ボリショイ・バレエ「ファラオの娘」

2006年5月13日(土) 9:54:21

昨晩はボリショイ・バレエ「ファラオの娘」観劇。
この演目、ボリショイのパリのオペラ座(ガルニエ)公演ですでに2回観ており、わりとおなじみ(日本では初演)。しかもそのうち1回は舞台袖という幸せな体験。ザハロワがボクの前1mで待機して舞台に出ていく(!)。そういう思い出深い演目でもある。

が、実はあまり「ファラオの娘」は好きではない。どうしても子供だましっぽい印象を持ってしまう。衣装は素晴らしいし群舞も計算されていてホゥとため息が出るほど美しいのだが、熱いものが全く伝わってこないのだ。
昨晩もそう。「ラ・バヤデール」のときあれだけ輝いたアレクサンドロワもなんかノリ切っていない。フィーリンもどうにも中途半端(もともといっぱいいっぱいの人だと思っているのだけど)。「ラ・バヤデール」の熱い舞台を観た後だとどうしても見劣りしてしまう。グラチョーワ効果とかもあったのだろうけど、やっぱり演目そのものの魅力だろうなぁ。ボクには合わないようだ。

岩田守弘さんは猿の役。パリの時も猿だった。特に見せどころもない役で、彼も日本公演で猿をやることを嫌がっていたが、昨晩は足首の捻挫の痛みが酷かったらしいので半分ホッとしていた模様。ジャンプのある役はとても無理だったようなので。 でもこの猿、振り付けをもっと派手にしたらわりと面白い役なのになぁといつも惜しく思う。

主要キャストは
ファラオの娘:マリーヤ・アレクサンドロワ
ウィルソン卿:セルゲイ・フィーリン
ジョン・ブル:デニス・メドヴェージェフ(良い!)
ラムゼ   :アナスタシア・ヤツェンコ
漁師の妻にエカテリーナ・シプリナ。猿が岩田守弘。黒人奴隷がアレクサンドル・ペトゥホフ(好き)。

まぁ舞台はともかく、面白かったのは客席のケンカ(笑)。
第二幕と三幕の幕間で「あなた、ぺちゃくちゃと私語がうるさすぎます!」「あら、あなただってブラボー言い過ぎですよ!」と女性同士のケンカが始まったのだ。私語はボクの席までは届いてこなかったが、彼女のブラボーはそれはもう耳障りなほど(ボクのすぐ後ろの席だった)。とにかくどんな演技でもブラボーを発する。それも舞台まではとても届かないであろう中途半端な大声で。これが耳障り。応援のつもりなのだろうけど拍手のタイミングで100%ブラボーするのはいかがなものか。
ちゅうか、日本人にブラボーは似合わない。どうしても借り物感が漂う。似合うとしたらギリギリ「ブラボーという叫び」だ。感動を演者に伝えるための記号として要所で叫ぶなら分かる。が、中途半端な大きさで毎回ブラボーを言うくらいだったら「素晴らし〜」とか日本語で感嘆した方がまだ自然。

あげくケンカの後でブラボー女は「パリオペに比べてボリショイを見に来る客は客層が悪い」とか隣の友人にぶつくさ文句を言いだした。あのなー…。つか、客層を云々するならそのファッションをなんとかしろ。ものすごくセンスの悪い普段着で来るなよと私は言いたい。女版アキバ系。あ、そうか、ブラボーはアキバで言う「萌え〜」なのか。

終演後、楽屋口前で岩田さんとハグ。夏での再開を約束して別れる。ロシアという東洋人が生きにくいアウェイで孤独にがんばっている彼を見るとなんか涙ぐんでしまう。

ちなみに岩田さん曰く「ボリショイのみんなは本当に日本が好き。海外公演で一番人気があるのは日本。み〜んな行きたがる。理由はたぶん買い物」だそうです(笑)。とりあえずモノの豊富さからでも日本を好きになってくれるのは、嫌われるよりはずっといいな。

p.s.
水下痢はなんとか持ちました。心配(からかい)メールをありがとう。ちなみに昨日のさなメモを読み直してみたら時制が変だったのでちょっと修正。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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