半日だった。ホント、リスボンに住もうかと思ったよ。

朝9時30分に出会ってから、15時30分くらいに別れるまでをザッと書いてみると、まず、レンタカーを借りてから、ベッピーノが運転するLANCHAで先導してくれ、リスボンを見渡す丘の上で軽く景色を眺めたあと市場へ。ここでレンタカーを駐車場に入れ、あとはマリさんの案内で手ぶらで街にくりだした。
ちなみに「ポルトガルって車上荒らしとか大丈夫?」と聞いたら「治安はヨーロッパ1いいと言われているし、車上荒らしもまず大丈夫。田舎に行ったらもっと全然大丈夫」とのこと。

で、市場。どんな街に行っても、市場があるならまずはそこへ、が佐藤家の習慣。
驚いたのは魚も肉も野菜も果物もとても日本と似てること。食材の共通点が多い。「こりゃ住めるな」と思った。マリさん曰く、在住邦人はポルトガル全土で300人くらいしかいないのではないか、とのことだが、ラテン系のくせにわりとストイックなとこが日本人と気質が似てるし、東洋人差別もないらしいし、気候はいいし(欧州一晴天が多いとか)、古いものを大切にする心もいいし、適度に素朴でがさつだし、そのうえ食材が一緒となれば、こりゃ住める。

市場で現地のチーズとうまそうなサラミとクッキーを買って、近くの公園でちょっと齧る。
公園はカードゲームをするおじさんたちがいっぱいいて、なにやら老人ホーム状態。貧しいながらもみんなが人生を楽しんでいるのが伝わってくる。印象的なひととき。

「さとなおさん、体力大丈夫? じゃあ路面電車に乗って少しリスボンらしいところを歩きましょう」

お次は路面電車で市内見物へゴー。
いかにもリスボン的な「細い坂道を家の壁ギリギリで通り過ぎる路面電車」を実地体験。木造の趣深い路面電車がいかに市民に根ざしているか、乗ってみていろいろわかる。で、途中で降りて、絵はがきポイントを少し見たあと、響子が偶然見つけた1787年からやってるロウソク屋でイースターエッグの素敵なロウソクを買い、たまたま通りがかったお洒落な雑貨系セレクトショップでも買い物をしたあと、今度は近代的な路面電車に乗って海岸沿いのBelemという町へ。

中心部から電車でほんの15分ほど出ただけなのに、やけにリゾートっぽいところ。美しい。
世界遺産のジェロニモス修道院、ピンクの壁の大統領官邸やエッグタルト発祥の店とも言われる「パステイス・デ・ベレン」を横目で見ながらマリさんが「激安激うまの魚屋」と呼んでる店へ行き、ランチ。

「Floresta de Belem」(Praca Afonso Albuerque,N1A1300-004 Lisboa/21-363-63-07)。美しい公園前にあるトラディショナルなポルトガル料理(特に魚)を食べさせるレストラン。ポルトガルに美味な料理は多々あれど、その中でも特にシンプルな魚の塩焼きみたいのが食べたかったんだよなー。

外のテラスで強めの日差しを浴びながらゆっくり食べる。
小アジのフライ、アジのグリル(辛みソース)、イカのグリル、野菜スープ、セミフリートなどのデザート&コーヒー。量も充分。付け合わせがリゾットだったりするし、お通しもパンも沢山出てくる。ボク以外の大人はワインとかも飲んで、全部で40ユーロ。6500円くらい。子供含めてひとり1600円か。確かに激安いし味的満足度も高いなぁ。なにより娘が「ポルトガル料理っておいしい!」と喜んで食べている。日本の家庭料理を素朴にして味を濃くした感じだから、子供には特においしく感じるのだろう。

