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LV3「クライマーズ・ハイ」

横山秀夫著/文春文庫/660円

クライマーズ・ハイ
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1985年の日航機墜落事故を舞台にした長編小説。

御巣鷹山に飛行機が落ち、地元紙「北関東新聞」の遊軍記者として半ば干されていた主人公が全権デスクに任命される。一方、その日一緒に衝立岩を登るはずだった同僚は意識不明の重体となり病院に運ばれる。このふたつの事件が同時進行系で語られ、そこに父と子の確執、組織内のくだらない縄張り意識、友情、出世争い、報道の意味、被害者の想いなどが濃く濃く絡んでくる。この濃さが逆に鼻につく人もいるかもしれない。人間模様ありすぎではある。しかも相当オーバーである。でも未曾有の大事故を題材にしているだけにこれは仕方ないのかもしれない。よくぞこれだけの要素をまとめきったと賞賛すべきだろう。

ただ、率直に言って、墜落事故前後の臨場感が凄まじい分(この辺の描写は本当にスゴイ)、他の要素を邪魔に感じたのは事実。特に登山のエピソード。タイトルにも関連する最重要エピソードであり小説の骨そのものなのだが、それが柔く甘ったるく感じられてしまうのが小説構成上ちょっと弱いかもしれない。そのエピソードが主人公である悠木への共感につながるのであればまだしも、どうもそこまで行かないもどかしさがボクの中にあった。

人間ドラマ、は、人間を濃く濃く描けばいいというものでもない。ヘミングウェイのように事実展開だけを追っていっても描ける。そういう意味において、多少この本はToo Muchすぎる。でもそれがこの著者の「味」と言えば「味」なのだろう。絶賛する人が多いのも頷ける。

2006年09月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

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