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笹巻けぬきすし総本店
東京都神田小川町2-12
03-3291-2570
9〜18.30(土〜17)※売り切れじまいあり
日祝休
鮨。
ささまきけぬきすし。たぶん東京最古。
小さな店である。小さな店ではあるが、店頭に「江戸名物」の暖簾が掛かる大老舗でもある。なにしろ創業が元禄15年(1702年)なのである。
元禄15年と言ったらお兄さん、「時は元禄15年、小雪降り敷く師走も半ば」という口上の通り、まさに赤穂浪士討ち入りの年ではないですか。あの伝説の忠臣蔵があったその年に開業して以来、今に至るまで303年間ず〜っとやっているのですぞ。現在13代目…そんな鮨屋、ボクの知る限り他にはない。たぶん東京最古の鮨屋なのである。
初めての人はまず店名に驚く。
なんだ? 「笹巻けぬき」って?
これにはちゃんと由来がある。
まず「笹巻」。これは戦国時代、飯を笹で巻いた携帯食を兵糧として戦陣で食べていたというところから来ているらしい。当然冷蔵庫などない時代な上に携帯食。痛みやすいから酢と塩を多量に使って保存をよくする。つまり鮨にしたわけだ。それが「笹巻鮨」の由来であろう。
そして、元禄15年、そのころの旗本や松平候をはじめとした諸侯が来店した折に、魚の小骨を毛抜きで抜いて作っているのを面白がって「毛抜鮨」と呼んだらしい。
そう、当時は笹巻鮨とも毛抜鮨とも呼ばれていて、それが合わさって「笹巻けぬきすし」となったわけですね。
当時は安宅の「松の鮨」、両国の「与兵衛」とともに江戸三鮨と称せられていたという。
暖簾の「江戸名物」とはそういう意味だ。で、現存するのはこの店のみ。以来303年間、元々の味を守り続けているというのである。
さて江戸名物をこの舌で食べてやろう、と、暖簾をくぐるわけだが、実はこの店、鮨屋というより鮨売店に近い店構え。
古い引き戸をガララと開けて入ると正面にこぢんまりした売り場がある。そこで鮨を買ってお持ち帰りするのがこの店の基本的な使い方なのである。元々携帯食から始まっているし持ち帰りに適しているということだな。
聞いたら「このお鮨は夏でも長時間保存に耐えるように酢と塩を多めに使ってます。作ってから3時間くらい経ったころが笹の香りと酢と塩が馴染んで食べ頃になりますよ」と教えてくれた。
でも大丈夫。この店「3時間待っている暇はない」という人(我々ね)のために、売り場の左手にテーブルをふたつほど設え、茶店みたいな雰囲気でその場で食べて帰れるようにもなっている。ここを利用して食べるわけ。
1人前を頼むと、笹で巻かれた鮨が7つ出てくる。
それぞれ今の握り鮨と同じくらいの大きさ。笹を剥いていくと、酢飯とタネが見えてくる。つまり巻き鮨のように酢飯の中央にタネを置いて巻いているのではなく、握り鮨のように酢飯の上にタネを置いた上から笹を巻いているのである。なるほど、江戸前握りの原型かもしれない。
タネは基本的に「白身」、「光り物」、「海老」、「おぼろ」、「たまご」それに「かんぴょう」がふたつ。わさびもしょうゆもつけず、そのままいただく。冷蔵庫がなかった時代に比べると相当酢と塩を少なくしたということだが、それでもまだかなり酢と塩が利いている。でも笹と魚と酢の香りが一体化していておもしろい。まぁ現代の進化した鮨の旨さには叶うべくもないが、これはこれ。
確かに3時間くらい経って馴染んだ方がうまいかもしれないが、店内で作りたてを食べても充分元禄の味を偲べる。笹巻けぬきすしが7つと潮汁がついて1650円。ちなみに日によってもう一品サービスでつくこともある。ボクの時はカンパチのカシラがサービスで出た。ラッキー。
どう? 元禄そのままの味、食べてみたくない?
忠臣蔵の世を思いながら食べる鮨。なかなかに乙な物である。
ちなみに朝9時からやっているので、朝一に買って、3時間ほど馴染ませてから昼にオフィスで食べる、というのも相当粋な勤め人である。試されてはいかがだろうか。
05年7月訪問。
2006年08月04日(金) 19:39:33・リンク用URL
@satonao310