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「デッドエンドの思い出」

amazon書き下ろし短編集。
しみじみせつなくなりたいときにうってつけの本かもしれない。砂糖菓子のように甘い物語たちだし、いい人しか出てこないし、「なんだかなー」と思う部分もある。特に男性キャラたちがいい人すぎるのもなんだかなー(ま、いつものことだけど)。でも、どうしてもこの魅力にはあらがえない。そんな感じ。あ、正確に言うと登場人物たちはかなり辛い目にあったりするのだけど、不思議に静謐で幸せな読後感が待っている。これもいつものことだけど。
「幽霊の家」「おかあさーん!」「あったくなんかない」「ともちゃんの幸せ」「デッドエンドの思い出」の5編収録。どれも印象深い。帯で著者が「これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好きです。これが書けたので、小説家になってよかったと思いました」と書いているのは表題作「デッドエンドの思い出」。甘々なこの作品を一番好きと正面切って言われるとちょっと鼻白むが、いかにも「よしもとばなな」であることは確か。ボクも思わず何度か読み返し、昔の失恋とか思いだし、涙にくれたりしたりした(笑)。そういうチカラは確かにある作品。泣けるししみじみ感に浸れるこの感じはマジで捨てがたい。
さてこの本は目次の横に「藤子・F・不二雄先生に捧ぐ」と書いてある。
そして短編「デッドエンドの思い出」の中で語られるドラえもんの時計の写真がその言葉の横にカラーで載っている。短編の中で主人公は、その時計に描かれているのび太とドラえもんの姿(のび太の部屋で寝ころんで漫画を読んでいる)こそ幸せの姿なのだと言っている。実はこの短編集にとってこの時計のエピソードの意味は実に重いのではないかと思う。あ、そういうことが言いたかったのね、と氷解する部分がいろいろある。一種中原中也的な手触りが読後に残るのはそういうことなのだな。ふむふむ。←ひとりで納得。
2003年09月01日(月) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(日本)
@satonao310