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「ブエノスアイレス午前零時」

amazon芥川賞受賞作。
あまり期待せずに読んだのだが、歯の浮かないハードボイルド調で始まり、イマジネーションとリアリティを上手に紡いで展開していく様はなかなか見事。映像で言うならインサート画像の入り方が長さ・タイミングともにとても効果的で、作品を締めているのだ。
表題作「ブエノスアイレス午前零時」のリリシズムも好きだが、もう一編の「屋上」もとてもいい。
結末の付け方がちょっと陳腐な感じがしたが、読んでいて脳裏に広がるリアリティが生半可ではない。説明描写は最低限なのに、きっちりそこに場を展開させる筆力はさすがである。敢えて言えば、会話がいまいち。それともうちょっと長ければ、と思う。また、アルゼンチンの空気感がもう少し出ていればカタルシスが余計に感じられたと思う。
1999年06月01日(火) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(日本)
@satonao310