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「Hiromix works」

amazon帯に「HIROMIX's the best selection for 5 years!」とある。
1995年から1999年までの彼女の写真の中で特にポートレートを中心に集めた写真集である。
ブランキー・ジェット・シティ、ハイロウズ、奥田民生、CHARA、草野マサムネ、小沢健二、及川光博、篠原ともえ、田中麗奈、伊勢谷友介、浅野忠信、武田真治、マリリン・マンソン、などなどなど。被写体は多岐に渡る。特に初期の作品でのポートレートが面白い。HIROMIXに対して被写体が少し違和感を感じている様が感じられる。違和感というか戸惑いかな。なんとなくそんな空気が写っている気がする。
キレイな場所ではなく、どちらかというとシャビーな場所での撮影が良かった。
最終ページ(セルフポートレートの前)に「dedicated to Takashi Homma Nobuyoshi Araki」と書いてあって、なるほどな、と思った。個人的にはHIROMIXの場合、ポートレートより風景や街の切り取り方の方が好き。
2007年03月15日(木) 19:12:07・リンク用URL
ジャンル:写真集・イラスト集
「容疑者Xの献身」

amazon直木賞受賞作である。著者には出来れば「白夜行」で直木賞を取って欲しかったな。この本は、よくできてはいるが、代表作になるにはちょっと足りないという印象。他にもっといい本をいっぱい書いている。
巷でも言われていることだが、容疑者Xの「献身」の動機がやはり弱いのが最後まで気になった。いっそのこと「救済&恋」ではなく「刑務所で誰にも邪魔されず数式と向き合いたい」という動機の方が共感できたのではないかとすら思った。もしくは、その動機に至る容疑者Xの心理描写をもう数ページ深く書き込んで欲しいと思った。
ミステリーとしてはなかなかよく出来ていて、ストーリーの追い込み方も見事なだけに、根本の動機に共感がもてないというのが最後まで惜しい。「最終的に露見してほしい愛の発露」という持てない男の心理まで踏み込んでこういうストーリーにしたのかともちょっと思ったが、そうであるとしてももう少し容疑者の周辺描写が欲しいところ。なんとなく不完全燃焼感が残った読後だった。
2006年09月01日(金) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:ミステリー
「環境危機をあおってはいけない〜地球環境のホントの実態」

amazon出る前からわりと鳴り物入りではあったが、出てすぐ読んでみて「おお!」と感嘆。4500円(たかっ!)払う価値があった。
というか、6月に「ダイオキシン〜神話の終焉」を読んで以来、情報が一方的な論説をまず疑ってかかるように癖をつけてはいるのだが、まさか環境問題までがこうもスキャンダラスな操作にさらされていたとは知らなかった。あーあ。世の中、結局自分で調べないと真実などわからないのね。いまから統計学者でも目指すかなー。
とにかく、いたずらな環境危機論を千蹴してあまりある。ブッシュやブレアが根拠の薄いデータに頼って都合のいい論&戦争を展開したように、環境問題系論者もかな〜りご都合のいいデータの使い方をしていることが一目瞭然。ちょっと驚きである。というか、ここ数年の常識(熱帯雨林激的減少とか地球温暖化とか飢餓増大とか石油枯渇とか)はほとんど「ウソ」なのだ。驚くよね?
もちろん情報ソース(各種有名団体発表の統計)を読み込むチカラはボクにはない。だから正確にどちらが正しいと言及はできない。
とはいえ、まったく同じソースから、環境問題系論者と著者が導き出した結論がここまで違ってくることにはただただ驚くばかり。統計の怖さについてはいろんな本を読んだが、環境問題よお前もか!と思わず叫ばされる。うーむ。
もちろん、環境の危機が最大限叫ばれたからこそ、ここまで人民の意識が高まったのは確か。その役割は偉大だったが、いつまでもあおっているとそこにまた違う歪みが生じるだろう。賛否両論あるのかもしれないが、必読の問題作である。
2003年08月01日(金) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:教育・環境・福祉
「私が彼を殺した」

