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LV4「片想い」

東野圭吾著/文藝春秋/1714円

片想い
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久しぶりの東野圭吾である。傑作「白夜行」以来かな。別に他意はなく、この本も前から気になっていた。

こういう隠された過去的なものを書かせるとさすがにうまいね、東野圭吾。
特に女性、そして中性(?)の描写が今回は実にうまかった気がする。どうもボクは東野と真保裕一を比べてしまう癖があるのだが、真保のに出てくる女性は読んでいて照れてしまうが東野の女性は体臭まで感じられるくらいリアル。そしてその造形力・描写力こそ、この作品ではkeyとなっている。男と女、そしてその間に来る存在を、きちんと描き分けられないと、この物語は成立すらしない。上辺的な薄っぺらい描写をすること自体がテーマを裏切るので、著者はそこを注意深く描き、リアリティを紡ぎ出している。

著者が男性なこともあろう、逆に「男」の描き方がステロタイプになってしまった気がする。一番理解できると思いこんでいる存在だからかな。それが少し残念なのと、主人公である哲朗のお節介さが中盤鼻につく。何の意味があって引っかき回しているのか全く理解できないのだ。著者としては「男性的」熱い友情っぽさの象徴としてオーバーに書いたのかもしれない。でも読んでいてイライラはする。そういう誇張が、著者が女性や男女の中間的存在の人々に対して見せた繊細さに比べて、あまりに無神経に見える。男性著者だからこその、男性をよく分かっているという油断が、ここをはじめとしてわりと感じられる。

ストーリーの収め方もちょっと納得は行かない。ミステリーとして、どうなのだろう。でも、個人的にはこの本で、男性と女性の中間的な存在に対する心情的な想像力を開かされた思いである。実に細やかにその辺の心情に寄り添って描いてくれてアリガトウ。そんな感じ。
なお、劇中劇(?)的に出てくる「サンタのおばさん」は絵本になっているらしい。取り寄せ中である。

2002年03月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

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