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北島亭
東京都新宿区三栄町7
03-3355-6667
11.30〜13.30/18〜20/第1第3月・日休
夜コース:8400〜15750円/昼コース5250〜10500円
フレンチ。
いろんなガイドでこのレストランの評価は高い。だからたぶんこれを読んだ読者の方も期待に胸ふくらませてこの店を訪れることと思う。
で、きっとちょっとガッカリする。エントランスは中華みたいだし、店に入っても誰も気がついてくれなかったりするし、席はどこでもどうぞとか言われるし、店内は整理が出来ておらず無造作に箱とか置かれているし、壁のヨゴレは目立つし……どう考えても洋食店以下のレベルだ。ひとりで奮闘するマダムのサービスも、こちらの質問に「うん、うん」とタメ口っぽく応えるし、こちらが何かして欲しいときに限っていなくなる。うーむ、いったいどうしてこの店が高得点になるのだ? がっかりじゃないか。
わかる。すごくわかる。でも、そんな疑問符いっぱいの北島亭体験も、実は料理が出てくるまでのこと。料理が出てくるといきなり天国に変わるのだ。
ボクはこのレストランは5回ほど行っているが、毎回料理だけは完璧の出来。ごっつうまい。思わず「うまい!」と声が漏れてしまうフランス料理店が東京にいくつあるだろう。それもアミューズからメインまで容赦なくうまいのだ。そして量がすごい。本場フランスもかくありなんという感じ。ドカンッとお皿一杯に出てくる。特にアラカルト。子羊のローストなんてジャイアント馬場のコブシくらいな大きさだ。そこらの店ならこれで3人分作るぞといった感じの量である。「料理は芸術である前にまずたっぷりとした食事であるべきだ」というシェフの主張をそこここに感じる。そしてとても共感する。
北島シェフはナタで割ったような豪快で小細工のない料理を作る。
きれいで女性的で線の細い料理ばかりがはびこる中、実に明解なるインパクトを客に与えてくれる。骨太で力強い。ポイントが絞れているから味の印象が非常に強くなる。素材の味を充分にいかして必要以上に手を加えない。
この店のもうひとつの魅力はマダムによるそのサービスだ。
シェフの料理を「大声の主張」とするならマダムのサービスは「遠慮と含羞」。実に恥ずかしげにサーブしてくれるのだがそれが新鮮。若手ソムリエが訳知り顔でサーブする店とは別次元の寛げるサービスを提供してくれる。
そして近年、どうやら「私は手が回る分だけしっかりやることに決めたの」という感じに吹っ切れたみたいだ。もちろん大車輪の活躍なのだが、以前より超然さが加わった気がする。「気がつかなくてすいません」というような態度がなく、それを客も許してしまう。お人柄、ということかもしれない。
ある日、となりは接待族であった。10人くらいの団体さんでワイワイとうるさかったのだが、料理が出ると5分ほど誰もしゃべらなくなる。カニを喰っている時と同じ状態。そう、しゃべれないのだ。それくらい料理はうまい。これほど料理だけが突出したレストランというのも珍しい。欠点はいろいろあるが、料理だけで記念日に値する、そんな店なのである。
98年1月初訪問。再訪4回。
2006年06月25日(日) 21:41:30・リンク用URL
@satonao310