amazon物語の結末をわざと伏せて読者の推理にまかせる小説をリドルストーリーと呼ぶらしい。
この本はまさにそれ。なにしろ最後に「犯人はあなたです」と刑事(「嘘をもうひとつだけ」の加賀刑事登場)が言って、犯人の名前をあかさずに本は終わってしまうのだ。
なにー!?である。容疑者は3人。構成上、エピローグがない作りなので、容疑者以外の意外な人物が犯人ということはあり得ない。動機のある3人のうちの誰かが犯人なのだが、これがなかなか良くできていて難しいのである。全員「私が彼を殺した」と思っていたりする。うーむ。しかもそれぞれの容疑者の一人称で各章が書かれているという凝った構成。さすがに頭のいい作家である。キレイにできている。
さて、ボクの推理だが・・・でもここで書くとネタバレになるので書けないなぁ。
ポイントはみっつ。ケースは複数あった。ケースのすり替えがあった。すり替え可能なタイミングは数回あるが、すり替え可能な人はひとりしかいない。ってところでしょうか。ま、正解があかされていないので、たぶん、ということしか言えないのだけれども。
2002年04月01日(月) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:ミステリー
「サンタのおばさん」

amazon先月読んだ東野圭吾の「片想い」の中に出てくる逸話がそのまま本(童話)になっている。
性差別的な主題に沿った劇中劇だったので、サンタのおじさんならぬ「おばさん」なのである。テーマとしても題名としても面白いのでかなり期待したのだが、なんだか童話として昇華しきれてない印象。理屈が勝ってしまったようで惜しい感じ。悪く言えば説明的なのだ。説明もなく、エンターテイメントで引っ張ったあげくに、読み終わってから性別とは何かを深く考えさせてくれるような、そんな贅沢な希望を勝手に思っていたのだが…。
「片想い」の中で描かれていた劇団の劇の方がずっと面白そうであった。ちょっとがっかり。
2002年04月01日(月) 12:00:00・リンク用URL
「片想い」

amazon久しぶりの東野圭吾である。傑作「白夜行」以来かな。別に他意はなく、この本も前から気になっていた。
こういう隠された過去的なものを書かせるとさすがにうまいね、東野圭吾。
特に女性、そして中性(?)の描写が今回は実にうまかった気がする。どうもボクは東野と真保裕一を比べてしまう癖があるのだが、真保のに出てくる女性は読んでいて照れてしまうが東野の女性は体臭まで感じられるくらいリアル。そしてその造形力・描写力こそ、この作品ではkeyとなっている。男と女、そしてその間に来る存在を、きちんと描き分けられないと、この物語は成立すらしない。上辺的な薄っぺらい描写をすること自体がテーマを裏切るので、著者はそこを注意深く描き、リアリティを紡ぎ出している。
著者が男性なこともあろう、逆に「男」の描き方がステロタイプになってしまった気がする。一番理解できると思いこんでいる存在だからかな。それが少し残念なのと、主人公である哲朗のお節介さが中盤鼻につく。何の意味があって引っかき回しているのか全く理解できないのだ。著者としては「男性的」熱い友情っぽさの象徴としてオーバーに書いたのかもしれない。でも読んでいてイライラはする。そういう誇張が、著者が女性や男女の中間的存在の人々に対して見せた繊細さに比べて、あまりに無神経に見える。男性著者だからこその、男性をよく分かっているという油断が、ここをはじめとしてわりと感じられる。
ストーリーの収め方もちょっと納得は行かない。ミステリーとして、どうなのだろう。でも、個人的にはこの本で、男性と女性の中間的な存在に対する心情的な想像力を開かされた思いである。実に細やかにその辺の心情に寄り添って描いてくれてアリガトウ。そんな感じ。
なお、劇中劇(?)的に出てくる「サンタのおばさん」は絵本になっているらしい。取り寄せ中である。
2002年03月01日(金) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:ミステリー
「自転車生活の愉しみ」

