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「体は全部知っている」

amazon吉本ばななの本は初期作はすべて読んだけど「アムリタ」あたりからどうにもイマイチで読まなくなっていた。でもなんとなく久しぶりに手に取ったら見事に復活しているではないか。
この短編集は著者の感性と技術がバランスよく一致した傑作かと思う(一時期「感性」的なものに偏っていてバランス悪かった気がする)。人生をスライスするナイフの鋭利さ。それに空気感を与えるポンプの精巧さ。そしてなによりそれらを貫く背骨の太さ…。読み始めはちょっと物足りなく「あぁまた感性主導型ばななワールドか」と思わせたが、途中から背骨の太さ・一貫さに気付かされ、最小限に絞った言葉の的確さにも驚かされ、やっぱり希有な作家であると再認識させられたのである。
題名は一見各短編に関係ないようであるが、実は大きなテーマをそこに主張している。
この言葉が各短編を結ぶベルトであり鍵であり鍵穴でもある。頭でっかちな「理解」とは別次元にある生理的な「実感」。それを物語周辺の空気感で表現し、読者に体感させてくれる手腕の見事さ。遺物に触れぬよう注意深く周りから掘っていく遺跡発掘のような手並みである。もちろん味付けは現代風なんだけど。
お茶でも飲みながらゆっくり味わって欲しい短編集。おすすめ。
2001年02月01日(木) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(日本)
@satonao310