ボクは、昨晩・今朝とロクなものを食べてなかったせいか、食事したら急に元気が出てきた。そうかメシが足りなかったのだな。いまからの運転もこれならクリアできそうだ。

さて、そろそろリスボンを出て今日の宿泊地オビドスへ向かわなければいけない。
ベッピーノの車で駐車場まで行き、レンタカーに乗り換え、先導してもらってリスボン市内を出る。わかりやすい道のところまで連れて行ってもらい、そこでマリさんとベッピーノと別れた。たった6時間弱なのに、なんだか1ヶ月くらい一緒にいた気分。しかも「リスボンに住みたくなった」ほど好きにさせる技。ありがとう。また29日に会えるね、と話しつつ別れる。マリさん、ホント、オブリガード。


さて、レンタカーでオビドスへ。
慣れない右車線に緊張しつつ、ポルトガルの田舎の景色を堪能する。

オビドスは古い城塞都市。中世がそのまま残っている街として愛されている。城壁で町中が囲まれているのだが、中をくまなく歩いたとしても1時間ちょいですべての路地が歩けちゃうくらいな規模の可愛らしい街である。

今回の旅は「ポウサーダ」に泊まる旅でもある。
これはスペインで行ったら「パラドール」。中世の城や修道院、貴族の館などを現代に蘇らせた国営ホテルだ。ちょっと贅沢だが今回は4つ泊まり歩く。今日泊まるのは予約が取りづらくて有名な「カステロ・ド・オビドス」。オビドスの城。リスボンから北に1時間ちょい高速で走ったところにある。

まぁなんつうか、リスボンで「ポルトガル大好き! イタリアよりフランスより好きかも!」となっていたボクたちだが(ちなみにヤマザキマリさんも「イタリアも住んだし好きだけど、ポルトガルの方がもう何倍も好き!」と強く言っていた)、オビドスでまたポルトガル好意度大アップしてしまった。ワンアップきのこがピロ〜ン♪って感じ。実にかわいらしく美しい。それでいて仏伊にあるような「どうだどうだ!」みたいな歴史文化自慢的厚かましさがまるでなく、とっても謙虚で素朴。肩の力も抜けきっている。

箱庭系の街が好きな娘はもう夢見心地で、いろんなところをデジカメにおさめている。

今回、娘とふたりで盛り上がっているのは(妻はチーズでしか盛り上がらないので)、「写真」。
今度上がる中学で写真部に入ろうか、という勢いの娘は、この旅行で「自分が面白いと思ったもの、美しいと思ったものを撮る」ということに目覚め、絵はがき的な景色よりも、道端の消火栓とかゴミ箱とか小さな花とか壁の模様とかにぐっと寄って撮っている。
同じ物体でもボクと彼女ではトリミングや狙いが違うところを見せてあげると悔しがってもっと撮る。んでもって小さなデジカメの限界を初めて知り、一眼レフだとどう映るのか、とか聞いてくる。いい兆候だなぁ。気がつけばひとりずっと遠くで小花を撮っていたりして一瞬焦るが、とにかく治安は良さそうなので目の隅で確認しつつ自由に行動させることにした。

美しいオビドスの夕暮れを十二分に楽しんだあと、ホテルに帰って一休み。
このポウサーダの部屋は抜群に良かった。すごい広いというわけではないが、古くて親密で謙虚で清潔。まぁ中世の古城ですからね。雰囲気が悪いわけがない。オビドスの街とともに長く記憶に残りそうである。

というか、48時間近くほとんど寝ていないのだが、リスボン散歩、運転、オビドス散歩、と普通にこなせた自分に驚く。若い頃に数多くやった徹夜仕事で徹夜が慣れてるということもあるが、今回は調子いいぞ。

でも、ポウサーダのレストランでDaoの赤ワインと本格的ディナーを楽しんだらさすがに糸が切れ、そのまま深い眠りに。
あ、レストランはベーシックな味だったけど「Rice black Sausage Fried in Olive Oil」と「Roasted Kid with Giblets Rice country Herbes」が良かった。後者は仔ヤギ肉のローストなんだけど、香り立ち方がほんのりめで、肉のうま味が充分に出ていて、とてもうまかった。ちょっと高めだけど満足。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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