amazon自転車通勤を夏以来続けているボクはもちろん著者のサイトを何度か見ている。自転車通勤の世界では有名な人である。で、この著者、TBS「ブロードキャスター」のディレクターらしいが、国会私的諮問機関である「自転車活用推進研究会」(←京都議定書に対応したもの)の唯一の民間人メンバーだったりもするのである。
だからだろう、この本には個人的自転車普及視点と公人的自転車普及視点とが混在している。まだまだ低い自転車の社会的地位を向上するためにも自転車普及的な発言は必要だし有効だ。ただ「本」としての魅力だけを考えると、スタンスがちょっとお上的な分、どうしても少し魅力が落ちてしまう。ヨーロッパの自転車生活と比較して大上段に振りかぶられた途端に、ひそやかな愉しみ的に読み進んできた気持ちが妙に萎える。たぶん、自転車仲間の目をかなり意識した主張になっているのだとは思うが(オピニオン・リーダー的に)、自転車初心者に向けての啓蒙書とすると、そこに矛盾が生まれてくる。自転車生活を愛する個人の視点で貫いてくれた方が結果的に読者に届くものが多くなった気がする。
出だしが素晴らしい。自転車の絵の描き方から始まり、「この本の目的は、一言で言うと、この絵をソラで描けるようになることにある」と続く。うーむと唸って喜々として読み進んでいったのだが、結果から言うとこの目的は中途半端に終わってしまった。もちろん得たものはいっぱいある。自転車のメンテはもちろん、ヨーロッパの自転車事情についてもモグラの目を開かれた。が、至極親密に始まった著者との自転車行の楽しみは読むに従って消え、自転車をソラで描けるようになる、という素敵な目的(自転車との恋愛の始まり)は達せられなかった。惜しい。題名も普通すぎるのが惜しい。全体に惜しいなぁと何度も感じた本である。
2002年01月01日(火) 12:00:00・リンク用URL
「動物の言い分 人間の言い分」

amazonこの手の自然科学系もしくは動物科学系の本は興味深くて好きなのだ。日常から遊離できるし想像も膨らむ。この本も導入部はなかなかに良かった。お、面白いなと思った。人間の論理から見たものではなく、動物独自の論理を追っていくように見えた。でも、なんとなく拡散していってしまうのが残念。途中から普通の「事典」風になっていってしまうのだ。
動物のコミュニケーションの仕方をわかりやすく書いてくれているのは興味深い。事実がいろいろ書いてあるのはいいのだ。でもそれだけなのが残念。事典を読みたいのではなくて、そこから導き出せる動物の言い分について、もうちょっと主観的なコメントを多く欲しかった。もう一歩こちらの想像力を刺激する部分がほしいのだ。新書ならでは、の。
学者さんがおもしろ優しくテーマを掘り下げた、にとどまっている気がする。それでいいじゃんと言われればその通り。でもボクはそこにもうひとつエンターテイメントの付加を求めたい。テーマを掘り下げるのは、もうネット内でタダで読めるような時代になってきた。売るからにはプラスワンがほしいのだ。
2001年10月01日(月) 12:00:00・リンク用URL
「ビビンバ家族」

amazon副題「それでも妻は韓国人」。
著者が韓国人の妻を持つまでそして持ったあと、のノンフィクションである。
題名が良い。購入動機はそれ。かなりの期待を持って読み始めたが、題名の勢いが本文にはなく、そういう意味では少し残念。
わりとボソボソ語る文章でそれなりに味はあるし、語っている内容も肌で感じた等身大の韓国という感じで好ましいし、赤裸々に綴られた妻の姿や姑との確執もよく伝わるし、なかなかいい本なのだが、題名の勢いを潜在的に求めてしまう分、全体に弱く感じるのが難。
内容的に「妻が韓国人」というところに留まっていて、もっとビビンバ的に「混ぜた方が美味しくなる感じ」のところまで突っ込まれていないのも惜しい。混ぜた結果どうなったのか、のところまで書かれていないのだ。やっぱりビビンバみたいに混ぜてこんなに美味しくなりましたー!という結論が欲しい気がする。
2001年07月01日(日) 12:00:00・リンク用URL
「分身」

amazon1993年発行の著者初期小説。1年前にヒトからもらってそのまま本棚に置いていたが、ちょっと思いだして読んでみた。というか、わりと気になってはいたのであるが。
実は期待していなかった。著者特有の(「秘密」に通じる)甘ったるさが色濃く出ていそうな小説だったから。なんとなく北村薫の「スキップ」とかに通じる甘ったるさ。しかし、期待はいい方に裏切られた。章分けを細かくしたのも勝因。テンポよく筋が進み、リズムよく謎が氷解していく。読み出すと止まらず、一気に読んだ。
ただ、こういうミステリーに出てきがちの「政府黒幕」だの「それを指揮する黒ずくめの謎の男」だの「顔色の悪い研究者」だののステロタイプ・キャラの出現が物語を多少つまらなくしている。初期作品だから仕方ないが、ちょっと居心地が悪くなる。それと題名自体がネタばれなのが気になるかも。いい題名なのだが、読者は最初から展開が読めてしまう。そこらへんが惜しい本。
2000年11月01日(水) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:ミステリー
「グルメ探偵」

amazon推理小説。主人公は、珍しい食材やレストランのメニューについてアドバイスしたりある年代物のワインを探し出したり、といったグルメ関係の私立探偵。そして、彼があるレストランのレシピを解明するという依頼に携わるうちに殺人事件に巻き込まれて…。
グルメの探偵という素材は新しく、それなりに魅力的。アメリカでもそこそこ売れたらしい。随所に出てくる旨い物系のウンチクも(多少うるさいが)まぁ楽しい部類。
だけど。だけどだけど。推理小説としては「カス」であった。構成力、筆力、キャラクター造形力、すべてに渡っていまひとつ。面白くない。あまりに面白くないものだから、読了に2週間ちかくかかってしまった。旨い物系の話に人並み以上に興味津々なボクですら、である。グルメ探偵という素材はいいのだから、もうちょっとなんとかしてほしかったな。
2000年08月01日(火) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:ミステリー
「嘘をもうひとつだけ」

amazonこの著者の頭の良さは「白夜行」で証明済みだけど、今回もなかなか頭がいいのである。
短編集なのだが、すべて犯人側の視点で描かれていて、犯人なのに犯人ではないような心理描写をしつつ、どの短編にもひとりの敏腕刑事加賀が関わってくる構造(一部、被害者視点もある)。この構造自体がなかなかに新しい。その刑事も、客観描写のみでキャラがしっかり立ち上がっており、上手である。
難を言えば、どの登場人物にもカタルシスを感じられないまま終わるところ。
つまり陰の主人公である加賀刑事は客観描写のみなので入り込めない。それぞれの短編の主人公にも、その心理描写のトリックもあって入り込めない。それがこの短編集を少し薄いものにしているのは確か。たぶん、加賀刑事をもうちょっと個性的に描いたりすることで解決されるのだろう。例えばフロスト警部とかコロンボ警部みたいに。でも、著者はわざとどこにでもいるような刑事にしたのだろう。ありそうな日常、も演出のうちだろうから。
2000年05月01日(月) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:ミステリー
「菊次郎とさき」

amazonビートたけしが父母について書いたエッセイ。
評判の高いエッセイだが、これがビートたけしの本でもなく、著者に好意を持ってもいなければ、やっぱり駄作かもしれない。
いや、駄作まではいかないか。要は普通、であった。著者に対して「一目を置いて」読んだり、最初から好意まるだしで行間を探っていったりすると、なかなかに感動的な部分もあるのだが、一歩距離を置いて読むと…。
残念なのは、あれだけ表現力が多彩な人なのに、非常に陳腐な比喩や言い回しをたまに使うこと。それも展開の骨の部分で。えー、そういうふうな表現でこの文章を締めるわけー?とがっかりすることも多々あった。
ビートたけしだからこそ厳しい目で読んでいる部分もある。一目置かれたり、厳しく読まれたり、著者もいろいろたいへんなのだ。でも、なんだか「いまオイラが母親を語ったらとりあえずせつなくはさせられる」みたいな安易さを感じてしまった。ちょっとイジワルな視点でゴメンだけど。
2000年03月01日(水) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:エッセイ
「すしの歴史を訪ねる」

amazonうーん。この本を面白いとか面白くないとか言うのは筋違いなのかもしれない。だって基本的に「資料」なのだから。
でも、資料とはいえ、新書版で広く売っているからには少しはエンターテイメントもいるだろう。
よく調べてはあるから興味がある人にはかなり面白いのかもしれないが、ボクだって寿司にはかなり興味がある方なのだ。そのボクが読んでいて退屈した。その辺が新書としてどうなのか、などと議論を始めても仕方がないが、もうちょっとなんとかなったのではないか、と思う。生意気かもしれないけど。
1999年12月01日(水) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:食・酒
「白夜行」

amazonボディブローのように効いてくる作品だ。
ミステリーとしてもよく出来ているし登場人物の造形は見事だし土地の体臭みたいなものまでしっかり描かれていて感心させられるが、なにより主人公の二人の本当の関係をわざと描かず外堀から浮かび上がらせたその筆力が素晴らしい。
読後しばらくしてから彼らの苦しみみたいなものがじわじわ心の中に溢れ出す。読み終わった瞬間はちょっと物足りなさを感じるが、読者の読後の想像までへも著者はしっかり伏線を張っているのに後で気がつく。わざと答えを書いていない伏線などが読後に効きだすのだ。こういう頭の良さにボク弱いです。
前作「秘密」は映画化されたりして相変わらず評判だが、ボクはそんなに好きではない。でもこの「白夜行」はいいなぁ。辛気くさい題名だがこれも読後に納得が行く。手を取り合って白夜を行くふたりの姿が瞼の裏から離れない。削ぎきった文体も見事。そのうえすごいのは筋自体も削ぎきっているところ。うーん。こりゃ大化けする作家かも。直木賞も行けるのでは?
1999年09月01日(水) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:ミステリー
「コマネチ!~ビートたけし全記録」

amazonしばらく前に出た「新潮45別冊」の文庫化。
松本人志、今村昌平、古田敦也との対談や、映画「HANA-BI」が出来上がるまでのドキュメント(監督手法が面白い)や、吉川潮や中野翠という手練れが書くたけし論や、軍団によるたけし評とか、フォトアルバムや賞罰一覧、年譜など、目一杯「たけし」が浮かび上がる「雑誌」となっている。
対談もたけし論もおもしろいが、やっぱり要所要所で出てくるたけし語録が一番おもしろいし刺激的だ。こうして読んでいるとたけしって「過剰の人」ではなくて「省略の人」なんだな、と再認識。うーむ。
「おいらの好きな小説」という項で1位が「次郎物語」だったのを見てなんだか北野武がよくわかった気がした。実はボクも「次郎物語」が一番かも。ちなみにたけしの2位は「青春の蹉跌」。3位は「罪と罰」。洋画の1位は「フェリーニの道化師」(わかるー!)。洋楽の1位はビートルズの「ドン・レッミー・ダウン」(これまたわかる!)
1999年07月01日(木) 12:00:00・リンク用URL
「秘密」

amazon絶賛する人も多いこの話題の本がこの評価とは厳しすぎる、とおっしゃる方もおられようが、ボクにはつまらなかった。まるで極私的意見ですのでご勘弁を。
ちょっと期待が大きかった分だけがっかりも大きかった。これなら北村薫の「ターン」の方が好きかも(題材はちょこっと違うけど)。
なんというか、砂糖菓子のように甘いのだ。いや、テーマが甘いのは悪くないのだけど、テーマに引きずられて人物造形や文体もお菓子のようになってしまった気がする。そのせいでちょっと昼メロチックになった。近頃の浅田次郎のような甘ったるさ。例えばケン・グリムウッドの「リプレイ」のような冷徹さを見習って欲しいなと思うのだけど。
ちなみに、表紙カバーをはずすと本体に絵が描いてある。こっちの装丁の方が好き。カバーデザインは思わせぶりすぎな気がする。
1999年02月01日(月) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:ミステリー
「敵対水域」

amazon冷戦時代の1986年。バミューダ海域でソ連の原子力潜水艦が沈没した。これはその関係者を詳細に取材して一編に織り上げたノン・フィクションである。
「泣いた」「感動に手が震えた」などと前評判が高い上に、表紙にトム・クランシーが「これほど深く胸に滲み入る潜水艦の実話を私はこれまでに読んだことがない」などと書いているもんだからかなり期待した。
たしかに内容は感動的。また、潜水艦内の油の匂いまで匂い立ってくるような迫真の表現で読者を飽きさせず最後まで引っ張る。だがどこかで気持ちが入り込みきれなかった。
その理由は「これって本当にノン・フィクションか?」というところ。
ストーリー自体は実話だろう。が、登場人物の感情の動きなどに必要以上に作者の筆が入り込み「感動を演出」している気がするのだ。別に演出してもいいんだけど、表紙などでここまで「実話」「ノン・フィクション」をうたっている上に前書きでも「その行動、交わした会話、そして各人が胸に抱いた密やかな思いにいたるまで、すべて本人が著者に直接語った証言に基づいている」と書かれているから突っ込みたくなる。ボクが気にしすぎなのかもしれない。でもノン・フィクションをうたうには作者の筆が走りすぎている。この本は事実に基づいたフィクションである、そう割り切って読めばもちろん充分に楽しめる。
1998年03月01日(日) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:ノンフィクション
「日本の牛乳はなぜまずいのか」

amazon知らなかったぜ、日本がこんなに牛乳後進国だったとは!
ここに書いてあることが本当ならば(本当っぽい)大手牛乳メーカーはものすごい罪を犯しているなぁ。
厚生省や大手メーカーと単身闘った藤江才介という技術者のエピソードを中心に綴られていてなかなか面白いのだが、構成が悪く何度も同じ話に行き着いてしまうのが難。しかも要点がよくわからなかったりする。
が、全体には新しい発見に満ちた本だ。そうか、あの独特の粘っこい香りは「こげ臭」だったのか……あなたもこれを読んで日々飲んでいる牛乳に対する認識を新たにしてください。
1997年08月01日(金) 12:00:00・リンク用URL
「結局わかりませんでした」

amazon副題が「ザ・知的漫才」。
ビートたけしが日本の知性(?)9人(松井孝典、養老孟司、本川達雄、荒川秀樹、ピーター・フランクル、荒俣宏、中原英臣、森幹彦、上野正彦)と対談したもの。知らない人もいるけど(だってただの歯医者もいる)、とにかく勉強したくてうずうずしてくることだけは確かな本だ。
これを読むとビートたけしの本質は「物事の本質をついている人」ではなくて「地にしっかり足がついている人」なのがよくわかる。地に足がついていない人がこういうことをすると対談ではなく単なる「インタビュー」に終わってしまうだろう。自分の視点と土俵からしっかり意見をいうことの大事さを思い知らされました。(ただあとがきは説教臭くてイヤ)
題名が秀逸。もともと論理的でない世界を論理的に論じようとする無意味さを端的に言い表している。教養好きの人は必読。向学心という化石を取り戻してみたい人も是非。
1997年03月01日(土) 12:00:00・リンク用URL
「ぼくが地球で会った愉快な人たち」

amazon「極値集合論」という数学の最先端を研究していて、その問題について世界に5人くらいしか話を出来る人がいなくて孤独を感じ、大道芸にのめり込んでいったという破天荒な著者の半生記、そしてエッセイ。
なにしろ11か国語を話し、数学オリンピックでは金メダル。大道芸人であり数学者。そんな彼の書くものだけに登場人物は多士多才でエピソードもそこそこ面白い。
が、これだけ数奇な人生を送ってきた人の書くものにしては「もうひとつ」という印象。読者が期待しすぎるのかもしれないけど、もう少し切れ味がほしかった。
1997年03月01日(土) 12:00:00・リンク用URL
「ヨーロッパ人の奇妙なしぐさ」

amazonわりと話題になった本。とにかくヨーロッパの国々をそのしぐさや習慣で比較しそれを文化論・哲学まで引きずって行く力技だから、興味がある方にはとてつもなく魅力的な本だと思う。
しぐさの比較と言っても手招きの仕方から清潔度比較といった一般的なものから「なぜフランス人は肩をすくめると口がへの時になるのか」「なぜ何もしていないときにイギリス人はおちょぼ口になるのか」「なぜフィンランド人は自分が無言でいることに気が付かないのか」などを、豊富なエピソードを添えて検討するのだから面白くないはずがない。
でもちょっと読みにくいのが難かも。それとボクはヨーロッパ経験が少ないから読んでいて実感がわかない。少なくともヨーロッパに1年くらい住んだことがある人じゃないと通り一遍の知的快感で終わってしまう本だ。別にそれでもいいけど。
1997年02月01日(土) 12:00:00・リンク用URL




